風戸 裕樹の不動産投資コラム

シリーズ連載: 初心者のための東南アジア投資ガイド

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

第1章 太陽が燦燦と輝く場所(2)

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東南アジアの地勢

東南アジアは中国の南側、そしてインドの東側に位置する。アジア大陸に属する国もあれば南や東に向かって広がる島国もある。アジア大陸の南端にマレー半島があり、マレーシアと「小さな赤い点」のシンガポールはそこに位置する。カンボジア、ラオス、ベトナム、タイ、ミャンマーは本土にあり、マレーシアとインドネシアとフィリピンは島国だ。

東南アジア地域は熱帯または亜熱帯に属し、雨量が多い。程度に差はあるがほとんどの国がモンスーンの影響を受け、定期的に豪雨や洪水に見舞われる。面白いことに東南アジアの特徴ともいえる豊かな緑を作り出しているのもこの雨だ。雨季には生命に満ち溢れた緑の風景が広がる。この豊かな植物は東南アジアの生活になくてはならないものだ。水も緑もない、乾いた砂漠とは無縁で、仮にそうなれば恐ろしい事態だ。

のどの渇きを癒す以外にも水は東南アジアにとって非常に大切なものだ。大陸の国々にとって川は輸送や農業、その他色々な働きをするものであり、生活に欠かせないものとなっている。例えばチベット高原から流れてくるメコン川。ミャンマー、ラオス、カンボジア、タイ、ベトナムを流れ、そこに住む人々の主要道路となっている。この川のおかげでこれらの国の間で盛んに交流が行われてきた。

レジャースポット

この地域はとにかく多様性に富んでいるため、旅行客は見るものや行く場所に事欠かない。一番の目玉はなんといってもビーチだ。有名どころはタイのプーケットやインドネシアのバリ、マレーシアのランカウイ、フィリピンのボラカイ。観光客や移住者に根強い人気がある。負けていないのがカンボジアとベトナムだ。数々のビーチと手つかずの海岸地帯があることでも知られている。どのビーチに行くかを決める際、旅行客は黒、グレー、白、時にはピンクの砂浜を選ぶ贅沢が許される。各国には素晴らしいビーチが少なくとも1つはあり、また各ビーチがそれぞれに特有の砂浜を誇っている。この地域には実に様々な選択肢がある。パーティー好きに混じってわいわい騒ぐもよし、静かな場所でのんびり過ごすもよしだ。

ゴルフ

理想のゲームを求めてのんびりホールを回りたい人にはとてもいいオプションがある。1つのホテルリゾートに1週間でも1カ月でも滞在してゴルフに興じることはさほど珍しくもない。世界有数のホテルの中にはゴルフ三昧旅行の出発地として最適なところもある。その上、ゴルフができるだけでなくホテルがビーチの真横に位置していることが多いため、両方の世界をいいとこどりできるという訳だ。また、ホテルには最高のアメニティが備えられており、とても温かくて頼りになるスタッフもいるため、最もリラックスできる体験になることは間違いないだろう。

都会を楽しみたいという人も心配無用だ。とても楽しいナイトスポットやカラオケがある。素晴らしいシンガーが多くの店でライブを行っていて、様々な言語で歌ってくれる。経験豊かなバーテンダーもいるため、どこでも最高のお酒を楽しむことができる。ビーチやナイトスポットの中にはカラフルで派手でただただ楽しい、エネルギッシュかつ人で溢れるダンスパーティーが開催されているところもある。

最後はこの地域でのショッピングについて。クオリティーが向上し選択肢も増えているため、買い物中毒の人は他国でお馴染みのブランドのほとんどを見つけられることだろう。今や東南アジアのほとんどの国で世界有数のブランドを買うことができる。ホーチミン市の通りでは戸惑うことも。フランス風の建物やショッピングエリアが多いため、ヨーロッパのどこかの街にいるような感覚に陥るかもしれない。

個人の趣向がどうであれ、東南アジアには訪れる人を満足させられるものが多くある。歓迎的で温かい人々だったり、変化に富み緑豊かでエキサイティングな陸地だったり、万人にすすめたい新鮮な食べ物だったり。今海外でますます注目を集めているこの地域の料理は体験したこと全ての集大成となるかもしれない。

過去2年間で外国人観光客が最も多く訪れた国はタイで、2位はマレーシアだった。その次がベトナムだがその数はマレーシアの3分の1程度だ。その後にフィリピンが続き、最後にカンボジアとなっている。タイへの観光客数は前年と比べて20.6%増加した。一方、マレーシアは6.3%のマイナスとなった。フィリピンとカンボジアも著しく伸びたがベトナムは1%以下の成長にとどまっている。

ASEAN諸国の膨大な数の人が近隣の東南アジアの国々を旅行していることから、東南アジア諸国内での動きが活発になっていることが分かる。ASEAN以外の地域では中国からがもっとも多く、EU圏がそれに次ぐ。その次に多いのは当然ながら韓国と日本だ。そしてオーストラリア、アメリカ、インドの順となっている。

経済にも着目

東南アジアは非常に広い地域なのだが、我々は今回カンボジア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムの5つの国に絞ろうと思う。この5つの国はどれも現在エキサイティングな可能性と物価が程よくバランスとれているからだ。シンガポールには好機がない?いや、好機はある。ただ投資の観点では前述の5つの国を見て行く。他の東南アジアの国も取り上げる時がくるとは思うが、今回はこの5カ国に焦点を当てて行きたい。

