風戸 裕樹の不動産投資コラム

シリーズ連載: 初心者のための東南アジア投資ガイド

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

第2章 日本の不動産市場と海外投資(2)

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日本人は投資が下手なのか?

不動産投資を検討しているなら、外国人からすると日本という国は投資性の高い選択肢ではないのかもしれない。それに物件の資産価格は新築の時が一番高い。相当額の投資利益をある程度の期間で得るのが良い投資と言える。

これには様々な理由がある。日本の年齢別人口を見てみるとシニア世代の割合が多く、このことが老いも若きも多くの人の問題となっている。この数十年間、子供が満足に生まれていない。そのつけが我々に回ってきているのだ。若年就業人口は他国と比べて少なく、年齢別人口における若者世代の割合はますます減っている。その結果、自由に使える収入があるような強い物質的欲求を持った人など滅多にいない。海外で働きたいという日本の若者がますます増えていることも原因のひとつだ。

日本の人口ピラミッド

 (データ元:内閣府)

上の世代はどうだろう?定年を目前に控えた人々は年金を心待ちにしている。彼らの場合、開始時期になれば政府から年金が支給されるだろう。だが、ある日無一文にならないようにするためにそのお金をどこに注ぎこむべきかは疑問のままだ。もう一度言うが、これは投資の問題だ。彼らはどうにかして何かに投資できるようにならなければならない。晩年に必要となる食べ物、薬、住宅、洋服、娯楽のためのお金を残しておくために。

年金に関し若者はさらに大きな問題を抱えているかもしれない。彼らは将来のために計画や準備をしながら人生を楽しみたいと思っている。若年就業人口が少ないため、その世代に年金を支給するに足る財源がない可能性がある。このことが若者をますます不安にさせている。年金は税金や控除で賄われている。労働人口つまり納税者の数が少なければ政府による税金徴収や様々な控除の額は然るべきほど増えないだろう。

定年を迎えた時に年金がもらえるかどうか、人々は既に心配している。これに対する取り組みが行われているようだ。だが恐らくそれは万人に本当に受け入れられるような方法ではない。現在、65歳で定年退職し年金を受け取ることができるが、今の若い労働世代が年金を必要とする頃には不足する可能性がある。そこで政府は受給年齢を75歳まで引き上げることに決め、年金機構にはより大きく成長するための時間が与えられた。今の若者がもうそれほど若くなくなり、やがて年金が必要になる頃、満足に生活できるお金がないという状況は十分にあり得る。彼らの場合、もう少し待たなくてはならない。あと10年ぐらい。

それ故、多くの若者が将来を保証できるような場所がないかと外に目を向け始めているのだ。今のように60代半ばで定年退職できるよう、また年金が支給されないことを心配せずに済むよう、彼らはコントロール且つ予測可能な投資機会を求めている。問題は、何に投資すべきかだ。

なぜ日本の不動産市場はアジアの他の国ほど伸びていないのか?

ここ数十年、日本経済は大した動きを見せていない。ほぼ休止状態だ。20年前に起こったバブル崩壊のせいで今はほとんどの人が投資、とりわけ不動産投資を恐れている。当時、期待が高まりすぎていた。価格がかなり高騰していたにも関わらず、人々は不動産を買い続けた。中には敢えて険しい道を選び融資を受けた人もいる。貸付金は決して少なくない額だったが、それでも彼らは思い切ってローンを組んだ。希望、夢、未来を投資に託したのだ。そしてバブルが崩壊した。

同じことがアジアの多くの国にも起きた。東南アジア諸国は何とか持ち直すことができたが、日本はできなかった。少なくとも他の国と同様の持ち直し方ではなかった。

そういう訳で人々はお金で何か重大なことをするのを怖がっている。バブル崩壊後に不動産投資するなどもっての外だ。大抵の人がバブル崩壊に苦しんだ人を最低1人は知っているため、皆慎重にならざるを得なかったか、単純に怯えているという可能性が大いにある。

人間とは怯えている時、何であろうとあるものにしがみつこうとする生き物だ。バブルが崩壊して以来、人々は必要な時にお金が払えないのではないかと恐れて貯蓄という古い考え方に逆戻りし、それが続いている。当然の不安だ。目に見えるものを持っておきたいという考えに素早く戻ってしまったのだ。理解できることだが、これを続ける訳にもいかない。

それでは経済が回っていかない。この考えや現実を理解するのは今は難しいかもしれない。確かに現金のほうが信頼できるが、お金を貯め込んでいるだけでは経済は動かない。すぐに他の産業や経済の他の側面にも影響が出始めるだろう。何もかもが鈍化し、経済は不景気、破たん寸前になるだろう。支出の欠如は様々な産業を停滞させ、お金を失い始める人や職を失う人も出てくるだろう。遅かれ早かれ、お金そのものの価値にマイナスの影響が出る。また、為替レートが急落したとなればさらに多くの問題が生まれることになる。

