石渡 浩の不動産投資コラム

シリーズ連載: 不動産投資に有益な融資を受けるための知識

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

第1回 本当に今収益不動産を買いますか。不動産を買う場面以外の銀行との付き合い方

 私は2009年から、ブログを主たる媒体として、いわゆる「サラリーマン投資家」の方々向けに、自らの不動産投資経験を活かした資金調達の情報提供をしております。当時、リーマンショック後の信用収縮の時期で、安い売り物が沢山あり、一方、銀行の不動産融資が慎重姿勢だったので、融資を受けて不動産を買うノウハウに価値がありました。また、不動産仲介業者の方々は、高利回りで収支の合う物件が多い中で、一部の不動産融資に積極的な銀行が好む顧客に対し、物件と銀行とをセットで紹介することで高額な利益を挙げられ、収益不動産専門の仲介業者さんが増えていた時期でした。

 それから4-5年経った現在、状況はどうでしょう。23区内で表面利回り10%以上のRC一棟マンションを買うことが難しくなりました。東京都外でも、都市部では利回りが下がっています。不動産投資は経費のかかる事業ですので、猪俣淳氏のコラムに解説されているとおり、表面利回りに使われる満室想定賃料よりも、運営経費を引いた後の営業利益(減価償却費控除前)やそれ基づく純利回りは、低くなります。それを計算し、また、将来の金利上昇リスクを考慮すると、売価の9割以上の融資を受けて、賃貸事業目的で都市部にRC一棟マンションを買うという投資は、現在あまり現実的ではないと、私は一個人投資家として実感しています(注:私は法人名義で不動産投資をしていますが、機関投資家ではないという意味で「個人投資家」という表現を使っています)。
 
 こうした中で、現在、2009年前後に買った物件を売却して利益を確定させようとする投資家が増えており、また、収益不動産仲介を得意とする不動産会社は、顧客対象をいわゆる「サラリーマン投資家」から富裕層・資産家にシフトさせたり、あるいは、業務内容の比重を自己居住用物件仲介や賃貸管理に移したり、といった対応をしています。また、銀行業界では、収益不動産価格が高くなる中で、収支計算と評価の両面において、財務力のある法人(不動産賃貸業の資産管理会社含む)への融資が多くなっています。

では、副業として不動産投資をしているサラリーマンの方々は、今何をすべきでしょう。収支が合い物件評価面でも割安な売り物件情報が入ってきた際に融資を受けて買える体制を整えるべきだと、私は考えます。投資では安く買って高く売るのが基本です。私たちの不動産投資は宅建免許を持って行う売買業ではないので長期投資になりますが、それであっても、その基本は変わりません。高いものを無理に買う必要はありません。そういう市況の中でたまたま安いものが出るのを、または、相場が下がるのを待ちながら、融資を受ける準備をすることが重要です。
銀行の法人審査で重要なポイントは債務償還能力です。例えば、経常利益+減価償却費を借入金で割った「債務償還年数」は短いほうが望ましい指標です。この指標を良くする方法としては、経費を下げる方法があります。経費削減として効果的なのが支払利息です。また、資産額から負債額を引いた純資産額やその総資産に対する比率は大きいほうが望ましいですが、一般的な小規模不動産賃貸業の場合、売買がなければ、毎年の経常利益が(税引後)当期純利益に反映され、その額が純資産の増額部分となります。

もっとも、元金を残したまま支払利息を下げるためには、金融機関にそれをさせる合理的理由が必要です。本稿ではその理由となる事項を2点紹介します。

1点目として、財務状況が良くなっていることを示すことです。金利引き下げを求める以前に、売上の上昇(具体的には入居率を高めたり家賃収入以外の副収入を上げたりすること)や運営経費の縮小(具体的には管理体制の見直しにより修繕費や毎月の管理費を下げること)により、営業利益を上げることが望まれます。

また、より低金利での資金調達ができそうな他の金融機関と融資取引を始めることです。不動産購入資金以外でも、借り換え資金、修繕資金、副収入を得るための設備導入費用等、融資を受ける名目はあります。既に不動産賃貸業を行っている個人・法人が新規開拓銀行に融資の相談をすると、他行からの借換を勧められがちです。新規銀行にとって、購入案件融資が難しい今の市況において大口の貸付をできるのは借換ですし、既に経営実績のある物件の借換ですから、銀行にとって融資判断がし易くなりリスクが低くなります。2点目として、他行から低い金利が提示されることも、従来の銀行との金利引き下げ交渉の合理的理由となります。

私は2009年に割安な不動産をいくつも購入しましたが、2010年以降はそれが為難くなっていったため、「不動産を買う場面以外の銀行との付き合い」を重視してきました。その結果、融資金融機関は20以上になりました。また、一般に法人向け融資は個人向け融資よりも金利が高くなりますが、法人の借り入れについても、加重平均して2%未満に落とすことができました。そして、金融機関からの「借りてください」という電話や訪問営業を、週1回は受けています。

いつまでも無限に上がり続ける相場というのは通常ありません。収益不動産の利回りについても、過去上下変動が繰り返されてきたことは、皆様の多くが経験上ご存知のことでしょう。では、相場が高騰している今、あなたは本当に収益不動産を買いますか。もちろん、そういう中でも安く買えるのならば問題ありませんし、私は先月都内のアパートを購入したところです。しかし、4-5年前のように、割安な物件が次々と売り出される市況ではありません。そのような中で、無理して高い物件を買う必要はありません。もし無理をしなければならない物件しかないならば、今買う必要はないでしょう。

今の市況では、上述のとおり、今後の購入に備えた「不動産を買う場面以外の銀行との付き合い方」が重要です。更に詳しいことは、私の特別メールマガジン1「不動産を買う場面以外の銀行との付き合い方」と特別メールマガジン2「既存借入額2億円以上で法人として本格的に不動産賃貸業をしたい方向けの特別メルマガ」をお読み頂ければと思います。

【このコラムの著者】

石渡 浩

神奈川県生まれ。神奈川県在住。
2007年慶応義塾大学大学院経済学研究科修了。大学院在学中の2005年12月に不動産投資を始め、大学院修了後の2007年4月に不動産投資会社を設立して不動産賃貸業に専念する。2012年までに、アパート・マンション20棟194戸、区分所有 (分譲)マンション20戸、一戸建て住宅12戸、計225戸を所有し、年間家賃収入 約2億円になる。
また、2009年1月からブログとメールマガジンによる不動産投資情報提供を開始し、不動産賃貸業の傍ら講演・執筆にも取り組む。講演は不動産会社・証券会社・不動産ポータルサイト運営会社等の主催者から招聘されて出講するものに加え、自身で企画・募集する自主セミナーもある。メールマガジン・ブログ読者を対象に、有料セミナーの申込を1日で300人から得た経験を持つ、インターネットを利用した集客のプロでもある。
現在、不動産投資とその講演・執筆に加え、資金調達やインターネット集客について中小企業経営者向けの情報提供活動も行っている。

【メールマガジン】
「石渡浩の不動産投資を本業に―保証人無しでも融資を受け自己資金にレバレッジをかけて家賃年1億円越えを― 」
http://www.mag2.com/m/0000279415.html

【ブログ】
「不動産投資家石渡浩のブログ」
http://blog.fudosan-toshi.org/

【フェイスブック】
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