風戸 裕樹の不動産投資コラム

シリーズ連載: 初心者のための東南アジア投資ガイド

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

第2章 日本の不動産市場と海外投資(1)

日本の不動産市場と海外投資

日本人投資家には東南アジア(SEA)のような地域において投資機会が多くあるが、なによりもまず問うべき重要なこととは日本国内の市場に優先的に投資すべきかを考える必要がある。

失われた20年以降、日本の不動産市場は安定的ながらも投資機会という意味では、他国と比較して魅力的ではなくなってしまっている。初心者からすると、相当な目利きができ情報をいち早く取得することができなければキャピタルゲインを30%以上取得することは難しい。もちろん東南アジアの各国よりも価格は高い。東南アジア諸国には可能性が確実にあるが、日本はキャピタルゲインという意味ではそうはいかないようだ。バブル期のように、普通に買って短期で高く売るという時代は今やとてもつもなく昔に感じる。高値で買ったとしても利益を出し、利益を上げられる可能性がまだあった。

この数年不動産市況は堅調と言えるが、物件は新築したばかりの時が最高値という考え方が根強い。マンションの価格は横ばいか、下がっているものさえある。

不動産購入時に覚えておかなければならないことがまだある。それはお金の問題だけではないということ。お金は一番分かりやすい投資のリソースだが、それだけでは完結しない。仲介業者やひょっとすると住宅開発業者とも条件交渉しなくてはならない。お金以外にも時間や労力がかかる。投資したはいいがほんの少しの利益しか得られないということなら、その費やした労力に見合う分の報酬を受けていないことになってしまう。

魅力的な都市東京

2017年第2四半期までの東京の家賃相場は前年比3.4%の上昇となったが、その動きは東京都内で観察されただけである。東京都心は引き続きかなり堅調であるため、4%程度という、とてつもない空室率の低さは素晴らしい。現時点で東京はかなり安定している。とりわけ東京は多くの地方都市からの人が集まり、住みたいと思う都市であり、また良い教育を受けたり良い職に就きたいなら東京まで出ざるを得ないからだ。結果として家賃相場は当然ながら高い。東京に不動産を持っていない人にとって投資用にマンションを購入するのは困難を極めるかもしれない。物件探しもさることながら、たとえ良い物件が見つかっても価格が高すぎるという問題がある。

だが、都心から離れた途端に状況は一変する。空室率は上がり入居率は下がる。実際のところ、近年で人口が増えているのは東京だけだ。20キロ圏内を超えると人口は著しく減少し、明らかに少ない。東京23区を除いた地域では人口は減少し続けている。今後もこの傾向が続きそうだ。大阪の人口もほぼ横ばいではあるが減少が見込まれている。他の地域では入って来る人よりも出ていく人のほうが多い。また、失われた人口も新生児で補いきれていない。

前述したように、東京への人口流入の原因は教育と雇用が関係している。優秀な私立大学のほとんどが東京都内にあるため、若者がそこを目指してやって来るのだ。言っておくが地方にも優秀な学校はたくさんある。それでもやっぱり東京は東京だ。これが大抵の人や企業の主な感情であるようだ。また、東京の学校に入学すれば、トップレベルの国内教育や国際教育にも触れられる可能性が高い。海外からも留学生が次々に東京の大学に引き寄せられてやってくる。そのため日本人や外国人の学生が東京の大学で勉強すれば、恐らく日本各地や他国からやってきた、かなり多様性に富んだ学生たちと交流することにな流であろう。このような接触により個人のリーチは確実に広がり、友達、将来の同僚、ビジネスパートナーなど交友関係はさらに広がる。

就職についてはどうか。大企業の多くが東京都内にあり、職場がそこになるならば移り住まなくてはならない。優れた大手企業(国内と外資系の両方)の中には東京を拠点にしているところもあり、常に優秀な人材を求めている。そのような企業の社員は安定した生活と明るい未来が持てると考えられている。すでに触れたように、結果として東京では人口が増え続け、他のほとんどの地域では急速に減少している。日本の雇用状況はこのような感じで、外国人についても同じことが言える。大半が都内の一般的な地区に配属されるため、このことも継続的な強さに拍車をかけている。求人については例えば横浜のような街だと比較的少ない。

確かにトップレベルのスキルを持つような人にとって日本は職を見つけるのに魅力的な場所だ。そして東京に来ることになれば、住むところを見つけなくてはならない。こうなれば不動産市場は活性化するはずなのだが、長期滞在が難しいという現実もある。日本政府は最近外国人の滞在の要件を緩和したが、それでも他国と比較するとまだかなり厳しい。そんな他国の規制の緩さは外国人移住者にとって魅力的だ。外国人に対するこれら全ての規制も日本の不動産市場がそれほど成長していない理由のひとつだ。外国人が日本の永住権や市民権を取得するのはかなり難しい。少なくとも他国ほど簡単ではない。

このことは実に経済を減速しかねない。また、外国人が物件探しや不動産購入をもう少し簡単にできたなら、経済も加速するかもしれないのだが。永住権や市民権の取得がそれほどまでに厳しいならば、不動産購入はどうだろう?

次回コラムに続く

【このコラムの著者】

風戸 裕樹

PropertyAccess 代表取締役社長・共同創業者
2004年早稲田大学商学部卒業。同年オークラヤ住宅に入社。その後、不動産投資ファンド(クリード、ダヴィンチ・アドバイザーズ)転じ、この間、起業構想を温める。

10年不動産仲介透明化フォーラム(FCT)を設立、社長に就任。日本の不動産取引を変革するべく、売却専門の「売却のミカタ」を開始し、全国展開。2014年にソニー不動産にFCT社を売却し、ソニー不動産 執行役員 売却コンサルティング事業部長兼コンサルティング事業部長として、創業に携わるとともに事業を拡大、不動産取引の透明化を加速。2017年シンガポールにてプロパティアクセス共同創業。

日本では不動産売買の専門家として広く知られる。座右の銘は「他山の石を以て玉を攻むべし」。モータースポーツ好きで F1に詳しい。 著書 『マンションを相場より高く売る方法』


Propertyaccess.co(プロパティアクセス)
シンガポール、マレーシア、フィリピン、日本に拠点を設ける不動産情報サービス企業。特に東南アジアを中心とした不動産情報を日本のテクノロジーを活用し世界で紹介。2018 年4 月には、AI を活用しフィリピンのコンドミニアム価格予測と物件情報サービスを開始。マレーシア、タイ、 ベトナムそして日本にて不動産投資家が安心して投資できるためのサービスを行っている。
ウェブサイト:https://propertyaccess.co/

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