田中 圭介の不動産投資コラム

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

No.106 タイ不動産マーケットの現状について

エイリックの田中です。

2022年6月から日本においても外国人受け入れが始まりました。とはいえ、まだツアー客のみということで、本格的な開国にはまだ時間がかかりそうです。おそらくこれを読んでいる方も海外出張に行かれている方もいらっしゃると思いますが、日本帰国前にPCR検査を受けないといけないなど、まだ少し不便ではありますが、世界はかなり緩和されてきています。

これに応じて不動産マーケットも徐々に動き出しています。今回はそんな中でもタイを取り上げて見ていきたいと思います。

まず、コロナ禍によってタイ不動産マーケットは一気に止まりました。もちろん他の国でも同様なのですが、中国人投資家からの投資が多かったタイ不動産は根が深いとも言えるでしょう。

そのため2019年まで順調に成長していた不動産マーケット(図1参照)は、都市部の不動産価格が非常に上がってしまい、人口の分布図も少し変わってきたように思えます(図2参照)。

図1 :バンコクのコンドミニアム価格推移

出典:タイ中央銀行よりエイリック作成

上記の図から見てもわかる通り、2020年に成長率が一気にマイナス7%ほどまでなりました。価格指数は2009年を100としているので見た目的にはそこまで下がっていませんが、成長率でいうと非常に厳しい状況になっています。

常に5%前後の成長率があったバンコクの不動産マーケットですが、やはりコロナの影響は大きかったといえます。2021年に入り、少し戻した感じはありますが、2022年に入りタイにおいてはいち早く海外に門戸を開き、エリートカードとは別にスマートビザの導入も進めています。これは隣国のマレーシアとは逆の動きを見せています。

この動きが2022年6月に入り、徐々に復活してきている状況です。中国人投資家も戻りつつありますが、まだ都心部で買える新規物件がないので、今は中古物件の底値を狙うような動きが出てきています。これらの一連の動きの中でローカルのタイ人の動きが図2のようになってきています。

図2:バンコクの人口分布図(2020年)

出典:タイ運輸省データ

中心部から郊外に向けて人口が増えています。これはどこの国でも似たような動きをするのですが、いわゆる「ドーナツ現象」です。都心部の不動産価格が上がりすぎて、ローカルのタイ人はどんどん郊外に行き、そしてコロナ禍ということもあり郊外のコンドミニアム、戸建てが売れている状況です。

現在、外国人投資家になかなか売れない状況ですので、現地デベロッパーはローカル向けの不動産開発を2020年から増やしています。ここが功を奏して非常に伸びています。図3と図4をご覧ください。

図3:バンコクのシングルハウス価格指数と成長率

図4:バンコクのタウンハウス価格指数と成長率

出典:タイ中央銀行データよりエイリック作成

コンドミニアムのグラフと比較して欲しいのですが、戸建て(シングルハウス、タウンハウス)の成長率はコロナ禍でも0%になったのはほんの一瞬だけでした。それだけ戸建ての根強い需要があるということです。

ここにチャンスを見出しているのが現地のデベロッパーであり、日系企業も今はこのマーケットを狙っているところです。

ある意味ではようやく実需で売上が立てられるようになったタイ不動産であり、この辺りはタイの成長を実感できている部分はあります。

そんな中で2022年の今、タイ不動産マーケットはまたコンドミニアムを中心に都心回帰が叫ばれそうです。面白そうな状態になってきたなと感じております。

私も今年はタイに行き、現地調査を本格化していきたいなと思っています。

【このコラムの著者】

田中 圭介

1979年兵庫県生まれ、関西学院大学経済学部卒。 新卒で外資系製薬メーカー入社後、出版社を立ち上げる。 2005年より大手不動産ポータルサイトにて営業責任者を5年以上歴任した後、2011年タイにて現地法人の立ち上げ、現地不動産ポータルサイトを立ち上げた経験を持つ。 在タイ時代から数多くの人脈を持ち、ASEAN各国を駆けずり回る。 現場主義を信条とし、自身の経験や知識を元に投資家や企業のサポートを行う。 主な著書に「ASEAN不動産投資の教科書」など3冊。

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