田中 圭介の不動産投資コラム

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

No.49 ASEANは徐々に外出制限が解除されるも課題は山積み

エイリックの田中です。
ASEAN各国はコロナウイルスによる非常事態宣言をしてきましたが、5月に入り一部解除となってきており、明るい兆しが見えてきました。
これは本当に嬉しい話です。特にベトナムにおいてはまだ一部エリアで自粛はあるにせよ、ほとんどのエリアで解除および事業再開となり、コロナ以前よりも賑やかなのではないか、という人手になっています。

ただ、一方でまだまだ外国人が入国できる状況ではないのは確かです。これは全ての国に言えるかもしれませんが、まだ一般的に外国人が自由に行き来できる状態ではないです。

ASEANというエリアは自国経済だけで賄える国は限られており、やはり諸外国からの投資がまだまだ必要です。そういった点では課題は山積みと言えるでしょう。今回も各国の経済状況や規制状況などを書いていきたいと思います。

とはいえ、先月と大きく違うのは「希望の光が見えてきている」ということです。ある程度このコロナによる外出制限が解除される、というのが見えてきたことで、民衆のパワーが一気に弾けそうです。早くそうなってほしいものです。

シンガポール

4月21日にリー・シェンロン首相が外出規制や職場閉鎖(サーキット・ブレーカー)を6月1日まで延長すると発表しました。

4月に入り急激に感染者数が増えて、5月15日現在26,000人以上に膨れ上がっています。しかし、この26,000人のうち80%以上が移民労働者と言われています。そして感染者数だけが大々的に報道されていますが、シンガポールでの死者数はわずか21人です。そういう点もきちんと報道されるべきです。
またシンガポールも日本同様、国民一人当たり600シンガポールドル(約45,000円)を給付することを発表しています。経済全体としては先月も書いた通り5兆円以上の支出をすると言われています。
シンガポールにおいては移民労働者寮でのクラスター発生をいかに封じ込めるかが焦点になりそうです。

マレーシア

5月に入りマレーシアでは少し落ち着きが見られてきました。6,800人以上の感染者ではありますが、ピークは過ぎつつある状況です。とはいえ、政府としては6月9日まで活動制限令が延長されました。ただ5月4日からは大半の経済活動の再開を認めるなど一部の規制を解除し、国民の海外渡航や州をまたいだ移動は禁止を続けています。全体の労働者の44%ほどが職場復帰したとのニュースもある通り、withコロナという位置付けで「感染に気をつけながら徐々に経済活動を行う」という戦略を取っています。

タイ

タイでは3月26日付で非常事態宣言が出され、5月末まで延長となりました。ただしマレーシア同様、5月3日から4段階に分けて徐々に規制を解除しています。新規感染者がゼロの日もあったタイでの感染者数は累計3,000人ほどで死亡者数も56人と欧米諸国と比べると低いのですが、政府としてロックダウンをして、6兆円以上の経済対策を打ち出しました。しかし、今年の経済成長率はマイナス5.3%という予測が出ており、非常に苦しい状況になりつつあるとの報道がありました。
現地側とほぼ毎日私も連絡を取り合っていますが、国民も自粛しており、経済を回さないといけない、という論調が強くなってきた感があります。

フィリピン

3月16日から始まったマニラのロックダウンですが、政府は首都マニラとセブ島に関しては6月まで延長を決めました。マニラのロックダウンはこれで80日となり中国の武漢市よりも長くなっています(武漢のロックダウンは76日)
5月15日現在の感染者数は11,000人以上、死亡者数790人となっていますが、フィリピン政府は引き続き警戒態勢になっています。

フィリピンは経済成長著しく、不動産業界においても成長を続けていましたが、このロックダウンで経済的影響が大きくなると予測されています。実際、現地での不動産取引も大幅に減少しており、コロナ前と現在で大きく違う国の一つだと思います。

ベトナム

一方で、5月15日現在ベトナムは感染者数312人、死亡者数0人ということでシンガポールやフィリピンとは違い封じ込めに成功した気配があります。
上記の結果、4月23日に外出制限措置の一部緩和が発表されました。これに合わせて多くの人が久々の外出に沸き、コロナ以前よりも渋滞がひどくなった、という報道があるくらいです。

しかし、イベント・宗教行事・スポーツ試合などは以前中止が続き、遊園地・娯楽施設・美容サロン・マッサージ・バーなどは引き続き営業休止という状況です。政府としては以前感染症対策をきちんと行った上での解除ということを強調しています。

外国人の入国に関してもまだ制限されており、特別に入国を許された人であっても隔離対象ということで、完全解除になるまでは時間がかかりそうです。

インドネシア

かたやインドネシアは5月15日現在で感染者数16,000人以上、死亡者数1,076人と死亡者数ではASEAN最大になってしまいました。
4月10日から大規模社会規制が敷かれていますが、死亡者数が1,000人を超えてしまい、また外出制限による経済的ダメージも非常に大きい状態です。
これを受けて政府は4月に打ち出した経済対策では間に合わないと判断し追加で1兆円以上、総額2.1兆円ほどの経済対策を打ち出しました。
インドネシアも急成長をしていた国の一つですが、ここにきて大きなダメージを負うことになります。

カンボジア、ラオス、ミャンマー

これらの国の感染者数は5月15日時点、カンボジアで122名、ラオスで19名(先月から変わらず)、ミャンマーで181名となっています。いずれの国も感染が爆発的に増えたと言うことはありませんが、まだまだ安心できないという雰囲気のままです。

4月時点に比べると5月に入り、少しずつ感染数が落ち着きつつあり、徐々に一部解除などの声が聞こえてきたASEAN各国ですが、それでもインドネシアやフィリピンのようにまだまだ安心できない状況があるのも確かです。

改めて世界中の医療従事者の皆様に感謝を述べると同時に少しでも早く平和な日々が戻ることを祈るばかりです。

【このコラムの著者】

田中 圭介

1979年兵庫県生まれ、関西学院大学経済学部卒。 新卒で外資系製薬メーカー入社後、出版社を立ち上げる。 2005年より大手不動産ポータルサイトにて営業責任者を5年以上歴任した後、2011年タイにて現地法人の立ち上げ、現地不動産ポータルサイトを立ち上げた経験を持つ。 在タイ時代から数多くの人脈を持ち、ASEAN各国を駆けずり回る。 現場主義を信条とし、自身の経験や知識を元に投資家や企業のサポートを行う。 主な著書に「ASEAN不動産投資の教科書」など3冊。

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