容積率とは建築物の延べ床面積が敷地面積に対して占める割合の事である。その敷地に対してどれくらいの規模の建物を建てる事が可能かという指標で、建築基準法によって定められている。
容積率=建築物の延べ床面積/敷地面積
容積率は用途地域によって50%から最大1300%と非常に幅がある。一般的に住居系の用途地域では容積率が小さくなり、商業系の用途地域では容積率が大きくなる。
不動産投資という側面で見ると、容積率が高い方がそれだけ多くの床面積を確保でき、より多くの賃貸収入を得る事が可能なので、価値が高いと判断される。
仮に200m2の土地があるとすると容積率50%の地域では床面積の合計で100m2しか建築できない。これに比べ1300%の地域では、床面積の合計で2600m2も建築する事が可能であり単純比較は出来ないが、前述の例では理論上、収益力に26倍の差が生じる。
近年では経済の活性化という観点から、一部の地域では一定の要件を充たす事により容積率を緩和してきた結果、高層ビル、マンションが林立し経済に好影響を与えたといえる。
では容積率が小さいと、本当に不動産価値が低いといえるのだろうか?住環境という側面で見ると、容積率が小さい地域の方が、敷地面積に対する建物の規模が必然的に小さくなり、庭などの空間が多くなる。これによりゆったりとした閑静な住宅街が形成される。日本の高級住宅地と呼ばれている地域はすべて容積率が小さい。いわば容積率が小さい事が住宅地としての環境価値を高めているともいえる。
わが国の土地、および建築物は私有財産でありながら非常に公共的な側面を持ち合わせている。あまりに収益性にこだわって法令の範囲だから、収益が得られるからといって、好き勝手に大きな建物を目いっぱい建てることがいいことなのだろうか。地域にはそれぞれの文化があり、町並みがあり、地域のコミュニティもある。
不動産はお金では買えるが、町の文化、景観、歴史はお金では買えない。住宅、オフィス供給過剰の今、不動産の本当の価値を見直す時代がすぐそこに来ているのではないだろうか?