2006年度の公示地価が発表された。首都圏は上昇地点が大幅に増え、地価の下げ止まり観が広がる一方、地方ではまだ先の見えない地価の下落が続いている。まさに、人の集まるところと、人が集まらないところとの二極化であり、需要と供給の関係が顕著になりつつある。
これに歩調をあわせるように、不動産の流通税制も4月1日から久しぶりの増税となる。増税といっても、これまでが不動産デフレを克服するための特例措置的な要素が強かったので、正確にいえば、景気回復と地価の下落から脱却しそうな状況を勘案したうえでの、特例措置の順次見直しである。不動産流通課税の改正点は主に以下の2つである。
●不動産取得税(不動産を取得した際に課せられる税金)
改正前 (時限措置) | 改正後 | 参考 | ||
---|---|---|---|---|
土地 | 税率 | 3% | 3%(3年延長) | 本則4% |
課税標準 | 固定資産税評価額の 1/2に軽減 | 固定資産税評価額の 1/2に軽減(3年延長) | 本則は軽減なし | |
建物 (住宅) | 税率 | 3% | 3%(3年延長) | 本則4% |
建物 (非住宅) | 税率 | 3% | 3.5%(平成20年より4%) | 本則4% |
上記のように土地の取得については税率をしばらく据え置き、住宅以外の建物については順次、本則の4%になる予定である。
●登録免許税
登記の種類 | 原因 | 改正前(時限措置) | 改正後 |
---|---|---|---|
所有権の移転登記 | 土地の売買 | 1% | 1%(延長) |
建物の売買 | 1% | 2%(本則に戻る) | |
贈与・遺贈 | 1% | 2%(本則に戻る) | |
相続 | 0.2% | 0.4%(本則に戻る | |
所有権の保存 | 0.2% | 0.4%(本則に戻る) |
(不動産の権利を登記した際に課せられる税金、登記しなければ課税されない)
※税率は全て固定資産税評価額に対する%
登録免許税は土地の売買による所有権移転の登記を除けばすべて本則にもどり、2倍になる。
さて、このタイミングで、不動産取引を行うにあたって逃れる事の出来ない不動産取得税、登録免許税を本則に戻す事が不動産流通にどのような影響をおよぼすのか。
国の財政を考えればやむなしということかも知れないが、やっと落ち着きつつある不動産価格に冷や水を浴びせることにならなければいいのだが。