田中 圭介の不動産投資コラム

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

No.29 2019年カンボジアの不動産マーケット その3

エイリックの田中です。

前回まではカンボジアの成長、そして具体的にショッピングモールやホテル建設が進んでいる様子を書いてきました。
このパワーをぜひ感じ取ってほしいですし、ぜひ現地に行って体感していただきたいなと思っています。それくらい面白い街です。

さて、カンボジア編の最後はコンドミニアムマーケットです。
前回も少し書きましたが、私が本格的にカンボジアの不動産マーケットの講演をしだしたのが3年前。調査開始したのは5年前です。
そこから大きく変わったコンドミニアム市場。新築販売価格はうなぎのぼりに上昇しています。ただし実際の足元はそうでもありません。

それはいくら急成長中といっても、まだまだ現地の方がポンっと家を購入できるか?というとそのパイは少ないです。もちろん、とんでもないお金持ちも誕生しているのは事実ですが、そもそも全体の人口で1,500万人前後、プノンペンだけで250万人、プノンペン平均月収300USDというマーケットの中ではさすがに処理しきれません。
そうなってくると海外投資家の購買力にかけることになるのですが、タイ、フィリピン、ベトナムなど近隣諸国でインフラがそれなりに整っていて、人口もある程度多い国に投資をするのが王道でしょう。なかなかカンボジアに目が向かないのも事実です。

一時期、シンガポールの企業がカンボジアで開発を開始し、これからはカンボジアだ!と言って販売していたことがありますが、それでも100人単位の話ですので、マーケットから見ると小さなものです。

そんなことが反映したのか、図1をご覧ください。CBREのデータですが、私自身も肌感覚としては似たような感覚を持っています。

図1 コンドミニアム販売価格推移

出典:CBRE Cambodia Reportより


大幅に値段が上がっているか?と言われると実際問題そうでもないです。
物件のクラス別(高級・中級・手頃)で分けているので全体比較はしにくいですが、販売価格でみるとそこまで上げていません。逆に中級コンドミニアムは値段が下がっているほどです(これはマーケットに対して中級物件を作りすぎたため、かつこの層を購入できる人が少ないため)。

安めの物件は逆に値段がこれから上がりそうな状態になっています。
高級系はほぼ横ばい。全体平均でみるとおそらく価格は上昇傾向(特にプレビルド)だと思われますが、土地価格が上がっているからそのような結果になっているのだと思います。実際の価格はそこまで変動があるわけではない、ということがこの図からわかると思います。

カンボジアの魅力は米ドル経済圏であり、若者が多いこと

だったらカンボジアのコンドミニアムは投資する意味がないのでは?と思っていらっしゃる方もいるかと思います。
しかし、この国の魅力は投機的な不動産投資ではありません。出来上がった物件をきちんと管理できるか、これから出てくる物件の質をきちんと担保できるか?その辺りが当たり前になるにはもう少し時間がかかるかもしれませんが、なんといっても「通貨」でしょう。

カンボジアはASEANの中で唯一「米ドル」が当たり前に流通している国です。一時期、ベトナムやミャンマー、ラオスでも米ドルが使われていましたが、今では自国通貨を重要視した戦略をとっており、そのせいかミャンマーチャットやベトナムドンは切り下げが続いています。
一方で本当に何もなかったカンボジアは「リエル」という通貨を持っていますが、「米ドル」を当たり前に使えるようにしました。これは慧眼だったと思います。というか、正直米ドルで運用するしかなかった、というのが本音でしょうけども。

そのおかげで米ドルでの外貨準備高も着実に積み上がり、財政収支的にも安定してきました。投資家の皆様にとって魅力的なのは、カンボジアでは米ドルで定期預金をすると5%以上の金利がつくということです。
図2をご覧ください。日本の三井住友銀行も出資しているアグレダ銀行の定期預金金利表です。

図2 アグレダ銀行の定期預金表(2019年2月時点)

出典:アグレダ銀行HPより抜粋
*レートに関しては2019年2月時点であり変更する可能性が大いにあります。


見ていただければわかりますが、60ヶ月、つまり5年の定期で年率6.5%の利子が米ドルでつきます。ちなみに以前は5年の定期はなくて2年定期で7.7%とかありましたが、さすがに下がりました。

気をつけなければいけないのは、日本の銀行と違ってペイオフなどありませんし、投資適格国としてカンボジアはまだまだ低いです。つまりそれだけリスクがあるので、もしご興味があったとしても十分注意してください。
しかし、当然ながら日本人以外でもこのカンボジアの金利に魅力を感じ定期預金をする人は後を絶ちません。

この米ドルが使える、そして不動産はまだまだ黎明期ですからゆっくりと待ちながらインフレに備えるというのが賢い投資方法だと思います。

カンボジアの1回目でもお伝えした通り、若者が多い国です。
彼らが未来に向かって驀進していく姿を見ながら、その成長の恩恵を受ける、そういうスタンスがカンボジアという国にはぴったりなのかもしれません。

次回からまた違う国を取りあげます。

【このコラムの著者】

田中 圭介

1979年兵庫県生まれ、関西学院大学経済学部卒。 新卒で外資系製薬メーカー入社後、出版社を立ち上げる。 2005年より大手不動産ポータルサイトにて営業責任者を5年以上歴任した後、2011年タイにて現地法人の立ち上げ、現地不動産ポータルサイトを立ち上げた経験を持つ。 在タイ時代から数多くの人脈を持ち、ASEAN各国を駆けずり回る。 現場主義を信条とし、自身の経験や知識を元に投資家や企業のサポートを行う。 主な著書に「ASEAN不動産投資の教科書」など3冊。

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