田中 圭介の不動産投資コラム

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

No.104 2022年ASEAN各国の経済成長率について

エイリックの田中です。

2022年4月1日からASEANのほとんどの国でワクチン接種をしていれば、隔離が緩和されて入国できるようになってきました。最新の状況は大使館や各航空会社のホームページ等をご確認していただきたいのですが、少なくともASEAN各国においてコロナは「エンデミック」に向かっています。

そんな中、アジア開発銀行から2022年のASEAN各国の経済成長率予測が出てきたのでそれをご紹介したいと思います。前回のコラムでは2021年の数字でしたが今回は2022年、今年の予測という内容になります。

図1 : ASEAN6カ国の経済成長率予測

図1をご覧になっていただければ一目瞭然ですが、2022年の経済成長で1番良いのはベトナムです。6.5%の経済成長を見込んでいます。ワクチン接種率の高さ(18歳以上で約80%)、2023年までの経済復興支援計画なども発表されており、これが追い風になると見込まれています。とはいえ、この政策がきちんと履行されて計画通りに行くかどうか、ここが最大の焦点になると思います。

また次点としてフィリピンとマレーシアが挙げられていますが、マレーシアに関しては政策課題として人材開発をポイントに置いており、今後の発展に「人材」が非常に重要だとの認識になっています。

フィリピンに関しては今年大統領選がありますが、以前より政府が推し進めていたインフラ投資が功を奏して、投資が進んでいる状況です。またフィリピン政府としては中小企業の競争力強化が重要だという認識をしています。

その次はインドネシアの見通し5.0%として予測されています。個人消費が力強く、また製造業の景況感が改善されているとの考えが出されています。

一方でタイやシンガポールは少し厳しめに数字を見ているようです。
特にタイは、ウクライナ危機の影響でサプライチェーン(調達・供給網)がダメージを受けると自動車や自動車部品、ゴム製品といった製品の輸出に影響が見込まれること、基幹産業の一つとなっている観光業でも、ウクライナ危機で欧州などからの旅客が減る恐れがあることを不安要因に挙げています。

タイはこの7月頃からタイランドパスなども廃止して、ほぼ以前通りの状態になると言われています。これによってどれくらいのインパクトが出てくるか、どれだけの投資家が帰ってくるか、この夏の動きによって変わってくると想定されます。

そして、アジア開発銀行の中で、唯一のマイナス成長予測をしたのがミャンマーです。クーデターとその後の軍事政権と民主派勢力との激しい対立、外資の撤退などで21年はマイナス18.4%成長という記録的な経済不振にあえいだミャンマーについては、今年はマイナス0.3%成長と、マイナス幅の著しい縮小を見込んでいますが、正直厳しいと言わざるを得ません。

しかし、全体を見るとコロナからの脱却が進み確実に成長の軌跡を描いていると言えるでしょう。もちろんロシアによるウクライナ侵攻の影響で、今後どうなっていくかは読めません。しかし、それでもASEANの成長は十分予測できることだろうと判断しています。

もう少しの我慢が必要かもしれませんが、2022年は明るい歳になりそうな気がしています。

【このコラムの著者】

田中 圭介

1979年兵庫県生まれ、関西学院大学経済学部卒。 新卒で外資系製薬メーカー入社後、出版社を立ち上げる。 2005年より大手不動産ポータルサイトにて営業責任者を5年以上歴任した後、2011年タイにて現地法人の立ち上げ、現地不動産ポータルサイトを立ち上げた経験を持つ。 在タイ時代から数多くの人脈を持ち、ASEAN各国を駆けずり回る。 現場主義を信条とし、自身の経験や知識を元に投資家や企業のサポートを行う。 主な著書に「ASEAN不動産投資の教科書」など3冊。

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