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いよいよ民泊が全面解禁の方向へ!旅館業法の許可不要で始められる民泊新法の内容とは?

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HOME’S PRESS記事より引用 (2016年 07月10日 11時00分 掲載記事)
(※引用元の記事内容は、修正される場合があります)

民泊の全面解禁により、多くの人が自宅を提供可能に

今回の民泊解禁によって、旅館業法上の許可なく部屋を貸し出せるようになる

今回の民泊解禁によって、旅館業法上の許可なく部屋を貸し出せるようになる

2016年6月2日、政府は、個人宅の空き部屋に旅行者などを泊める「民泊」について、年間の営業日数を年180日以下とすることを条件に解禁することを閣議決定した。

民泊は、訪日外国人旅行客の急増を背景とする宿泊施設不足の受け皿としての役割と、少子高齢化や人口減少に伴う空き家の有効活用という両面からの効果が期待されている。

民泊の仲介サイト、世界最大手の米国「Airbnb」(エアービーアンドビー)によると、2015年に日本の登録物件への宿泊者は138万3,000人を超えたという。

日本では、”宿泊料を受け取って人を宿泊させる営業”は、旅館業法上の許可が必要だ。しかし、旅館業法の許可を得ていない”違法民泊”が横行し、治安の問題や騒音といった近隣トラブルが社会問題となっている。

そうした中、政府は2016年1月に東京都大田区、4月に大阪府(政令指定都市および中核都市の37市町村)を「国家戦略特区」として民泊条例を施行。認定事業者を募ったものの、「6泊7日以上の滞在日数」、「居室は床面積25m2以上」、「住居専用地域を除く」といった制約があり、2016年7月6日現在、認定を受けた滞在施設数は、東京都大田区の17施設、大阪府の2施設の計19施設に留まっている。

これまで民泊を合法的に行うためには、旅館業法上の許可を得て行うか、特区内で行うかの二者択一だった。しかし、今回の民泊解禁によって、旅館業法上の許可なく部屋を貸し出せるようになる。そのため、民泊を合法的に行うことができる対象者は一気に拡大し、”見知らぬ他人を有料で自宅に宿泊させる”ことが、身の周りで日常的に行なわれる可能性も出てきた。

治安や近隣トラブルなどの不安が残る中、政府は民泊を、どのような規則のもとに進めていくのだろうか。

日本で民泊を行う場合の3つのスタイル

2016年7月現在、民泊を始めるには3つの形態があり、それぞれが異なる法令で規定されている。また、営業日数の上限や住宅設備の条件など規定が異なるため、これから始めようとする人は、自身の民泊ビジネスのスタイルに合わせて選択することになる。

①旅館業法民泊(簡易宿所)
営業日数の制限がなく、年間を通じて本格的に民泊を行える。しかし、住居専用地域では営業ができず、消防法や建築基準法など厳しい条件あるため、3形態の中で許可を受けるのがもっとも難しい形態といえる。

②特区民泊
国から指定された「国家戦略特区」の中で「民泊条例」という条例を制定した自治体でのみ営業が可能。2016年6月現在、東京都大田区と大阪府の2つのエリアのみで施行されている。
特区民泊の大きな特徴は、「滞在日数が6泊7日以上」と決められている点だ。また、特区民泊は住居専用地域で営業できるとした自治体と、旅館業のようにホテルの営業ができる地域でなければ営業できないとしている自治体がある。

③新法民泊 ※2016年6月に閣議決定されたばかりで、まだ施行はされていない点に留意
住居専用地域での営業も可能で、旅館業のような「許可制」ではなく、インターネットによる「届出制」である。
ただし、年間180日未満で設定される営業日数の上限があることが特徴。また、民泊を各自治体の”条例で禁止することもできる”予定もあり、民泊禁止の条例を制定された自治体では新法民泊による営業ができないことも記しておく。

旅館業法民泊、特区民泊、新法民泊の条例一覧 ※2016年7月6日現在

旅館業法民泊、特区民泊、新法民泊の条例一覧 ※2016年7月6日現在

新法民泊では、家主の「居住型」「不在型」によって規制

新法民泊は、部屋の提供時に家主が住んでいるか住んでいないかで、「家主居住型(ホームステイ型)」と「家主不在型」の2つのタイプに区別される。

家主居住型(ホームステイ型)の要件は以下のようになっている。
 ・個人の生活の本拠である(原則として住民票がある)住宅であること。
 ・提供日に住宅提供者も留まっていること。
 ・年間提供日数などが「一定の要件」を満たすこと。※一定の要件に関しては、次の章で述べる

