LIFULL HOME'S PRESSの不動産投資コラム

シリーズ連載: HOME'S PRESS編集部

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

定期借家契約はどういう場面で利用する? 普通借家契約との違いを解説

無題10
HOME’S PRESS記事より引用 (2016年 03月27日 11時00分 掲載記事)
(※引用元の記事内容は、修正される場合があります)

定期借家契約の利用率は3.2%

賃貸物件の契約形態に定期借家契約というものがあることをご存知だろうか。同契約形態には2種類ある。1つは普通借家契約でもう一つは定期借家契約だ。

しかしながら、国土交通省の「住宅市場動向調査」(2014年度)によると、民間賃貸住宅に住み替えた世帯のうち、定期借家契約の利用率は3.2%だった。普通借家契約が95.8%(その他は無回答)だから、定期借家契約はほとんど利用されていない。やはり、あまり知られていないということだろう。

定期借家契約の制度は、2000年3月より施行されたものだ。それまでは普通借家契約しかなかった。普通借家契約は、借主に非常に手厚い内容になっている。たとえば、一般的に2年の契約期間が終了しても、貸主は正当な事由がなければ解約できない。したがって転勤などで一時的に自宅を貸したい場合や近々に売却したい場合などでは、貸したくても貸せない状況になっていた。
そこで施行されたのが定期借家制度だ。今はまだ利用率は低いが、貸主にとっても借主にとっても、状況によっては、空き家の有効活用、また遊休資産の有効活用法として利用価値の高い契約といえるのではないだろうか。従来の普通借家契約と比較しながらその内容を解説しよう。

2015年度の定期借家契約の利用率は、わずか3.2%。この割合はここ数年でそれほど変化していない(出典:国土交通省)

2015年度の定期借家契約の利用率は、わずか3.2%。この割合はここ数年でそれほど変化していない(出典:国土交通省)

普通借家契約と定期借家契約の違い

両契約には以下のような違いがある。

●契約方法
【普通借家契約】
 書面でも口頭でも可。(ただし、宅建業者の媒介等により契約を締結したときは、契約書が作成され交付される)
【定期借家契約】
 公正証書などの書面による契約に限る。さらに、「更新がなく、期間の満了により終了する」ことを契約書とは別に、あらかじめ書面を交付して説明しなければならない。この説明を怠ると「定期借家契約」の効力は無くなり「普通借家契約」になる。

●建物賃借料の増減に関する特約の効力
【普通借家契約】
 特約にかかわらず当事者は、賃借料の増減を請求できる。
【定期借家契約】
 賃借料の増減は特約の定めに従う。

●契約期間
【普通借家契約】
 契約期間は1年以上。 一般的には契約期間を2年とすることが多い。 なお、契約期間を1年未満とした場合には、期間の定めのない契約となる。
【定期借家契約】
 自由に定められ、1年未満も可能。契約の更新は無い。ただし、契約終了後に貸主・借主の双方が合意すれば再契約も可能。

●借主からの中途解約
【普通借家契約】
 特約で定めることが可能。特約では予告期間やその期間を過ぎた解約時に支払う金額などを定める。
【定期借家契約】
 借主が転勤、療養、親族の介護などやむを得ない事情により、借主が住み続けることが困難となったときは、中途解約が可能。ただし、居住用の建物で床面積が200m2未満のものに限る。また、特約で定めることでも可能になる。

●貸主からの解約
【普通借家契約】
 正当な事由(貸主がほかに住むところがなく貸している建物に住まなければならない場合など)が無ければ不可能。
【定期借家契約】
 原則不可能。

留守宅を有効活用したい場合「リロケーションサービス」という選択も

以上のように定期借家契約は、従来の普通借家契約に比べ借主よりも貸主に手厚い内容になっている。想定される利用場面には、前述のようにいずれ戻ってくることが分かっている転勤時や、近々の物件売却・解体予定などがあるケースだろう。

ここで、2000年3月の定期借家契約の施行後に登場した「リロケーションサービス」に触れておきたい。
このサービスは、貸主が委託した不動産管理会社と入居者間で「定期借家契約」を結ぶ形態で、貸主の留守中に、入居者管理や建物管理といった”大家の業務”を代理で行ってくれるというサービスだ。また、最近では仲介と管理を両方行う不動産会社も登場しており、管理会社が入居者の募集や家賃の集金、定期巡回、修理修繕の対応までおこなってくれる会社もあるので、どの程度まで代理で行ってもらうか、様々なサービスを比較検討して欲しい。
さらに、貸主はリロケーションサービスを利用することで、単に留守中の家賃収入を得られるだけではなく、実際に持ち家を貸し出した場合の賃料水準を把握できる点もメリットのひとつだ。

比較的に短い期間で貸し出すため、見ず知らずの他人ではなく、親戚や知人に貸す場合も想定されるだろう。こうした場合、いくら身内だからといって「言った、言わない」などのトラブルを防ぐためにも、きちんと定期借家契約を取り交わしたいものだ。

借主によってのメリットは、なんといっても家賃の安さ

一方で借りる側にも十分メリットがある。それは安く設定された家賃だ。定期借家契約は文字通り期間限定の契約だ。いくら気に入っても貸主の合意がなければ住み続けることができない。そのため、相場よりも家賃が安く設定されていることが多い。転勤や長期出張の期間が決まっている場合や自宅の建て替え時などで短期間の住まいを探しているケースでは利用価値は大きいだろう。
また、物件の購入を検討している人にとって、期限を決めた上で試験的に戸建てに住むというお試しができる点もある。実際にその地域に住まなくてはわからない、周辺地域の雰囲気や自治体の活動、通勤のイメージなどを知ることができる。
また、貸主は、トラブルを起こす住人を契約期間が過ぎた段階で退去させることができるので、長期間住んでいる住人が多いほど比較的住民トラブルが少ない傾向にあるようだ。

