田中 圭介の不動産投資コラム

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

No.38  2019年タイの不動産マーケットが減速!?

エイリックの田中です。

前回の記事「No.26 2019年タイの不動産マーケット その3」で、2019年1月1日から住宅ローン規制が入る、と私は書きましたが、実際には2019年4月1日から施行されました。

今日はそこから約3ヶ月経った今のタイの不動産状況をレポートしたいと思います。

2019年に入り、2018年の供給戸数が6.5万戸まで膨れ上がったタイ不動産マーケット。しかしながら、作りすぎといいますか、売れ行きは以前に比べて伸び悩んでいます。実際、大手不動産開発業者からのレポートを見ると、成約率は55%程度。売買価格は前年比で6%ほどダウン(ナイトフランクレポートより)しています。

成長を続けるタイの不動産マーケットに陰りが見えてきました。
現在、大手デベロッパーでも一部の物件においては在庫を抱えてしまい、特別値引きセールが出ている状態。

これにはいくつかの要因がありますが、その中でも

・住宅ローン規制
・外国人投資家の急増と撤退

この2点が挙げられると想定されます。

前回の記事でもお伝えした通り、住宅ローン規制においては2軒目以降に適用されており、引き渡しを迎えてもお金が借りられないという事態が起き、多くの物件で引き渡しができない状態になっています。
もちろん、この場合はデベロッパーに返還しなければいけませんが、想定以上の返還率になっており、デベロッパーとしても在庫を抱えてしまっている状態が続いているわけです。

さらにCBREのレポートでもありましたが、2016年〜2018年の3年間でタイの不動産は中国人投資家および海外投資家に依存しており、彼らは実需というよりも投資で購入しているため、空室が目立ってきています。結果として2019年に入り、賃貸がうまくつかないことにより撤退しているような状況が続いています。

つまり、実需としての需要も住宅ローン規制で減り、さらに投資としても空室リスクが伴い(政治的リスクも多少あり)、海外投資家が撤退気味になっている、というダブルパンチにより、タイ不動産マーケットは減速気味になりつつあります。

ただし、マーケット全体が落ち込むということは、決して悪い話ではありません。逆を言えば、ようやく「適正水準」に戻りつつあるという話であり、さらなる上昇のために一度しゃがむ必要がある、とそういう捉え方で良いかと私は思っています。

実際問題、2010年頃から一本調子で上昇してきたタイのコンドミニアム市場ですから、少し上がりすぎという懸念があったのも事実です。また政府もそれを懸念して今回の住宅ローン規制を行ったという話です。

実需で増える分には問題ないのですが、投資、投機がメインになって価格が上昇してしまい現地の方たちの健全なマーケット需要に答えることができていないというのは極めて良くないことです。

ただ、マレーシアのように不動産マーケットを長期低迷をさせないためにも、今後の舵取りは非常に重要になってくると思います。一度しゃがんだマーケットをきちんと正常の伸ばすのはやはりタイ人であり、現地の人たちの需要が復活することです。ここは決して外国人投資家の力ではありません。

ある程度価格が落ち着いてきたら、また反発が起きると考えています。そのための今は調整局面に入ったと考えたほうがよいです。

一方で、現在は「買い手市場」に入ったと見てよいです。実際、ローカルの投資家や資産家はかなり買い叩きをしています。デベロッパーも50%も売れていない状態であれば、プロジェクト単体で赤字に陥りますので、非常に苦しい状況になってきています。止むを得ず価格を押し下げて販売したり、バルクで格安で卸したり、と昔の日本でも同じことが起きました。

こういうときに立地、質が優れている物件を大量に安く仕入れることができる人は将来にわたっても十分な利益が確保できるでしょう。

マーケットが悪い、というのは裏を返せば、「買い時」であるという話です。

ある意味、ここからが本当の意味でのタイ不動産マーケットを見極める時かもしれません。決して焦らず、かといって動かずということがないように、私も注視していきたいと思います。

【このコラムの著者】

田中 圭介

1979年兵庫県生まれ、関西学院大学経済学部卒。 新卒で外資系製薬メーカー入社後、出版社を立ち上げる。 2005年より大手不動産ポータルサイトにて営業責任者を5年以上歴任した後、2011年タイにて現地法人の立ち上げ、現地不動産ポータルサイトを立ち上げた経験を持つ。 在タイ時代から数多くの人脈を持ち、ASEAN各国を駆けずり回る。 現場主義を信条とし、自身の経験や知識を元に投資家や企業のサポートを行う。 主な著書に「ASEAN不動産投資の教科書」など3冊。

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