樗木 裕伸の不動産投資コラム

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

収益シミュレーションをしてみよう!不動産投資に重要なシミュレーションについて解説します

1 収益シミュレーションとは・・・

儲け=利益を計算するための「収益」と「費用(必要経費)」を将来予想することです。

「収益」という用語は、会計の分野では「利益=収益-費用」であることから「利益≠収益」ですが、不動産業界では、「収益≒利益」という表現や「純収益=総収入-総支出」(この場合は、「収支」の意味)という表現が使われます。表題の「収益シミュレーション」も業界の慣習にならって「儲け=利益」という意味合いで使われています。

本コラムでは、「損益計算」や「資金計算」について記述していきますので、会計の分野で使われる「利益=収益-費用」ならびに「収支=収入-支出」という概念で解説していきます。

投資の目的は、自分自身の財産を殖やすことです。財産を殖やすためには、利益を得る必要があります。そして、利益を得るには、一定の必要経費を使い、その必要経費以上の収益を得る必要があります。

不動産投資の場合、投資するエリアの賃料相場を見れば「どれくらいの家賃収入」が得られるか?おおよその見当が付きます。また、必要経費についても関連業者から情報確認しやすいので、単年度の収益と費用は容易に見込めるはずです。

ただ、不動産投資は長期間掛けて行うので、単年度の利益ではなく、長期的に利益を上げられるか?が重要になります。

また、投資期間中に経済状況が変化し、様々なトラブルも発生します。そのような時に、安定的な利益があり、資金が蓄積されていれば、様々なトラブルにも対応できます。

2 基本になるのは、キャッシュフロー

不動産投資では、利益を計算したり、税金を計算したりする「損益計算」部分と、実際の現金流れを計算する「資金計算」部分の2つの計算を行います。
とはいえ、この2つは期間途中においては、資金と会計との認識の違いから不一致が生じるものの、投資の全期間を通してみると一致しますので、シミュレーション時点では、あまり意識する必要はありません。シミュレーションでは、さまざまな収入・支出項目を現金ベースで予測しますので、資金繰り=キャッシュフロー、つまり「資金計算」部分をつくっていきます。

シミュレーションに定型的な形式はありませんが、仕組みは極めてシンプルです。収入から支出を引いて、どれくらい儲かるか?=収益を時系列で確認していきます。

以下の図表(収益シミュレーションの例)では、「収入部分」から「支出部分」を引いて「収支(表では純収益)」を導き、「収支累計(表では純収益累計額)」がどうなるか?確認する仕組みになっています。

3 収入面の注意点

一般的にメインの収入である家賃の推移や水準は安定しており予想はしやすいです。
「どれくらいの収入が減っても、資金繰り上問題がないか?」を確認することが大切です。

シミュレーションする際に注意するのは、時間の経過に伴う「変動率(上昇率)」をどうするか?ということです。例えば、初年度の賃料等は、周辺の市場調査から想定した金額を入れますが、2年目以降の収入は前年の収入に一定の変動率を掛け合わせて計算します。
ただ、不動産投資は長期に渡るので、経済情勢、賃貸市場動向等を予測し、妥当と思われる収入を想定することは困難です。信頼性ある根拠に基づかない予想は却って判断を誤らせてしまいまいます。
ですから、シミュレーションの安全性を確保するため、変動率は0%に据え置くのが良いでしょう。

また、建物の構造や設備の経年劣化による競争力の低下による稼働率の低下も見込む必要があります。例えば、2年後の更新時に一定の空室率を加味することです。

4 支出面(必要経費)の注意点

支出には、経常的な支出、一時的な支出、突発的な支出があります。

「取得時の経費」は初期段階の一時的な支出で早い段階で確定します。
「管理費」「維持修繕費」「保有に関する税金」「損害保険料」「借入金返済(元本部分)」は、経常的な支出なので予想しやすい支出です。

「修繕費用」も定期的に見積れますが、予想を誤ると影響が大きいので、定期的に見直します。

シミュレーションする際に悩むのが、「借入金返済(利息部分)」の設定です。
当初の数年間は現在の金利をベースに設定して良いでしょうが、将来の金利は予想困難です。いろいろな考え方がありますが、シミュレーションでは安全性を重視すべきです。例えば、長期プライムレートなどを参考に5年毎に段階的に金利アップを見込んだシミュレーションをしましょう。
その上で、金利がどれくらい上がったら、損失が出るか?を確認しましょう。

5 結果として、適正な投資額が確認できる!

前述の図表(収益シミュレーションの例)に基づいて、不動産投資の可否を判断する場合、以下の視点をもって判断することになります。

①「純収益累計」がいつプラスになるか? 
~早期に実現できるか?ということです。
②「借入金の返済完了」がいつになるのか? 
~実現する時期は通常数十年後になりますが、自分自身の投資計画として問題ないか?ということです。
③投資終了時点で「いくらの収益になるか?」 
~最終的にどれくらい儲かるか?また、物価上昇などインフレによる目減りを加味した実質的な収益水準に納得できるか?

