田中圭介の不動産投資コラム

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

No.25 2019年タイの不動産マーケット その2

エイリックの田中です。

前回、タイの不動産マーケットについて、日系企業が進出加速させていることに触れてきました。また、2019年のタイの不動産マーケットに関しては踊り場を迎えるのでは?という予測を出しました。

今回はその根拠について触れていきたいと思います。

前回のおさらいとして2019年のタイ不動産マーケットの懸念点を再度書いておきます。

1.土地の値段が上昇したことにより、売買価格も当然上昇したこと
2.立地の良い場所がどんどんなくなってきていること
3.現地の人が購入できなくなりつつあること

前回も示した通り、コンドミニアムの価格指数が上昇している一番の理由はデベロッパーが利益を取りすぎているわけではなく、単純に土地の値段が上昇しているからです。デベロッパーの利益は5年前に比べると3-5%ほどダウンしているのが実情です。なんだか日本と同じような感じですね。

ちなみに誤解のないように言っておかないといけませんが、私はタイだけではなくまだまだ東南アジアの不動産マーケットは伸びると思っている人間です。ただ2019年、特にタイに関しては調整局面が入る、と言っているだけですのでそこはご理解ください。

さて、土地価格の上昇ということに関しては、面白いデータがあります。
タイも日本同様公示価格というものが存在します。あまり日常的には使われませんし、タイの場合固定資産税の法案は通っているもののまだ施行までされていませんので、実質公示価格はあってないようなもの、に近いです。

その公示価格と実勢価格にエリアによっては5倍から8倍の差が出てきています。日本だとさすがにありえないですね。公示価格で坪単価100万円の場所が坪500万円で売られているとなれば、日本だとさすがに売れないと思います。

しかし、タイではそれが起きています。
これは急激にデベロッパーが土地を買い、供給戸数が増えた結果と言えるかもしれません。図1をご覧ください。

これはコンドミニアムの新規供給戸数を表すデータですが、2012年〜2013年にかけて一気に6万戸〜8万戸供給されました。特に2013年は中心部だけで1.5万戸ほど(ここでいうバンコクの都心部は日本で言うところの東京都中央区くらいの広さだけです)。

バンコクは800万人近い人口を持つ大都市ではあるものの、いわゆる都心エリアというのはまだまだ面積的には小さいものです。
ですので、中心地に非常に多くのコンドミニアムが供給されて値段を急上昇させている、そう考えたほうが自然かもしれません。

結果として、たかだか東京の中央区ほどの大きさの場所で一気に開発が進み、土地の値段を押し上げた結果、価格もそれに伴い上昇していった、というのが本音の部分でしょう。

となると、まだまだ広がっていくのではないか?というのが大方の予測ですが、私もそう思っています。そう思っていますが、都心部の価格上昇圧力はさすがにここにきて調整が入りそうな気がしています。
現在、中心地(スクンビット・トンローエリア)の平米単価は約30万バーツ(約105万円)です。ちなみに私がバンコクに住んでいた時はいくら高くても平米単価15万バーツ(約50万円)でした。それでも、高くなったなぁという印象がありましたが、ここ5年で2倍の価格になりました。
もちろん、物件の仕様もよくなりましたし、豪華な物件になって価値が高まったのも事実ですが、それでも5年で2倍というのは驚きを隠せません。

その価格上昇の様子は図2をご覧ください。
見てもらったらわかりますが、2014年頃からの上昇率が恐ろしい伸び方になっています。一部シーロムエリアでは価格が下がってきている局面がありますが、これは新規の物件がほとんどなく、かつ少し安めの物件が販売されたからに他なりません。

このグラフを見る限り、2006年から2008年の上昇時からリーマンショックのため2009年に単価が落ちているエリアがあります(とはいえ全てのエリアで2008年時の価格は超えています)。
特に影響が大きかったのがシーロムエリアと呼ばれる金融街になります。
この後、このシーロムというエリアはコンドミニアムよりも大型のショッピングモールやオフィスが作られることになり、新規のコンドミニアム供給数はそこまで伸びていません。

とはいえ、このようなことが起きるかどうか?特に日本人街として知られるスクンビットにおいてこのような事態が出てくるのか?
2019年はそれを予感させるような状況が生まれつつあります。

そのあたりは次回に書きたいと思います。

【このコラムの著者】

田中圭介

1979年兵庫県生まれ、関西学院大学経済学部卒。 新卒で外資系製薬メーカー入社後、出版社を立ち上げる。 2005年より大手不動産ポータルサイトにて営業責任者を5年以上歴任した後、2011年タイにて現地法人の立ち上げ、現地不動産ポータルサイトを立ち上げた経験を持つ。 在タイ時代から数多くの人脈を持ち、ASEAN各国を駆けずり回る。 現場主義を信条とし、自身の経験や知識を元に投資家や企業のサポートを行う。 主な著書に「ASEAN不動産投資の教科書」など3冊。

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