田中 圭介の不動産投資コラム

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

No.45 2020年ASEAN不動産マーケットの動き その1〜全体考察〜

エイリックの田中です。

2020年が始まりました。今年は東京オリンピックがあり、日本国内も盛り上がりそうです。楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。私もその一人です。

さて、2020年のASEAN不動産はどうなるのでしょうか?各国別にまずは書いていきたいと思います。来月からは各国細かい部分を掘り下げていきたいと思います。

フィリピン

まずは今年注目のフィリピン。
2020年、多くの物件が竣工、引渡しが予定されています。
また昨年末マカティでは地下鉄工事が開始されたことにより、さらに期待感が膨れ上がってきています。

中国人投資家の数も増え、湾岸部においては価格が高騰、マカティ、BGC、オルティガスも追って値段が高止まりしつつあります。実際、野村不動産とフェデラルランドの物件は高値ではあるものの売れ行きは順調とのことで、当初高すぎるという懸念があったにも関わらずそれでも足元できちんと1年かけて売れてきたというのはブランドの高さやフィリピンの強さなのかもしれません。

2020年は積極的に仕込みたいエリアではあるものの
高すぎて買いにくい、という事態になる気がします。
ただ一方で投げ売り案件なんかも徐々に増えてきているとのことで
ここを拾うことができれば美味しい話になってくると思われます。

既に購入されている方はきちんと賃貸をつけていくことが重要。
竣工数が増えてくるということは競争も激しくなるので、
ある程度きちんと見切りをつけて賃貸を入れておく方が良いと思います。
この辺りはまた書いていきます。

ベトナム

続いてそろそろ新規供給が復活しそうなベトナム。
すでに一部デベロッパーの間では販売をリスタートしている物件も出てきており、俄に活性化しつつあります。ベトナム政府としては不動産開発許認可に関してまだ明確な回答は出ていませんが(2020年1月時点)、現在の不動産マーケットの高騰と販売不振状況によっては2020年初頭には徐々に開発許可が下りそうな状況になると想定されます。何れにせよタイミングが非常に重要な局面に入ってきていますので、現地をきちんと見ておいたほうがよさそうです。

またベトナムと言えば、ホーチミンばかりがクローズアップされがちですが、2020年に入るとハノイ、ハイフォン、ダナンなど違うエリアでの物件が出てきそうです。とは言え、まだまだ非在住の外国人が手を伸ばして良いだけのインフラが整っているかというと疑問符がつきますが、逆を言えば現地パートナーと信頼関係を築ければ面白い投資ができるかもしれません。私も現地を訪れて調査をしていきたいと思います。

タイ

続いてはタイ。
現在コンドミニアムの物件価格が高止まりになっており、利回りも5%を切る状況の中、決してマーケット的にはよくありません。
そのせいか、少しずつ投げ売りが出てきています。急速な成長の反動と見て良いと思います。こういうのを拾えたら面白いと思います。
2018年頃からBTS(高架鉄道)やMRT(地下鉄)の延伸、普及に伴い、バンコクのマーケットは非常に東京と似てきており、仕込み価格が安ければ利益が出やすいのは確かです。実際、相場より安く買って、高く売り抜けることも可能なマーケットですから、ASEANだからプレビルド投資、という発想はタイに関しては少し古いと思ったほうが良いと思います。ですので、タイに関してはこまめな情報収拾と思い切りが必要だと思います。

あとは上述した通り、交通インフラが進み2029年に向けてBTS、MRTが新規開業、延伸されているため東京のように郊外の発展が見込めそうです。
それとタイに関して伝えておかないといけないのは2020年1月から固定資産税が導入されました。外国人が買えるコンドミニアムにも適用されます。金額は小さいですが確認が必要です。ただ、この固定資産税については早速2020年の年明けから議論が紛糾しています。もしかしたらなくなる可能性もありますが、いずれにせよ所有者の方は注意が必要です。

