藤田 博司の不動産投資コラム

シリーズ連載: 不動産投資家が次に着目している民泊投資とは

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

【民泊投資】民泊のメリット・デメリット

こんにちは、藤田博司です。

私は2011年に不動産投資をスタートし、これまで賃貸経営を行ってきました。2019月8月時点で、東京都、神奈川県、北海道に築古アパートを中心に全6棟、区分1戸を所有しています。

2018年9月にサラリーマンを卒業し、現在は不動産賃貸経営を主とするようになりました。

実は現在、所有している物件の一部を使って、「民泊」を始めることを検討しています。数か月後の稼働開始を目標に、今は民泊の準備をしているところです。

そこで今回は、実際に民泊を始めるにあたり、準備段階の私が感じているさまざまなことをご紹介します。

なぜ賃貸経営ではなく民泊なのか、民泊にはどのようなメリット・デメリットがあるのかなど、詳しくご説明しましょう。

民泊とは

Wikipediaには次のように書かれています。

「民泊(みんぱく)は、旅行者などが、一般の民家に宿泊することを一般的に意味する日本語の表現で、特に、宿泊者が対価を支払う場合に用いられる。」

つまり民泊とは、一般の住宅やマンションに有料でゲストを宿泊させることです。

なぜ民泊?

前述の通り、私は8年余り不動産賃貸経営をしてきましたが、今新たに民泊を始めようと準備をしています。数年前から民泊に興味があり、いろいろと勉強してきました。
なぜ私が民泊を始めることにしたのか、その答えを一言に集約すると「賃貸経営に課題、不安を感じているため」です。
詳しくは、次の「賃貸経営の課題」で説明しましょう。

賃貸経営の課題

8年余りの不動産賃貸経営経験で、私自身いくつもの課題と不安を感じてきました。
主な課題、不安は次の3つです。

1.日本は少子高齢化、人口減少が進行中であり、賃貸経営の将来性が不安
2.集合住宅が供給過多となっているエリアが増えていること
3.入退去の度に原状回復費用、客付けのための仲介手数料・広告料などがかかり、その負担が大きい

「1」から順に説明します。

1.少子高齢化・人口減少

日本の人口は2060年には総人口が9,000万人を 割り込み、高齢化率は40%近い水準になると推計されています。
2015年時点で1億2709万人なので、その後45年間で約3,700万人(約30%)も人口が減少する見通しです。
30%も人口が減少するとなれば、当然空室が増えることは容易に予想できます。
同時に「需要 < 供給」が進むことで賃料の低下も予想されます。

参考:日本の人口推移 厚生労働省

2.集合住宅の供給過多

エリアによっては、全く客付けに困らず、需給バランスが取れている地域もあります。しかし、明らかに需給バランスが崩れているエリアがあるのも事実です。
私が保有している神奈川県のアパートでは、安い家賃を設定し、初期費用はオーナー負担としているにもかかわらず、広告料を3ヶ月出しても半年以上空室の部屋があります。
地元の不動産会社に聞いたところ、築浅物件にもかかわらず、繁忙期(1〜3月)を過ぎても空室が埋まらないアパートが増えているとのことでした。

3.入退去時の費用負担大

私が保有している神奈川県のアパートを例にすると、年間8部屋の入退去があり、家賃収入と原状回復費用・仲介手数料・広告費・ローン返済などの支出がほぼ同額でした。
つまり通年の収支がほぼ0円ということです。
家賃アップにつながる設備投資もしましたが、それでも賃貸経営の今後に不安を抱かざるを得ない状況です。
割高な家賃が得られる物件であれば、これほど危機感を感じることもないでしょう。しかし低家賃の物件の場合、入退去時の費用負担は大きく、競争力のない物件の場合、客付けの費用負担は大きいです。

民泊のメリット

私が感じた3つの賃貸経営の課題をご説明しました。
これらの課題に対し、さまざまな解決策を考えてきた中でたどり着いた一つの答えが「民泊」です。

当然、民泊には向き不向きなエリアがあります。あくまで民泊に向いているエリアにある物件という前提で、私が考える民泊の6つのメリットをお伝えしましょう。

1.将来性がある
2.原状回復費がほぼかからない
3.収益性が高い
4.身軽
5.業務の大半を外注可能
6.築年数より立地重視

「1」から順に説明します。

1.将来性がある

日本政府は経済成長の柱の一つとして観光立国化を推進しており、訪日外国人観光客数を2020年までに4,000万人、2030年までに6,000万人まで増加させるという目標を掲げています。
2017年には前年比 19.3%増の約2,869万1,000人もの外国人が日本を訪れました。訪日外国人観光客は急速な勢いで増加しています。