定期借家を利用する場合、貸し出す方は、契約内容や原状回復、税金などの手続きや注意点をきちんと理解し、反対に住む側は、オーナーが戻ってきたあとにすぐに住めるよう、住宅の手入れや日頃の掃除などに気をつけ、あくまでオーナーの大切な資産を借りているという意識を忘れずに住みたいものだ。
自分自身のライフスタイルに応じて、賃貸住宅を選ぶ際のひとつの選択肢として、定期借家も候補に入れてみてはいかがだろうか。

定期借家契約は一見貸主に手厚い内容となっている。しかし、状況によっては借主にも十分メリットはある。双方納得したうえで契約を締結したい

定期借家契約は一見貸主に手厚い内容となっている。しかし、状況によっては借主にも十分メリットはある。双方納得したうえで契約を締結したい

【このコラムの著者】

LIFULL HOME'S PRESS

LIFULL HOME'S PRESSは、住まいの「本当」の情報を届け、住まいの専門家の知識・見解、住み替え体験者の体験・意見が学べます。 住まいの「今と未来」の新鮮な情報、トレンドを発信や「らしく住む」ための知識・アイディア・ヒントが盛りだくさん。

他のコラム著者も見てみる

不動産投資家によっても違いは様々。
LIFULL HOME'Sが厳選した不動産投資家や専門家のコラムから色々な不動産投資スタイルを吸収してライバルに差をつけよう!

石川 和寿

シリーズ連載: 不動産会社のプロの意見

最新コラム: 賃貸のプロが教える入居者募集の6つのコツ

藤田 博司

シリーズ連載: 不動産投資家が次に着目している民泊投資とは

最新コラム: 民泊の準備で困ったこと

樗木 裕伸

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

最新コラム: 不動産投資ローンと住宅ローンの違いと5つの金融機関の特徴

逆瀬川 勇造

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

最新コラム: 不動産投資は常に融資との戦い?ローンの基礎知識や流れを解説

LIFULL HOME'S 不動産投資編集部

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

最新コラム: 会社員の副業は不動産投資で決まり!?副業で取り組むメリット4つとは?

風戸 裕樹

シリーズ連載: 初心者のための東南アジア投資ガイド

最新コラム: 第2章 日本の不動産市場と海外投資(3)

金井 規雄

シリーズ連載: アメリカ・ロサンゼルスで不動産投資 7年で1億円

最新コラム: あとがき

橋本 秋人

シリーズ連載: 実践派コンサルタントが見たFP的不動産投資事情

最新コラム: 不動産投資で押さえておきたい土地の公的価格

田中 圭介

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

最新コラム: No.41インドネシア不動産投資のチャンス その2

佐藤 益弘

シリーズ連載: 不動産投資を始める前に知っておきたいこと・始めた後に確認したいこと

最新コラム: 高齢化と不動産投資(2)~「簡易生命表」を見て、人生100年時代を理解する

菅井 敏之

シリーズ連載: 誰も教えてくれなかった「銀行」~その傾向と対策~

最新コラム: 【第四回】必ず行っておきたい、銀行との「コミュニケーション」

LIFULL HOME'S不動産投資フェア

シリーズ連載: 2018/9/15+16 投資EXPO出展企業インタビュー

各出展企業インタビュー記事はこちら

LIFULL HOME'S マーケティング部 データ編集担当

シリーズ連載: ユーザーの本音から探る不動産投資

最新コラム: 将来性を秘めた街 『都心』エリア

鈴木 学

シリーズ連載: ヨーロッパの不動産事情

最新コラム: 経済苦境続くギリシャ不動産のいま

石渡 浩

シリーズ連載: 不動産投資に有益な融資を受けるための知識

最新コラム: 第4回 税引後キャッシュフロー偏重の盲点 銀行は決算書のここを見る(後編)

北野 琴奈

シリーズ連載: 今後はどうする?不動産投資と資産形成・運用の考え方

最新コラム: 利下げと不動産投資

猪俣 淳

シリーズ連載: 猪俣淳の「不動産投資の正体」

最新コラム: フィッシャー・ハドソン・ウィルソン・モデル

右手 康登

シリーズ連載: CPM®流「相続・不動産経営 実践術」 右手 康登のコンサル「みぎからひだりへ」

最新コラム: 島国の中での常識 VS グローバルスタンダードを知ることの重要性

末永 照雄

シリーズ連載: 失敗しない不動産投資の法則

最新コラム: 米国不動産投資(2) ― サンディエゴ編

寺尾 恵介

シリーズ連載: 悩める投資家への「目からウロコが落ちる」アドバイス 誌上チャレンジ面談

最新コラム: 27.「決算書思考」で不動産投資が変わる(前編)

伊藤 英昭

シリーズ連載: 伊東英昭氏の不動産投資コラム

最新コラム: vol.13 マンションと高級車

不動産投資・収益物件を検索するなら【LIFULL HOME'S 不動産投資】賃貸経営[マンション経営・アパート経営]をお考えなら、まずは掲載中の投資物件[投資用マンション・売りアパート・一棟売りマンション]を地域や価格帯、会社で検索して、価格や想定利回りで絞り込み!気になる投資物件を見つけたら物件の周辺情報を調べたり、収益シミュレーションを使って実際の運用をイメージ出来ます。不動産会社へはメールか電話でお問い合わせ・相談が可能です(無料)。不動産投資による資産運用をお考えなら【LIFULL HOME'S 不動産投資】

ページトップへ

情報セキュリティマネジメントシステム国際規格

株式会社LIFULLは、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格「ISO/IEC 27001」および国内規格「JIS Q 27001」の認証を取得しています。