総務省統計局が平成16年6月1日に実施した「事務所・企業統計調査」によると、平成16年の全国の民営事業所数は572万9千事業所となっており前回調査時の平成11年から約47万4千事業所減少している。これはピークである平成3年と比較すると約83万事業所減少していることになる。従業者数は平成16年時点で5215万9千人、前回調査時(平成11年)の5380万6千人から164万7千人減少している。企業数は約153万企業で前回調査時より13万7千企業減少している。
事業所数、従業者数、企業数ともに減少となったのは長引く不況による企業の統廃合、倒産や後継者難による廃業などの影響と想定される。
さて今後はどうなるだろうか?いわゆる団塊の世代が定年を迎える「2007年問題」そして、深刻な人口減少問題等を考えると、今後も従業者数や事業所数は当面の間、減少傾向にあると考えなければいけない。
次に、ワークスタイルの変化について考えてみよう。政府は2003年にe-japan戦略を打ち出し、2010年までに就業者数の20%を「テレワーカー」にする事を目標としている。テレワーカーとは「ITを活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」と定義され、ITの活用により、オフィスなどの定められた勤務場所・勤務時間に縛られることなく、自宅などで仕事をする就労者の事である。すでに大手企業では日本テレコム、日本アイビーエム、日本オラクル、富士ゼロックスなどで導入の動きが広がっている。これからは身体障害者の就労や、育児・介護の時間を必要とする労働者の就労形態等としても、このような動きは益々普及していくと思われる。
このような就労者数、事業所数の減少によるオフィス需要の減少と、ワークスタイルの変化によるオフィス需要の減少から、オフィスビル経営は益々競争激化するものと予想される。これからは住居、オフィスビル経営ともに需要減少に対応するアイデアが勝敗を決める事になるだろう。