田中 圭介の不動産投資コラム

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

No.21 東南アジアに向かう日系企業の状況 その1

エイリックの田中です。

1年ぶりの更新となってしまいました。大変申し訳ございません。
このコラムを書かせてもらってから約3年以上が経ちました。
その間にASEAN諸国の不動産は大きく成長したと言って良いと思います。

また各国の不動産事情も徐々に変化はあるものの、ずっとASEANエリアの不動産を見ている私からすると、一番大きな変化だと言えるのが、「日系大手企業が続々とASEANに進出している」ということだと思います。

私自身、各社のお手伝いをさせてもらっている関係でここ最近は色々と意見を聞かれることが増えてきました。また各社の動きも早くなり、各社とも日本の不動産市場に対して大きな危機感を抱いていることがわかりました。

久々のコラムでは、この日系企業の動きを3回に分けてお届けしたいと思います。少しでもこれを読んでいる方にとってメリットのあるものになればと思います。

さて、図1をご覧ください。

2018年11月時点での各国における日系企業の進出会社名が記載されています。
ここには書ききれないほどの会社が実は既に進出をしています。

まず「なぜ日系大手不動産会社、住宅メーカーがASEANに進出するのか?」
そこから紐解いていきたいと思います。

大きくは3つあると私は考えています。

1.日本の市場が飽和状態であること
2.ASEANが地理的にも近く、成長中のエリアであること
3.クロスボーダー時代の到来

それでは改めてこの3つを解説していきたいと思います。

1.日本の市場が飽和状態であること

図2を見てください。

図2

新築着工戸数が100万戸を切って10年近く。その中でも実需として開発されるマンションや戸建はほぼ横ばい状態になっています。
一方で貸家の建設も全体の半分近くを占めています。
一方で少子高齢化のせいなのか、都心一極集中のせいなのか、昨今話題になっている「空き家問題」で日本には820万戸もの空き家があると言われています。

この状況の中で昔ほど新築物件をどんどん作っていくような環境ではなくなってきました。不動産開発会社としては、もちろん素晴らしい家を作って、住む人が大満足できる家を作っていくという使命があると思いますが、820万戸の空き家があり社会問題化しています。
これ以上新築の家は必要なのか?という話です。

この問題をここで取り上げる気はありませんが、少なくとも日本において、戦後焼け野原になった場所で住宅が圧倒的に不足していた時代とは違い、今は家が余っている状況になっている、というのが正しい見方でしょう。

そうなると必然的に家を作って売って、そのお金でまた家を作って、というサイクルが止まることが容易に想像されます。

一部の不動産開発会社は住宅を作るのではなく、投資用の物件を開発するという流れになったり、業態を変えたり、と戦略を変えて生き残っている企業もありますが、全体の流れとしては日本で新築物件を作り続けることは早晩非常に厳しい結果を招く、という企業戦略になると考えられます。

そして、実際に彼らと話をすると、その危機感は非常に強いものがあります。多くの企業が「日本だけで仕事をするリスク」を潜在的に抱えている状況に陥っているのです。

また直近の話では不動産投資ブームが起きていましたが、一部の銀行、不動産会社による不正融資事件が発覚し、不動産融資に対する引き締めが徐々に出てきました。表向き何かしらの発表があったわけではありませんが、これを読んでいらっしゃる優秀な不動産投資家の皆様はお気づきだと思います。

現在、銀行は不動産に対する融資を非常に厳しくしています。特にサラリーマン投資家と言われる人たちへの融資は今かなり通らなくなってきています。この動きは当面続くと思われます。と同時に、不動産の価格高騰もいったん落ち着くと予測されています。

このように社会構造的に住宅需要が減ってきた部分と投資用不動産需要の減退により不動産会社は厳しい時代を迎えそうな予感がしています。そして彼らが選択するのは、違う国、違うエリア、違う商売、そういう発想を余儀なくされている、それが2018年の今の状態です。

そしてその矛先に入っているのがASEANへの進出、ということなのです。
このあたりは次回から掘り下げていきたいと思います。
それでは。

【このコラムの著者】

田中 圭介

1979年兵庫県生まれ、関西学院大学経済学部卒。 新卒で外資系製薬メーカー入社後、出版社を立ち上げる。 2005年より大手不動産ポータルサイトにて営業責任者を5年以上歴任した後、2011年タイにて現地法人の立ち上げ、現地不動産ポータルサイトを立ち上げた経験を持つ。 在タイ時代から数多くの人脈を持ち、ASEAN各国を駆けずり回る。 現場主義を信条とし、自身の経験や知識を元に投資家や企業のサポートを行う。 主な著書に「ASEAN不動産投資の教科書」など3冊。

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