参考:JNTO 日本政府観光局『訪日外客統計の集計・発表』

訪日外国人観光客の増加に伴い、問題になるのが「宿泊施設不足」です。東京や大阪、京都など主要エリアのホテル稼働率、客室単価ともに高騰しており、急速に増加し続ける宿泊需要の受け皿として民泊が注目を集めています。
日本政府の観光ビジョンが成功すれば、外国人観光客は少なくとも2030年までは増加することが期待できるでしょう。
つまり民泊のニーズは増加する見込みがあり、将来性があるということです。

2.原状回復費がほぼかからない

民泊運営代行会社に聞いたところ、賃貸物件に比べて、民泊の場合内装の劣化がかなり少なく、原状回復費用はほぼかからないとのことでした。
民泊の場合、数日しか宿泊しない旅行客が主な利用者です。入居者がそこで日常生活を送る賃貸と比べると、内装の損傷は少ないだろうと想像できます。

3.収益性が高い

現在、東京のアパートの1室に空きが出たため、民泊に転用する準備を進めています。
民泊運営代行会社に試算してもらったところ、民泊での収入は現行家賃収入の約4倍、経費を差し引いても約3倍の収入となりました。
今回対象となる部屋は元々の家賃が相場より安かったこともありますが、相場家賃で換算しても約2.5倍の収益でした。
民泊のための設備投資が必要にはなりますが、この費用も1年以内には回収できる見通しです。

4.身軽

民泊の場合、借り手と数年単位の賃貸借契約を結ぶわけではないので、建物の取り壊しや、大規模なリノベーションも容易に行えます。(ただし一棟を所有し、さらに全住戸を民泊で運用する場合に限ります。)
賃貸の場合、取り壊しをするためには全住民に退去してもらわなければなりません。立ち退き交渉や立ち退き料が必要となり、手間、時間、費用がかかるのでなかなか大変です。
民泊の場合は募集を停止するだけで容易に取り壊しもできるので、大変身軽だと言えるでしょう。
特に長期で物件を保有する場合、この身軽さはかなり大きなメリットになると思われます。

5.業務の大半を外注可能

賃貸経営と同様、民泊の場合もほとんどの業務(募集、消耗品の補充、掃除、ゲストとのやり取り、問い合わせ対応など)を外注することができます。オーナーは意思決定をするだけで民泊運用が可能です。

6.築年数より立地重視

一般的な賃貸経営の場合、立地が良くても、築年数の古さは入居者募集に苦労したり、新築と比べて家賃を下げなければいけなかったりと、入居付けも難しく、大きなデメリットとなります。しかし民泊の場合、内装は綺麗にする必要がありますが、築年数は利用者募集にさほど影響が少なく、宿泊料も新築と比べても大幅な下落はありません。むしろ重要なのは立地です。
ですので、所有している物件が築古の場合、賃貸経営よりも民泊運営の方が高い収益を上げてくれる可能性があります。

民泊のデメリット

前述の通り、私が賃貸経営で抱えていた課題の多くは民泊で解決することができます。しかし、やはり民泊にはデメリットもあります。
私が考える民泊のデメリットについて説明しましょう。

1.通常賃貸より立地が限られる
2.初期投資(設備投資)が必要
3.届出などの手間がかかる
4.準備に時間がかかる
5.経費が割高になる
6.近隣住民とのトラブルのリスク
7.トラブルの対応策

「1」から順に説明します。

1.通常賃貸より立地が限られる

通常の賃貸物件より、民泊で採算が取れる立地は限られます。
それには、法的な観点と利便性の観点から2つの理由が挙げられます。

法的な観点
特区民泊か否かによって、民泊での運用可能日数には制限があります。

エリア 年間営業日数の制限
特区民泊 制限なし(365日)
特区民泊以外 180日以内

特区民泊以外でも採算が合うエリアもありますが、通常は特区民泊の方が民泊に適していると言えるでしょう。
そのほか、自治体ごとに条例やガイドラインなど独自のルールがある場合もあります。自治体によよって、民泊の運営がしやすいところとそうでないところがあるということを覚えておきましょう。

利便性の観点
民泊の場合、利用者のほとんどは旅行客です。旅行客はスーツケースを持っていることが多いため、下記のような物件は民泊運用に不向きでしょう。

・長い(急な)坂がある
・駅から遠い (駅徒歩15分以上など)
・エレベータ無しの3階以上の物件

これらの条件は通常の賃貸でもネガティブ要素ですが、民泊の場合より影響が大きいと言えます。

2.初期投資(設備投資)が必要

民泊を運営するためには、消防設備、家具、家電などを準備しなければなりません。運営開始前に、これらの初期費用が必要になります。

3.届出などの手間がかかる

民泊を始めるに当たり、区役所、消防署での確認、届出などが必要になり、その手間がかかります。

4.準備に時間がかかる

民泊運営会社に確認したところ、物件の条件にもよりますが、スムーズに行っても準備に2ヶ月程度はかかるそうです。
私の場合、物件が民泊に適しているかの査定を含め、4ヶ月以上経ってもまだスタートできていません。
運用開始まで、さらにあと1ヶ月余りかかる見通しです。

