樗木 裕伸の不動産投資コラム

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

不動産投資で必要な事業計画書ってなに?

みなさんは、「事業計画書」と聞くと、どんなイメージを持たれるでしょうか?何だか「難しそう」「大変そう」と思われたのではないでしょうか?
確かにそういう面もあるのですが、不動産投資で成功するためには、事業計画書は欠かせないものです。
それでは、事業計画書とはどのようなものかを確認していきましょう。

1.事業計画書とは何か?

一般的に、事業をスタートさせる際には、「誰に」「何を」「どのように」提供するか?という事業内容を明確にします。加えて、実現するにはどれくらい元手が必要なのか、どれくらいの費用と収入になるのか、継続性はあるのか、などを検討し、「事業性」を見える形にまとめたものが、「事業計画書」になります。

2.事業計画書をつくる目的は?

事業計画書をつくる目的は、大きく2つあります。1つは、事業を進める本人が活用するためです。
紙などに書き出して、見える形にすることで、必要な要素を網羅することができます。

要素間の因果関係・前後関係も理解しやすくなり、頭の中が整理されることでアクションプランに落とし込みやすくなります。

そして金銭的に見積もることでシミュレーションできるようになり事業の収益性も見えるようになってきます。

もう一つは、事業の関係者に説明し、協力を得やすくするためです。
事業を計画書の形でまとめることで、何をしたいのか、それは儲かるのか、他人が見てもわかりやすくなります。

特に融資を必要とする事業の場合、「これなら大丈夫そうだ」と銀行を味方につける必要があります。

3.不動産投資における事業計画書も同じ?

基本的には、同じですが、少し楽できるところもあります。不動産投資は、「誰に」「何を」「どのように」という事業内容は、明確だからです。

そのため、不動産投資における事業計画書は、「物件をいくらで買うか」「収入はいくら見込めそうか」「何年で元手を回収できそうか」といった収益シミュレーションが中心となります。

4.不動産投資の事業計画書に盛り込む内容は?

事業計画書に定型的な形式はありません。

ただ、以下の例(長期事業収支予想表)にある通り、利益を計算したり、税金を計算したりする「損益計算」と、実際の現金の流れを計算する「資金計算」の2つに分けてつくられる点はいずれの事業計画書も共通しています。

なぜ、2つに分かれているかというと、「損益」と「資金」は、短期的には、一致しないからです。投資期間の途中においては、現金で受け取ったり支払ったりした収入や支出が、すぐに収益や費用としてカウントできないものがあるからです。

手許にお金が残っていていても「赤字」ということもありますし、「黒字」であっても手許にお金がないということがあり得るので、各事業年度の状況を2つの面で表示しています(ただし、投資期間全体を通すとこの2つは、一致することになります。)

2つに分かれてはいるのですが、「損益計算」と「資金計算」の科目を個々に見ていくと、多くの科目が共通していることがわかります(以下の例では、「収入」や「経常費」といった複数の項目が想定されるものは、「内訳」として詳細を別途確認できるようにつくられています)。

出典:公益財団法人不動産流通推進センター「公認不動産コンサルティングマスターテキスト」

出典:公益財団法人不動産流通推進センター「公認不動産コンサルティングマスターテキスト」

例えば、収入項目では、「賃料」以外に「管理費(共益費)」「駐車場利用料」「看板広告使用料」等経常的な収入の他、「敷金」「保証金」「礼金」「更新料」等一時的な収入が並びます。

また、支出項目では、「管理費」「修繕費」「損害保険料」「公租公課」等経常的な支出の他、「借入金(元本+利息)」「減価償却費」「入居者入れ替え費用」「大規模修繕費(資本的支出)」「予備費」等価格が変動する支出が並びます。

事業計画書を作る上で大切なのは、これらの共通科目に各種収入・支出項目が漏れなく織り込まれているのか?ということが大切です。
分析方法が正しくても誤ったデータを使ってしまえば、結果も当然、誤ったモノになるからです。

5.事業計画書の見方のポイント

この表を使って「いくらぐらい儲かるか?」「どのくらい空室があっても損しないのか?」「返済に窮することはないか?」「いつ頃、借入金を完済できるか?」など、つまり「投資可能かどうか?」を判断することができます。

損益計算にて「税引前損益」がいつ黒字化しているか、「累積繰越損失」がいつ解消しているかに注目します。3~5年程度の短期間で実現するかどうかがポイントです。

「税引前損益」とは、税金を引く前の利益で、経常的に得られる利益(経常利益)に臨時的に得られた損益(特別損益)を加えた利益です。

また、「累積繰越損失」は、過去から現在までの不動産投資の赤字が積み上がったものです。

不動産投資の場合、開始当初の数年間は経費がかさむので赤字になるのはやむを得ないのですが、税引前損益が早期に黒字化しなれば、累積繰越損失を解消し、利益が積み上がらないことになり、投資としては失敗だと言えます。

そして、最終的な儲けを示す「税引き後損益累計」(損益計算)の黒字化と「剰余金累計」(収支計画)が投資終了時点でプラスに転じ、どれくらい大きくなるか?がポイントとなります。

6.まとめ

ここまで確認してきたように、事業計画書は、事業成功までの「地図」の役割をします。最初にしっかり利益の見込める事業計画書に仕上げることが何よりも大切です。

事業計画書の作成&修正はたくさんの資料も必要で、非常に手間が掛かります。ご自身で作成が難しい場合は、専門家にサポートして貰ってでもしっかりとしたモノを作成することをお奨めします。

【このコラムの著者】

樗木 裕伸

銀行、IT系ベンチャー企業勤務を経て、2005年7月にFP/中小企業診断士として独立。

現在中小企業の経営者に対して、資産運用、後継者育成など包括的な相続事業承継コンサルティングを行なっているとともに、公的活動として東京都大田区の商店街活性化支援事業のアドバイザーとして商店街および個店に対し、創業・経営相談からリタイアメントプランニングまで相談・支援を実施している。
近年、変化の激しい時代を生き抜くための“知恵”の必要性を痛感し、子供とその母親を対象に“金銭”教育に取り組む。

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