この国々の通貨はとりわけUSドルと相対的な動きを見せている。要因は様々だが、この何年かはドル高といった結果だ。だが重要なポイントとして、カンボジアで開発者や小売店と取引をする際、両者ともドルでの支払いが可能であり、喜んでそれに応じてくれるということがある。つまり観光客は外貨両替所に行かなくとも取引できるという訳だ。

この国々はASEANの近隣諸国と定期的に貿易を行ってきたため、その結果国同士の結びつきが強く、また安定している。我々が取り上げる5つのうち、
なんとタイがASEAN最大の貿易国であり近隣諸国と最も多く取引を行っている。2位はシンガポールで、すぐ後をマレーシアとベトナムが追いかけ、フィリピンとカンボジアはかなりひき離されている。少し遅れをとっているからと言って景気が悪いわけではない。単にこの地域以外の国との貿易が盛んだったり、所得の流れが他にあるということも考えられる。

タイは輸出でも1位だ。その後にマレーシアとベトナムが来てフィリピンは再び4位、そしてカンボジアが5位となっている。面白いことに、輸入に関しては順位の並びが同じになっている。貿易収支で先頭をいくのはマレーシアだ。ベトナムが後続し、そしてフィリピンとカンボジアだ。この両国は赤字を計上している。

東南アジア諸国は日本への輸出を行っており、群を抜いているのはタイだ。その次に、ベトナム、マレーシア、フィリピン、カンボジアの順となっている。タイは日本製品の最大輸入国でもある。

この地域には外国から多額の投資が舞い込んでいる。その投資額 ASEAN外から980億USドル、ASEAN内からは220億USドルに上る。ASEANコミュニティが投資の面でも自らをサポートしていることは良い指標となりそうだ。この5カ国のうち、最も直接投資の多い国はベトナムで、そのすぐ後ろにマレーシアがいる。それに次ぐのはタイ、フィリピン、そしてカンボジアだ。

ここで抑えておきたいのは、ASEANの報告によると直接投資(FDI)を国単位で見た場合、そのほとんどが日本からなされているという点だ。日本からの直接投資は全体の14.5%を占め、その投資額の割合はASEAN内およびEU圏に次ぐ。

一国の技術能力の高さは通信やインターネット接続によって情報へアクセスできているかどうかで分かる。インターネットの浸透率でいくと、シンガポールだ。次いでタイ、マレーシアとなっている。

東南アジアはとても豊かで興味深い地域だ。天然資源に恵まれているし、人々はこの上なく歓迎してくれる。可能性をまだまだ秘めている。また、ある専門家の意見が正しければこの地域の未来は確実に明るい。

ここ数十年は特に暴動や政治的不和といった試練もあったのは確かだが、我々が注目している地域や5カ国については概して政治情勢も経済も安定している。近年では開発が進み、新しい産業やサービスが現地の人々にチャンスを与えている。またそのおかげで購買力も増加している。

投資が進む今、あなたも東南アジア諸国の成長に携わることを考えてみてはいかがだろうか。

本章の冒頭で我々は東南アジア地域を太陽が輝く場所と述べた。それは間違いない。だが間違いないことがもう1つある。それはこの地域一帯の歴史から分かるように、1度沈んだ太陽が必ず上って来る場所であるということ。例え一国が低迷を経験しても、再び立ち上がるのに長くはかからないだろう。政治情勢、あるいは体制までもが変わることはあり得るが、いまだ共産主義のベトナムを見ても分かるように、特に貿易や投資に関して言えば、ある政治体制になったからといって世界との門戸が閉ざされるとは限らない。刺激的で前途有望な東南アジア。仮に減速したとしても、持ち直すのは時間の問題だ。一度その目で確かめてみてはいかがだろう?

次回コラムに続く

【このコラムの著者】

風戸 裕樹

PropertyAccess 代表取締役社長・共同創業者
2004年早稲田大学商学部卒業。同年オークラヤ住宅に入社。その後、不動産投資ファンド(クリード、ダヴィンチ・アドバイザーズ)転じ、この間、起業構想を温める。

10年不動産仲介透明化フォーラム(FCT)を設立、社長に就任。日本の不動産取引を変革するべく、売却専門の「売却のミカタ」を開始し、全国展開。2014年にソニー不動産にFCT社を売却し、ソニー不動産 執行役員 売却コンサルティング事業部長兼コンサルティング事業部長として、創業に携わるとともに事業を拡大、不動産取引の透明化を加速。2017年シンガポールにてプロパティアクセス共同創業。

日本では不動産売買の専門家として広く知られる。座右の銘は「他山の石を以て玉を攻むべし」。モータースポーツ好きで F1に詳しい。 著書 『マンションを相場より高く売る方法』


Propertyaccess.co(プロパティアクセス)
シンガポール、マレーシア、フィリピン、日本に拠点を設ける不動産情報サービス企業。特に東南アジアを中心とした不動産情報を日本のテクノロジーを活用し世界で紹介。2018 年4 月には、AI を活用しフィリピンのコンドミニアム価格予測と物件情報サービスを開始。マレーシア、タイ、 ベトナムそして日本にて不動産投資家が安心して投資できるためのサービスを行っている。
ウェブサイト:https://propertyaccess.co/

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