そして、不動産投資の成功も失敗も当初の投資額で決まると言われています。収益シミュレーションを行う最大のメリットは、実は、投資の適正額が確認できることです。

そういう点からも複数のシミュレーションを行うことにより、投資の是非を判断しましょう。

【このコラムの著者】

樗木 裕伸

銀行、IT系ベンチャー企業勤務を経て、2005年7月にFP/中小企業診断士として独立。

現在中小企業の経営者に対して、資産運用、後継者育成など包括的な相続事業承継コンサルティングを行なっているとともに、公的活動として東京都大田区の商店街活性化支援事業のアドバイザーとして商店街および個店に対し、創業・経営相談からリタイアメントプランニングまで相談・支援を実施している。
近年、変化の激しい時代を生き抜くための“知恵”の必要性を痛感し、子供とその母親を対象に“金銭”教育に取り組む。

他のコラム著者も見てみる

不動産投資家によっても違いは様々。
LIFULL HOME'Sが厳選した不動産投資家や専門家のコラムから色々な不動産投資スタイルを吸収してライバルに差をつけよう!

逆瀬川 勇造

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

最新コラム: 不動産投資は常に融資との戦い?ローンの基礎知識や流れを解説

風戸 裕樹

シリーズ連載: 初心者のための東南アジア投資ガイド

最新コラム: 第2章 日本の不動産市場と海外投資(3)

金井 規雄

シリーズ連載: アメリカ・ロサンゼルスで不動産投資 7年で1億円

最新コラム: あとがき

橋本 秋人

シリーズ連載: 実践派コンサルタントが見たFP的不動産投資事情

最新コラム: 3つの最新データから見る今後の不動産投資

LIFULL HOME'S PRESS

シリーズ連載: HOME'S PRESS編集部

最新コラム: 新たに始まる「住宅ストック循環支援事業」は特色のある制度に

田中 圭介

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

最新コラム: No.35 2019年ベトナムの不動産マーケット その1

佐藤 益弘

シリーズ連載: 不動産投資を始める前に知っておきたいこと・始めた後に確認したいこと

最新コラム: いまさら聞けない 相続のルール・・・改正されました その1

菅井 敏之

シリーズ連載: 誰も教えてくれなかった「銀行」~その傾向と対策~

最新コラム: 【第四回】必ず行っておきたい、銀行との「コミュニケーション」

LIFULL HOME'S不動産投資フェア

シリーズ連載: 2018/9/15+16 投資EXPO出展企業インタビュー

各出展企業インタビュー記事はこちら

LIFULL HOME'S マーケティング部 データ編集担当

シリーズ連載: ユーザーの本音から探る不動産投資

最新コラム: 将来性を秘めた街 『都心』エリア

鈴木 学

シリーズ連載: ヨーロッパの不動産事情

最新コラム: 概況..魅力溢れるヨーロッパ不動産投資

石渡 浩

シリーズ連載: 不動産投資に有益な融資を受けるための知識

最新コラム: 第4回 税引後キャッシュフロー偏重の盲点 銀行は決算書のここを見る(後編)

北野 琴奈

シリーズ連載: 今後はどうする?不動産投資と資産形成・運用の考え方

最新コラム: 地味ながらも、存在感を増してきたJ-REIT(不動産投資信託)

猪俣 淳

シリーズ連載: 猪俣淳の「不動産投資の正体」

最新コラム: フラット35を悪用した不動産投資

右手 康登

シリーズ連載: CPM®流「相続・不動産経営 実践術」 右手 康登のコンサル「みぎからひだりへ」

最新コラム: 島国の中での常識 VS グローバルスタンダードを知ることの重要性

末永 照雄

シリーズ連載: 失敗しない不動産投資の法則

最新コラム: 米国不動産投資(2) ― サンディエゴ編

寺尾 恵介

シリーズ連載: 悩める投資家への「目からウロコが落ちる」アドバイス 誌上チャレンジ面談

最新コラム: 22.管理運営・・・軽視されすぎ説。

伊藤 英昭

シリーズ連載: 伊東英昭氏の不動産投資コラム

最新コラム: vol.13 マンションと高級車

不動産投資・収益物件を検索するなら【LIFULL HOME'S 不動産投資】賃貸経営[マンション経営・アパート経営]をお考えなら、まずは掲載中の投資物件[投資用マンション・売りアパート・一棟売りマンション]を地域や価格帯、会社で検索して、価格や想定利回りで絞り込み!気になる投資物件を見つけたら物件の周辺情報を調べたり、収益シミュレーションを使って実際の運用をイメージ出来ます。不動産会社へはメールか電話でお問い合わせ・相談が可能です(無料)。不動産投資による資産運用をお考えなら【LIFULL HOME'S 不動産投資】

ページトップへ

情報セキュリティマネジメントシステム国際規格

株式会社LIFULLは、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格「ISO/IEC 27001」および国内規格「JIS Q 27001」の認証を取得しています。