田中 圭介の不動産投資コラム

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

No.47 コロナショックによるASEAN不動産の変化について

エイリックの田中です。
先月から2020年のASEAN不動産、各国編を書いていたのですが急遽内容を変更いたします。先月から始まったコロナウイルスの影響から、世界は非常に不安定になりました。急速な株安、円高を迎え日本は先行き不透明な状態にオリンピック前に突入してしまいました。

もちろん、オリンピックは開催して欲しいですが、こればかりは正直何とも言えません。とにかく一刻も早く収束するのを願うばかりです。

このコロナショックの影響は当然ながらASEAN諸国でも影響が出ています。特に観光面においては顕著に現れています。ベトナムでは2020年3月の観光による売上は40%以上ダウンするだろう、と現地新聞では予測されています。他国も同様です。今回のコラムでは緊急で各国の現地エージェントやデベロッパーたちに話を聞いて、その状況を報告したいと思います。まだ各国ともデータ的なものが揃っていないので、あくまでヒアリング情報ではありますが、ご参考にしてもらえれば幸いです。

タイ

元々都市部の不動産価格が上昇しており、2019年夏ころから下落、低位安定傾向にあった中、2020年1月〜2月にかけて各デベロッパーは「2020年は都市部の新規コンドミニアム供給をかなり絞る」という発表をしていました。また2020年1月から実施された土地建物税(日本でいう固定資産税)が導入されているため、マーケット的には縮む予定でした。

そんな中でのコロナショックです。デベロッパーやエージェントに確認すると、基本路線として今年は縮小傾向であったため、特に今すぐの影響はないが、個人投資家にとっては厳しい1年になるかもしれない。デベロッパーとしては郊外の戸建や実需向けコンドミニアムを建設していくが、外国人投資家が取るべき動きとして今はホールドがよいし、マーケットとしての動きは少ないだろうとのこと。

ただ、一方でコロナショックにより「買い時」が早まったと言ったデベロッパーもいました。それは今までタイのコンドミニアム市場に寄与していた中国人が投げ売りをする可能性もあり(そもそもタイに入りにくくなっているため)、この辺りの物件を拾っていけば、活路は見いだせるかもしれない、とのこと。

しかし、これはあくまで新規で購入する話であって、今保有している物件が高値で売れるという話ではないのでそれは注意が必要だ、ということを言われた会社もありました。

フィリピン

前回のコラムで取り上げた国でもあります。ここも現地のエージェントに話を聞くと、「もしかしたら今は買い時かもしれません。かなり安く売りに出ている中古物件があります」とのこと。

フィリピンでは3月頭に中国人に対して入国規制をしました。これによりフィリピンの不動産マーケットが落ち込むという話が出てきています。それは当然として、これに嫌気がさしてタイ同様売りに出ている中国人がいるというのです。今まで中国人投資家の恩恵を受けてきた各国ですが、今回のコロナショックにより、各政府は中国人に対してかなり慎重な姿勢を見せており、一方で動きの早い中国人投資家が売りに走っているとのこと。

ベトナム

まだ新築市場でもあり、中古市場がそこまで発達しているわけではないベトナムにおいてはそこまで不動産市場に変化が起きているわけではないみたいです。もしかしたらこれから、なのかもしれませんが、冒頭で話した通り、観光業などに影響は出ているみたいで、そこの余波がどう出るか、という感じでしょうか。現地エージェントや現地のベトナム人に聞いても不動産マーケットが特に変わったという印象はないとのことでした。

マレーシア

マレーシアも特に大きな変化はないとのことでした。もちろん多少なりとも影響はあるだろうけども、そもそも中国人投資家がこぞってブームのように買いにきていた時期は一旦通り過ぎているので、反動もそこまで多くない、というような話をされていました。今、ジョホールバルの方を調べていますが、ジョホールバルは少し影響が出るかもしれません。

その他の国は現在、鋭意調査中ですが、2015年〜2019年頃までの中国人投資家によるASEAN投資は非常に盛んだっただけに、コロナショックによる反動が出てきています。数字になって現れてくるのは3ヶ月後〜半年後かもしれませんが、足元でも少しずつ厳しい状況に向かっているかもしれません。

ただ忘れてはいけないのは、マーケットが悪くなる=不動産投資失敗、ではありません。不動産投資というには日本でもそうですが、非常にシンプルな投資です。つまり、マーケットももちろん大事ですが、不動産投資というのは実はマーケットだけに左右されるのではなく、個別性が非常に高いものです。同じエリア、同じ間取りでも、工夫をすれば人気物件になりますし、何もしなければマーケットとは関係なくダメ物件になります。

とても大事なことは「安く買って、高く貸す、そして高く売る」という商売の基本のような話です。これは日本の不動産投資をされている方であれば理解できるはずです。これだけ日本も成熟していながらでも不動産投資で大きく利益を取っている方もいれば、失敗する方もいます。それはひとえに「安く仕入れる」という大前提を忘れているからです。

私個人が思うことは、ASEAN不動産は2017年頃までが投資チャンスで、今は少し上がりすぎたというのが本音です。それでも短期間ではなく長期間で見ればまだ成長余地はある、というスタンスで考えていました。

しかし、このコロナショックによりマーケットが悪くなるということは、逆を言えば「相場より安く買える」チャンスでもあります。いわゆる逆張りです。まさに買い場が来たとも言えます。これは日本でも同じだと思います。

世界的に厳しい状況に追い込まれている中で、少し不謹慎かもしれませんが、投資という観点で見るとチャンスであるのも確かです。

もちろん早く正常モードに入って欲しいのは山々ですが、投資家としてはまず事態を冷静に見極めて、どこにチャンスがあるのか。ピンチはチャンスです。ぜひ色々と検討してみてください。

私は引き続き各国の情報を精査していきたいと思います。

それではまた。

【このコラムの著者】

田中 圭介

1979年兵庫県生まれ、関西学院大学経済学部卒。 新卒で外資系製薬メーカー入社後、出版社を立ち上げる。 2005年より大手不動産ポータルサイトにて営業責任者を5年以上歴任した後、2011年タイにて現地法人の立ち上げ、現地不動産ポータルサイトを立ち上げた経験を持つ。 在タイ時代から数多くの人脈を持ち、ASEAN各国を駆けずり回る。 現場主義を信条とし、自身の経験や知識を元に投資家や企業のサポートを行う。 主な著書に「ASEAN不動産投資の教科書」など3冊。

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