つまり、住民票がある家でも宿泊者が泊まる日には家主も在宅している必要があり、旅行などで家を留守にする場合に部屋を貸し出す場合は、この家主居住型では提供ができないということになる。

そして、住宅の提供者については、以下のような管理が求められる。
 ・利用者名簿の作成・保存(外国人利用者の場合は、旅券の写しの保存等を含む)
 ・最低限の衛生管理措置
 ・利用者に対する注意事項の説明
 ・住宅の見やすい場所への標識掲示
 ・当該住戸についての法令・契約・管理規約違反の不存在の確認
 ・安全面・衛生面の確保
 ・匿名性を排除する など

また、法令違反が疑われる場合や感染症の発生時等、必要と認められる場合の行政庁による報告徴収・立入検査や、業務停止命令などの、法令違反に対する罰則等を設けることも検討されている。

一方で、家主不在型の要件は以下のようになっている。
 ・個人の生活の本拠でない、または個人の生活の本拠であっても提供日に住宅提供者が留まっていない住宅であること。(法人所有のものも含む)
 ・年間提供日数などが「一定の要件」を満たすこと
 ・提供する住宅において「民泊施設管理者」が存在すること(登録された管理者に管理委託、または住宅提供者本人が管理者として登録)

家主不在型の場合、家主が提供日に不在であるため、騒音などのトラブルや苦情の申し入れ先として、住宅提供者が管理者に管理を委託することを必要としている。また、住宅提供者は、この管理者を「行政庁への登録を行うこととする」と検討されており、家主居住型の住宅提供者と同じように、利用者名簿の作成などの管理が義務付けられる。

参照:厚生労働省・観光庁「「民泊サービス」のあり方に関する検討会の検討状況」

参照:厚生労働省・観光庁「「民泊サービス」のあり方に関する検討会の検討状況」

一定の要件とは?民泊新法の焦点となる年間営業日数の設定

今回の閣議決定の中で、民泊の年間営業日数の設定については、検討会委員の意見が一致せず、「180日以下の範囲内で適切な日数を設定する」という記述にとどまっている。

海外に目を移すと、イギリスのロンドンでは90日、オランダのアムステルダムでは60日といった「営業日数上限」を設けている。国内の約3,200の宿が加盟している「日本旅館協会」が、”1物件につき年間最大営業日数を30日までとするべき”という意見を提出しており、具体的な年間営業日数の確定は、今回先延ばしにされた形となる。

民泊を営業する側にとって、この”年間営業日数”は重要な要素となる。この年間営業日数の上限によって、民泊の形態を、「旅館業法民泊」か「新法民泊」のどちらで運営をするかが変わってくるためである。

新経済連盟は「日数制限のもとでは投資を回収することはできず、空き家を活用することは不可能」として、日数上限に反対の意を表明している。

民泊サービスの制度設計について 厚生労働省

民泊サービスの制度設計について
厚生労働省

民泊のあり方を考えるには、民泊の持つ概念の理解を

民泊の全面解禁は、増加する訪日外国人旅行客の宿泊施設の受け皿、空き家の有効活用、地方活性化など、新しいビジネスとして様々な恩恵が考えられる。特に、2020年に訪日外国人旅行者数を4,000万人受け入れるという政府の目標を達成するためには、今後ますます観光が重要な産業になるだろう。

しかし、まだまだ議論を残している現段階で、元々住んでいる住民と民泊による訪問者を混在させるには、多くの懸念が残っている。

民泊のあり方を考える場合におさえておきたい点は、民泊は2020年のオリンピックに向けた、宿泊施設不足を補うために生まれたサービスではないという点である。

民泊は、すでに持っている資産を有効に活用することで生産性を高めようとする「シェアリングエコノミー」という概念そのものである。
人口減少が深刻な問題の一つとしてあげられている日本にとって、宿泊施設を補うという目先の目的以上に、空き部屋といった”遊休資産”の活用による経済の活性化という側面も注視されるべきだろう。

“健全な民泊”が管理運営されるためにも、「部屋の提供者」、「宿泊者」、「近隣住民」などが可能な限り合意できるような、民泊制度の適切なルール整備、および早急な対応が求められている。

【このコラムの著者】

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