つまり日本人の多くが経済の仕組みを理解してないということなのか?そうではないが、彼らが怯えているという現実は残されたままだ。これを読んでいるあなたも怖びえているに違いない。経済が回り、再び活発になるにはお金を賢く使わなければいけない。そのことはほとんどの人が知っている。お金をある程度手放すなら、その分を取り戻すだけでなくそれ以上の金額を確実且つ予測可能なペースで得たい。彼らにはそれを保証してくれるものが必要だ。

アジアの他の国、特に東南アジア諸国は20年前の経済崩壊から回復し、現在も好調なのは良いことだ。中にはバブル崩壊直後も開発をやめない国がいくつかあった。人々はまたバブルがはじけるのではないかとか、投資すれば状況がさらに悪化するのではないかなどと言っていたがそうはならなかった。実際、注目に値する当時の有名なサクセスストーリーがいくつかある。

例えばフィリピンのボニファシオ・グローバル・シティ(BGC)がいい例だ。そこはかつては軍事基地だったところで私有地に転換された地区だ。開発が始まったのは20世紀の終わり頃。ビルは建っておらず、代わりに大きな穴が地面に開いていた。地域初となる数軒のビルの基礎用に掘られたものだった。当時人々が知っている建物は少ししかなかった。マンションやオフィス用として建てられた大きなビルが4つあり、ムードや好みに合わせた様々なレストランのあるナイトスポットがあった。これらのナイトスポットはいち早く導入され稼働していた。人々をその場所に引き寄せることで投資に興味がある人がさらに多く集まってくるようにしたのだ。

それが功を奏した。そこには開発用の土地が多数あり、また、開発する準備が整った状態となっていた。フィリピンの景気はアジア地域で一番良かったとまではいかないにしても、特にその当時は出かけて行って投資をする明確な理由があった。どのみち古くからある中心的な商業地区はますます混雑していたのだ。BGCはそれにとって代わる素晴らしい案だった。徐々に多くのビジネスがそちらに入ってきた。

今はどうか?大きな成功を納め、今もどんどん発展している。数軒しかなかったビルはかなり増え、この地域は今では国内外の多くのビジネスにとって主要な場所となっている。建設に携わった全ての人やこの地区に投資した外国人は今、その恩恵を受けている。アジアの経済危機が終焉を迎える頃だったにも関わらず、彼らは再び投資することを恐れなかった。はっきり言ってこれがあるべき姿だ。もちろん慎重になることは必要だが、恐れてはいけない。あなたはここから何を学ぶ?

経済を活発にしたいならお金を使わなくてはいけないが、賢く使わなくてはいけない。お金や経済の仕組みについては理解しているのかもしれない。それでも何かに投資することが怖いか、少なくとも不安に思っているだろう。それは理解できるし、恥ずかしいことでも何でもない。アジアの他の国々が成長し、それが継続しているのは良いことだと思う。その地域における投資の可能性や投資機会を示してくれているから。状況がさらに良くなることを願う理由がそこには本当にあるのだ。その上、市場もITも成熟している。新たなサクセスストーリーをスタートし、現実のものにする方法がたくさんあるのだ。世の中にはどの投資が良くてどの投資が悪いかに関する情報があり、それは見つけるしかない。日本人がまず気付くべきは、もう他人事ではないということだ。つまり自分でストーリーを作ることができ、自分もその登場人物になれるということ。自分もその一部として関わることができるのだ。

本コラムを読むことでトンネルの向こうに光が見えればいいなと思っている。した方がいいと言われるから投資をするのではなく、必要な指標の見方が分かり、安全且つ上手に投資できるようになるからだ。

【このコラムの著者】

風戸 裕樹

PropertyAccess 代表取締役社長・共同創業者
2004年早稲田大学商学部卒業。同年オークラヤ住宅に入社。その後、不動産投資ファンド(クリード、ダヴィンチ・アドバイザーズ)転じ、この間、起業構想を温める。

10年不動産仲介透明化フォーラム(FCT)を設立、社長に就任。日本の不動産取引を変革するべく、売却専門の「売却のミカタ」を開始し、全国展開。2014年にソニー不動産にFCT社を売却し、ソニー不動産 執行役員 売却コンサルティング事業部長兼コンサルティング事業部長として、創業に携わるとともに事業を拡大、不動産取引の透明化を加速。2017年シンガポールにてプロパティアクセス共同創業。

日本では不動産売買の専門家として広く知られる。座右の銘は「他山の石を以て玉を攻むべし」。モータースポーツ好きで F1に詳しい。 著書 『マンションを相場より高く売る方法』


Propertyaccess.co(プロパティアクセス)
シンガポール、マレーシア、フィリピン、日本に拠点を設ける不動産情報サービス企業。特に東南アジアを中心とした不動産情報を日本のテクノロジーを活用し世界で紹介。2018 年4 月には、AI を活用しフィリピンのコンドミニアム価格予測と物件情報サービスを開始。マレーシア、タイ、 ベトナムそして日本にて不動産投資家が安心して投資できるためのサービスを行っている。
ウェブサイト:https://propertyaccess.co/

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