準備期間は当然空室となり、この期間の収入は0となります。

5.経費が割高になる

運営に関して、民泊運営代行会社に管理を委託する場合、経費がかかります。
私がお世話になっている民泊運営会社の場合、固定費(光熱費、ネット代、消耗品代など)と管理委託費がかかります。
これらの費用は、賃貸管理の場合と比較すると割高です。賃貸管理より手間暇がかかるので、当然のことと言えるでしょう。

6.近隣住民とのトラブルのリスク

民泊で起こり安いトラブルとしては次の3つが考えられます。

・騒音問題
・ゴミ問題
・セキュリティ問題

騒音問題
夜遅くまでパーティが行われていたり、共用部分で大きな声を出して話をしていたりすることで、近隣の住民とトラブルになることがあります。

ゴミ問題
民泊施設から出されるゴミは、事業系一般廃棄物の扱いになります。
つまり、家庭ゴミのように決められた曜日に仕分けして出すものではありません。
民泊のオーナーが自分で処理するか、許可を持つ業者と契約して処理を頼まなければなりません。
ところが、ゲストがこのようなルールを知らず、家庭ゴミとしてゴミを出してしまうと、トラブルになることがあります。

セキュリティ問題
不特定多数の外国人が自由に出入りすれば、住民の不安が募り、苦情が寄せられてしまうこともあり得ます。

7.トラブルの対応策

事前に近隣住民に説明し理解を得ておく
民泊を始めるに当たり、事前に近隣住民へ説明し、理解を得ておくことでトラブルのリスクを軽減できます。

ゲストに利用方法を明示しておく
募集に当たり、部屋の利用方法を明示しておくことで、ゲストがルールを知らずにトラブルを起こすリスクを軽減できます。

苦情が入ったときにすぐに対処できる管理体制を整備しておく
「近隣住民への説明」や「ゲストに利用方法の明示」の対応をしてもトラブルが発生してしまうことはあり得ます。

ここで、民泊には「家主不在型」と「家主居住型」の2種類があるということを覚えておきましょう。
家主が同じ屋根の下にいる「家主居住型」の場合、家主がすぐにトラブル対応できるため問題ありません。
一方「家主不在型」においては、トラブルや緊急事態対応のため民泊管理会社との契約が必須条件となっています。自治体によっては30分以内の駆けつけ体制を義務としているケースもありますので気を付けてください。

不動産投資として民泊運営する場合、ほとんどの方は、家主不在型になるでしょう。この場合、トラブル時は管理会社が駆けつけて対応することになります。
オーナーとしては良質な管理会社を見つけること、日頃から管理会社と密接なコミュニケーションを取ることが大切になります。

まとめ

すでに人口減少が始まっている日本において、私と同様に不動産賃貸経営の将来に不安を抱えている方や、空き家の運用のために民泊に興味を持っている方はたくさんいると思います。
民泊は法の整備が始まったばかりで、まだまだ不安定なところもあります。しかし、民泊が不動産活用において大きな選択肢の一つとなることは間違いないでしょう。
私自身が実際に民泊運用をしながら感じたこと、気づいたことなど、体験を交えながら、今後も記事にしていこうと思います。

皆さんの人生に何かしらお役に立てますと幸いです。

【このコラムの著者】

藤田 博司

2011年に0から不動産賃貸経営(不動産投資)をスタートし、
2019月8月現在、東京、神奈川、北海道に築古木造アパートを中心に全6棟、 区分1戸を所有。
再建築不可、借地権、旧耐震等やや癖がある物件もあり。
自主管理2棟、区分1部屋。

三重県出身。
筑波大学卒業後、ITベンダーを渡り歩き、フリーランスを経て、LIFULLに就職、2018年9月にLIFULLを卒業し、現在は不動産賃貸経営を中心に活動中。
不動産賃貸経営以外の分野も模索、検討中。

【自由で幸せな人生】のためのオススメ情報発信のため、ブログ「ひろすたライフ」を不定期更新中

■保有資格
LTILファンデーション、ソフトウェア開発技術者(現応用情報技術者試験に該当)、ビジネス文書検定2級、宅地建物取引士

■好きなこと
読書、サッカー、旅行

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