田中 圭介の不動産投資コラム

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

No.23 東南アジアに向かう日系企業の状況 その3

エイリックの田中です。

前回前々回と「なぜ日系大手不動産会社、住宅メーカーがASEANに進出するのか?」というテーマを掲げて、その理由の一つである、「日本の市場が飽和状態であること」「ASEANが地理的にも近く、成長中のエリアであること」について書いていきました。

今回は、最後の3つ目である「クロスボーダー時代の到来」について書いていきたいと思います。ここは見過ごしがちですが、実はほとんどの企業が狙っている部分でもありますので、ぜひ知っていただきたいところです。

まず「クロスボーダー」というのは文字通り「国境を越える」という意味ですが、転じて「国際間取引」という意味合いで使われることが多いです。
特に昨今では海外の企業が日系企業を買収した、とか反対もしかりですが、これらは全てクロスボーダー取引という事が言えます。

昔からも当然のようにありましたが、このコラムを読んでいただいている皆様の中には海外に不動産をお持ちの方もいらっしゃると思います。それらもクロスボーダー取引といえばクロスボーダー取引です。
これが不動産の世界にも当然ながら入ってきていて、単純に外国人が不動産を買う、というだけではおさまらない状態になってきました。

2018年現在、これだけインターネットが当たり前の世界になり、SNSなどを駆使する事で簡単に人と人が繋がる世の中になりました。言語の問題があるとはいえ、英語さえ話せれば世界の20%と繋がる事ができると言われています。
しかし世界の富裕層やビジネスパーソンは私の経験から言ってもほとんどが上手い・下手に関わらず英語でコミュニケーションをはかる事ができます。

ますます世界が近くなり、当たり前のように国境を越えた取引がこれから行われていくという話です。

前回、前々回と書いたお話は不動産業界の実情と今後、というイメージで描いていますが、今回は「業界問わず、必ず起きる」話です。
特に不動産でいうと、日本人だけに家を売る、家を貸す時代ではなくなりました。また建物も貸家とか持ち家とかではなく、ホテル、長期滞在型施設など様々な方法論が昨今は生まれてきています。

図1をご覧ください。

図1 訪日外国人数推移とエリア内訳状況

*出典:JNTO(日本政府観光局)_2018年3月15日発表のプレスリリースより抜粋

2011年から急速に訪日外国人数が増えてきました。
これの大きな原因は中国人旅行者の増加なのですが、やはり中国に経済力がついてきたから、というのが一番大きな理由でしょう。
そして、現在は東南アジアからの観光客が急増しているような状態です。

また東京は2020年7月にオリンピックが控えています。
これらも踏まえて東京は今まさにホテルの建設ラッシュ。想定されている需要に対して供給が追いついていない状態が続いています。

日本政府も色々と施策を打ち出していますが、やはりこの急増した旅行者、ならびに入管法の改正なども相まって、これから日本には数多くの外国人が旅行ないしは仕事で来日してきます。それは今までの比ではありません。

だったら、日本の不動産会社もわざわざ東南アジアに行く理由がないじゃないか、と思いがちですが、こういうものは双方向でやっていかないと実を結ばないものです。日本でマーケットシェアを取っている、と言ったところで、海外の方の情報源はSNSであったり、同国人のネットワークであったり、自分の身近な場所で手に入れる情報で動く傾向があります(これは日本人が海外に行っても同じだと思います)。

そのため、日本では有名でも海外では全く無名で知名度がないために、海外のお客さんが宿泊してくれない、というホテルは実はかなり多いです。そしてそれは現地でプロモーションをすれば良い、という単純な話ではなかったりします。

このクロスボーダー時代、海外のインバウンドを日本で得るために、海外に進出する、という一見ちぐはぐな印象を与える考えですが、海外に進出したことで現地の方に名前を覚えてもらい、日本に来た時には使ってもらう、そういう時代がもう目の前まで来ています。

今後、日本だけで活動している企業はどんどん縮小ならびにニッチな独自路線を極めていかざるを得ないと思います。逆に大企業として生き残るには絶対的に海外に活路を見出す必要があります、それも出来る限り早く。これは自社の海外駐在員やスタッフの成長スピードがマーケットの成長スピードに追いつかないからです。そして世界中で優秀な人材の取り合いになっているので、やっと育った、と思ったら他社に引き抜かれる。そんな時代になってきています。

その生き残りをかけて、彼らはASEANへ飛び出しているのです。
これから二極化に入っていく時代、クロスボーダーが当たり前で、世界中から日本へ人を集めるためにも、日本から世界中に飛立つ必要があるということです。

これで今回のコラムは終わりとしますが
次回はそんな日系企業が進出した国の状況や物件などについて書いていきたいと思います。

引き続きよろしくお願いします。

【このコラムの著者】

田中 圭介

1979年兵庫県生まれ、関西学院大学経済学部卒。 新卒で外資系製薬メーカー入社後、出版社を立ち上げる。 2005年より大手不動産ポータルサイトにて営業責任者を5年以上歴任した後、2011年タイにて現地法人の立ち上げ、現地不動産ポータルサイトを立ち上げた経験を持つ。 在タイ時代から数多くの人脈を持ち、ASEAN各国を駆けずり回る。 現場主義を信条とし、自身の経験や知識を元に投資家や企業のサポートを行う。 主な著書に「ASEAN不動産投資の教科書」など3冊。

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