田中 圭介の不動産投資コラム

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

No.30 2019年フィリピンの不動産マーケット その1

エイリックの田中です。

2019年予測シリーズとして、今回はフィリピンを取り上げます。
東南アジアは全般的に経済成長および物価上昇に伴い急激に不動産マーケットも成長していきました。その中でどうしても2018年頃から一服感が出てきたのは事実です。しかし、そんな中でもフィリピンは元気です。そんなフィリピンの不動産マーケットおよび現状のお話を書いていきたいと思います。

2019年のフィリピンの不動産マーケットの特徴は以下の3つ。
これをきちんと押さえてもらえれば良いかと思います。

1.財閥が強く、投資できるエリアもある程度限られている。
2.産業構造が他のASEAN諸国と違うためきちんと吟味すること
3.狙い目は中古物件!?現在の相場をきちんと把握しておく

まずは1の「財閥が強く、投資できるエリアもある程度限られている」というお話です。

フィリピン(特にマニラ)には大きく分けて5つほどのエリアを見ておいてください(もちろん他のエリアも投資可能エリアであり、重要なエリアでもありますが、大手調査会社はこの5つのエリアを定点観測している例が多く、私も同じ考えです)。

①マカティ
②フォートボニファシオ(BGC)
③オルティガス
④マニラベイ・エリア
⑤ロックウェル

地図で見ると以下のような配置になります。

図1

*Google Mapよりエイリック作成

これら5つのエリアでマカティやフォートボニファシオなどはフィリピンNo.1財閥のアヤラグループが開発したエリアです。またロックウェルもロペス財閥という財閥です。
彼らが開発してきちんと管理しているエリア、と言っても過言ではありません。特にこの5つのエリアの中で、ロックウェルはそこまで広いエリアではありませんが、逆を言えばロペス財閥がきちんと管理・運営しているので資産価値がひたすら上昇しているような場所でもあります。近年ですと三井不動産と共同開発を発表しています。

そして、急発展しているこの国で当然ながら財閥の力が非常に強いので、これらの財閥がますます強固になっている、というのが他のASEAN諸国とは少し違うところかもしれません。

またこの中でもマニラベイ・エリアとなるとカジノを中心とした開発が次々と完成して、今またスポットライトを浴びています。ただ治安の懸念もまだ根深く残っているので、日本人投資家の数はまだそこまで多くはないようです。このあたりは後で書いていきますが、いずれにせよマニラベイ・エリアに新規供給戸数が集中しているのも今のフィリピンの特徴かもしれません。

2015年前後のフィリピンはとにかくマカティやフォートボニファシオの新規プレビルド案件が販売されてきました。そして、それはわかりやすく財閥の安定した物件で投資先も選びやすかったのは事実です。

しかし一方で物件価格が上昇し、新たに開発できるエリアも限られてきて、少し停滞感が出てきた、供給過剰と言われてきたのも事実です。

そんな時に新大統領が誕生して、またフィリピン国内の空気が変わりました。
そして2の「産業構造が他のASEAN諸国と違うためきちんと吟味すること」という説明に入りたいと思います。

フィリピンは元々島国であり、海外に出稼ぎで働く人が多い国でもあります。ただ近年の経済成長および英語が話せるというメリットが活かされて、昨今フィリピンではITのオフショア開発やBPO(Business Process Outsourcing)が盛んになってきており、産業の中でもしっかりと根付いてきました。

そうなると、当然必要になってくるのがオフィスなのですが、このオフィス需要がマニラ首都圏でも変わってきています。

図2 オフィステナント内訳 (内側:2017年、外側2018年)

出所: Colliers International Philippines Research より抜粋

フィリピンのコリアーズ社のデータですが、2018年になってからBPO企業のオフィス賃貸が目立ってきています。それだけ需要が増えてきたのでしょう。
実際、下記の図3にある通り、全体としてもオフィスの供給数が増えて行く予測がされています。

図3 オフィス供給平米数と空室率推移

出所: Colliers International Philippines Research より抜粋

このように住宅の供給がひと段落すると、次に出てくるのはこういうオフィス需要です。これがきちんとフィリピンの場合増えていっています。
まだまだオフィスが足りないという点はあると現地では言われていますが、経済成長に伴い整備されていくことと思われます。

それともう一つはカジノの存在です。上述した通り、マニラベイ・エリアがホットなのはやはりカジノの力が大きいと思います。
そして、それを底支えしているのが中国人投資家です。2018年頃から中国人投資家のマニラ買いが非常に大きく入ってきました。これにより、マニラベイ周辺は一気に活気付き、これが2019年も引き続き牽引していると言っても過言ではありません。

ただし、中国人投資家が増えたと言っても、あくまで一過性のものと考えておいたほうが良いと思います。これがずっと続くことはありませんし、どういう動きになるかわからないからです。ですので、このあたりは過敏に反応するというより、冷静に見ていく必要があると思われます。

次回は3の「狙い目は中古物件!?現在の相場をきちんと把握しておく」という点を掘り下げていきたいと思います。

【このコラムの著者】

田中 圭介

1979年兵庫県生まれ、関西学院大学経済学部卒。 新卒で外資系製薬メーカー入社後、出版社を立ち上げる。 2005年より大手不動産ポータルサイトにて営業責任者を5年以上歴任した後、2011年タイにて現地法人の立ち上げ、現地不動産ポータルサイトを立ち上げた経験を持つ。 在タイ時代から数多くの人脈を持ち、ASEAN各国を駆けずり回る。 現場主義を信条とし、自身の経験や知識を元に投資家や企業のサポートを行う。 主な著書に「ASEAN不動産投資の教科書」など3冊。

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