マレーシア

2020年もおそらく横ばいだろうという予測が出ており、私も同意見です。ただ、経済成長という意味では悪くない数字が出ているので不動産に関しては二極化していく気がしています。
マレーシアは東京というよりニューヨーク的なマーケットです。中心部は非常に価格が高いのですが、郊外が発展、住宅地として需要がある、そんなマーケットです。非在住の外国人であれば中心部の一等地がキーになってくると思いますし、現地パートナーとの信頼関係がある人は郊外のローカル向けの広めの物件で単価の安いものを仕入れるなど工夫が必要です。ただ、単純投資となるときちんと見極めが必要です。

2020年から新築および売れ残り物件に関しては60万リンギ(約1,600万円弱)から外国人が投資できるようになりますが、中古市場においては変わらず100万リンギ制限があります。つまり外国人に出口として販売しようとするとここの40万リンギの差分が出ます。この40万リンギ分の値上げを待つのであれば時間を要します。セカンドハウスや将来の居住用という意味で購入される方であればチャンスだと思います。投資となるときちんと数字を見てください。

カンボジア

そしてカンボジア。
経済成長の恩恵を受けている国です。また同時に急速に物件供給が増えている国です。2030年までに30万戸まで増えるという予測もあります。
この国はドルが使えるということで注目を浴びていますが、足元に関してはそろそろ勝ち物件、負け物件が出てきているのでようやく成功・失敗事例、そして相場が見えつつある状況です。ただし、まだうまく転売できている例は物件が限られているので短期でなんとかしようというのは引き続き危険な状況。

ただしきちんと仕上がった物件で評価が下せるような案件は強いです。2020年、おそらくいろんな物件が出てくると思います。特にボンケンコン南側、フンセン通り以南が現在開発中ですがこの辺りの物件が出てきそうです。街の広がりが南に行っている感じですね。まだまだ開発余地があり、ドルが使えるこの国、2020年には高級ホテルもオープン予定です。勢いという点では一番かもしれません。

インドネシア

最後にその他の国で注目したいのはインドネシア。
まだ外国人がサラッと買える状況ではありませんが、国の成長度合いは折り紙つき。そして賃借権などリースホールドで購入できる物件が増えてきました。

ようやくリースホールドでも安心できつつあるマーケットが外国人向けにできてきたか?という状況になってきたのかもしれません。それでもきちんと契約者や契約書は読み込んでください。リースホールドの良い点に関しては
あくまで期間限定ということであり、手続きが楽だということ、そして利回りが高いこと、です。インドネシアではジャカルタでもバリ島でも似たような案件が出てきています。2020年はもう少し情報が出てきてくるかなと思います。
この国は首都移転の話も出てきていますので、この辺の情報は引き続きチェックしていきます。

改めて今年2020年の日本は東京オリンピックです。まずはこれが一番楽しみ、という方も多いと思います。しかし、オリンピックが終わった後、いよいよ日本国内における投資材料が乏しい部分は否めないので海外へ目が向く人が多くなると思います。

その前にきちんと情報を仕入れて、経験を積むことが重要です。ASEANは魅力的ではありますが、日本と比べるとまだまだ黎明期なマーケットです。100%成功するということはありませんが、成功確度を高めるためにも今のうちからASEANについて一緒に勉強していければと思います。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。
それではまた次回。

【このコラムの著者】

田中 圭介

1979年兵庫県生まれ、関西学院大学経済学部卒。 新卒で外資系製薬メーカー入社後、出版社を立ち上げる。 2005年より大手不動産ポータルサイトにて営業責任者を5年以上歴任した後、2011年タイにて現地法人の立ち上げ、現地不動産ポータルサイトを立ち上げた経験を持つ。 在タイ時代から数多くの人脈を持ち、ASEAN各国を駆けずり回る。 現場主義を信条とし、自身の経験や知識を元に投資家や企業のサポートを行う。 主な著書に「ASEAN不動産投資の教科書」など3冊。

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※ No.1表記について:不動産投資ポータルサイトが掲載をする物件数統計 2020年6月時点(フジサンケイビジネスアイ調べ)

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