田中圭介の不動産投資コラム

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

No.26 2019年タイの不動産マーケット その3

エイリックの田中です。

前回、タイのマーケットを細かく触れましたが、2019年の状況ということで、実は2018年10月にタイの中央銀行が以下のような声明を出しました。

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*BloomBerg 2018年10月4日記事より抜粋
タイ銀行(中央銀行)は4日、住宅ローンの貸し出し規制を強化すると発表した。低金利の長期化に伴って生じ得るリスクへの懸念が広がっていた。
同中銀の声明によれば、1,000万バーツ(約3,480万円)を超える価値の住宅への新規融資について、2019年1月1日から物件評価額の80%が貸し出しの上限となる。同じローン資産価値比率(LTV)は2軒目の住宅購入にも適用され、銀行は不動産の評価額を超える額の融資提供が禁止される。
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これはいわゆる高級コンドミニアムマーケットにとっては結構痛いニュースです。日本でもスルガショックと言われる融資問題が発覚したため、銀行の融資が厳しくなり国内不動産マーケットが冷え込んできたのと同じことが起きそうな感じです。

と同時に、私としては実はかなり賛成でして、このタイの住宅ローン、実はかなりアバウトで銀行側も非常に甘い査定の中で貸し付けを行っていました。しかも金利は日本と違い5%以上のものがほとんど(人によっては3%とかもあります)。このままいけば破産者が増えていくという懸念が出てきたのでしょう。タイの不動産マーケットが活況になったのは、クレジットカードの流通と住宅ローンがあったから、とすら言う方もいます。それも一理あると思います。

さて、要は20%の頭金を用意しないと買えませんよ、という話なのですが、もう一つ。銀行の不動産評価額を超える額の融資提供が禁止、とあります。
前回、公示価格があまりにも実勢価格にあっていないという話を書きましたが、銀行評価額は公示価格と実勢価格の間くらいになっているのが多いです。

ですので、実質的には貸し渋りが起きるのではないか?
そうなることで購入できる人が一気に減るのではないか?という気がしています。

ただ、これが適用されるのは1,000万バーツ(約3,480万円)以上の新規融資とある通り、低価格帯のものには触れていません。
そのため、デベロッパーは1,000万バーツ以下の部屋を取り揃える、ワンルームマンションが増える事も可能性としてはあります。

ほんと日本の昔とよく似ています。

この発表があってから現地ではデベロッパー各社は「2019年は様子見」としている企業が多いです。もちろんデベロッパーなので物件を作らないと意味がない話ですから、今郊外が人気になっています。つまり投資というよりも実需ですね。その辺も日本と同じような道を辿っていておもしろいですが。

このように住宅ローンに少し制限を加える事がどれだけ影響してくるのか、少なくとも銀行は警戒感を出してきているのがわかります。
もちろん、何事も関係なく価格が上昇していくというシナリオも考えられますが、それでも価格上昇の勢いが早すぎたためにこのような施策を打ってきたというのが本音だと思います。

改めて2019年が始まりました。
今年は色んな面で調整やら踊り場やらという状態が東南アジア不動産マーケットにも出てくる頃だと思っています。そしてこの停滞は次なるジャンプに必ず必要ですし、それで良いと思っています。

東南アジアの成長はこれからだと思いますし、そもそも現地の人たちはまだまだ日本に比べると全体的には一人当たりのGDPも低い状態です(突出した金持ちが出てきたのも事実ですが)。この中間層がきちんと育ってくるまで、もう少し時間はかかるとは思いますが、短期で物事を考えずに中長期で東南アジアは見ていきたいと思っています。

それは以下の図「ASEAN全体のGDPと経済成長率推移」をご覧になっていただいてもわかるかと思います。
ゆっくりと確実に成長していく東南アジアです。一喜一憂せずに見守っていきたいと思います。

*IMFデータよりエイリック作成、黄色は予測値

それでは2019年もどうぞよろしくお願いいたします。

【このコラムの著者】

田中圭介

1979年兵庫県生まれ、関西学院大学経済学部卒。 新卒で外資系製薬メーカー入社後、出版社を立ち上げる。 2005年より大手不動産ポータルサイトにて営業責任者を5年以上歴任した後、2011年タイにて現地法人の立ち上げ、現地不動産ポータルサイトを立ち上げた経験を持つ。 在タイ時代から数多くの人脈を持ち、ASEAN各国を駆けずり回る。 現場主義を信条とし、自身の経験や知識を元に投資家や企業のサポートを行う。 主な著書に「ASEAN不動産投資の教科書」など3冊。

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