田中 圭介の不動産投資コラム

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

No.37 2019年ベトナムの不動産マーケット その3

エイリックの田中です。

前回はベトナム不動産マーケット(特にホーチミン)が落ち着きつつあるという話を書きました。今回はそんな状況下の中で、具体的にどのような物件が動いていて、どういう予測を立てればよいか、そのあたりについて書いていきたいと思います。

図1 ホーチミンの住宅一次取得価格推移

出典:CBRE Vietnam

図1をご覧ください。
前回供給戸数と販売戸数は減少気味と書きましたが、価格に関しては緩やかに上昇予測が出ています。この中でラグジュアリー物件(超高級物件)の伸びが高いですが、これは供給戸数が少なくて、さらに値段を上げていくという強気な指標になっているので、投資家の皆様としてはあまり参考にしてはいけないと思っています。

それよりもハイエンド物件(高級物件)とミッドエンド物件(中級物件)を見ていたほうがよいと思います。わずかに微増していくという絵になっていますが、私はこの予測は正しいと思っています。逆にアフォーダブル物件(低価格帯物件、決して低級という意味ではない)が横ばいという形です。

今後、ベトナムのホーチミンの不動産マーケットを見ていくと、局地的に値段が上がった、などという話は出てくると思いますが、中長期で見ていくとこの平米単価2,000USD前後の物件がキーを握ってくると思われます。
つまり、一般のベトナム人でも購入できるのではないか?というレンジです。
まだ2019年の現在においてベトナムでは住宅ローンが完全なものではなく、誰もが借りられるようなものではありませんが、そのうち出て来ます。住宅政策上、ローンは切っても切り離せないからです。経済成長とともに住宅ローンの恩恵を受けられる層が増えてくると想定されます。

そう考えると、ラグジュアリー物件を購入するというのも一つですが、「出口」の面で平米単価5,000USDを超えてくるものは庶民でも小金持ちでもなかなか届きません。やはり平米単価2,000USD前後のものであれば、将来ベトナム人の方に売却できる可能性が一気に広がるというものです。
このボリュームゾーンをきちんと見極めていかないと将来的にどうしようもなくなるという話になってきます。

実際、日系デベロッパーのベトナム進出においても、超高級系に特化している物件で外国人とローカルの富裕層を狙ったやり方と郊外の割と庶民的な物件を数多く作っていくという戦略の2つに分かれています。

これはどちらが正しい、という話で話ではないのですが、個人投資家の立場からすると、資産分散を考えて資産保持を強く意識するのであれば高級物件で値下がりリスクがそこまで大きくない、ブランド物件を購入するのもアリだと思います。

しかし、人口1億人を超えてきて、成長が期待されるベトナムにおいては、優良で手頃な「最終的にベトナム人に売却できる」物件を意識していった方がよいと思います。ただあまりにも郊外の物件に手を出すと管理・運用面で苦労することが予想されますので、その辺りは要注意です。

最後に、今のベトナム・ホーチミンのインフラ面を見ていきたいと思います。

■ホーチミン地下鉄(メトロ)1号線の開通は2021年初め予定
■ホーチミン地下鉄(メトロ)2号線の開通は2022年〜2024年開通予定

2号線はまだ先の話ですが、1号線は1年遅れでようやく見込みが立ちそうです。2020年末に工事完了、という話が現地から報告されました。現地では実際に工事の着工状況および目の前に駅ができているのがわかるので、1号線沿いの物件価格が上昇しています。ベトナム人もこぞって1号線沿いの物件を買っているのがわかります(最近は落ち着きましたが)。つまり、多くの人がこの地下鉄1号線に期待をしていることがわかります。そして、それが実現しそうということが日に日にわかってきている、そんな状態です。

いよいよ、ベトナムにおいても「駅近」という概念が不動産の資産価値の中に入ってきそうです。その点、ぜひよく見ながら検討してください。それでは次回はまた違う国を取り上げていきます。

【このコラムの著者】

田中 圭介

1979年兵庫県生まれ、関西学院大学経済学部卒。 新卒で外資系製薬メーカー入社後、出版社を立ち上げる。 2005年より大手不動産ポータルサイトにて営業責任者を5年以上歴任した後、2011年タイにて現地法人の立ち上げ、現地不動産ポータルサイトを立ち上げた経験を持つ。 在タイ時代から数多くの人脈を持ち、ASEAN各国を駆けずり回る。 現場主義を信条とし、自身の経験や知識を元に投資家や企業のサポートを行う。 主な著書に「ASEAN不動産投資の教科書」など3冊。

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