田中 圭介の不動産投資コラム

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

No.52 タイにおいて土地建物税(日本でいう固定資産税)の徴収が開始されました

エイリックの田中です。

8月に入り、熱中症になるような暑さ、そしてコロナの感染拡大が続く日本列島です。本当に2020年という年は災難続きとなってしまいました。

前回のコラムではASEANの経済状況を書き、今月は不動産マーケットについて書いていこうと思っていたのですが、「タイの土地建物税」について書いておきます。またこのコラムを読んでいる方でもタイの不動産を所有されている方もいらっしゃるかもしれませんので、念の為ここで書いておきます。

以下、現地のニュース(Bangkok Post 2020年6月2日)より。

■土地建物税率を軽減、所得税還付申請は延長■

タイ政府は2020年6月2日の閣議で、「2562年土地・建物税法」による課税の税率の引き下げと、個人所得税還付申請の期限の再延長を承認した。新型コロナウイルス感染症の流行で打撃を受けた国民を支援する。

プラユット首相によると、土地・建物税率は2020年に限定して90%引き下げる。土地・建物税法は今年1月1日に施行され、当初は4月に徴税開始の予定だったが、地方自治体と納税者に準備する時間を与える必要があるとして、8月に延期。税率は土地の用途で異なり、居住用は評価額に応じて非課税からから0.1%となっている。税率引き下げによる税収減への対応については、次回の閣議で協議する予定。

タイの土地建物税(日本の固定資産税に相当)に関しては上述の通り、2020年1月1日から施行されています。おそらく多くの日本人投資家はご存知ない方もいらっしゃるかもしれません。本来であれば4月から徴収開始予定でしたが、8月から徴収開始となっています。

現在、コロナによりタイは2020年8月末まで非常事態宣言下にあります(とはいえ、多くのお店では日本同様オープンしていますが、人通りは少なく当然観光客数は激減しています)。このような状況の中、土地建物税に関してはどうなるのか?という事態でした。しかも問題なのが、役所から土地建物税の請求書が届いていないというのが実情です。

そしてもう一点確認して欲しいのが2020年に限り、「土地建物税は90%引き」という減免していることです。2020年から開始されていきなり90%引きというよくわからない状態ですが、いずれにせよ「土地建物税」が徴収されるということが事実としてあります。

私も現地のパートナー等に確認をしている最中ではありますが、まずはタイの不動産を購入する際に、2019年までは「タイには固定資産税がない」という触れ込みで売られていましたが、2020年からは違うということをまず認識していただきたいと思います。

そして、すでにタイで登記済みの不動産をお持ちの方は「固定資産税」を支払う義務が発生しています。事実、私もタイの不動産を保有しているので、パートナー企業にお願いして、支払いを依頼しておきました。90%引きということで数百円レベルですが、支払い遅延すると日本と同じように延滞税もかかるという触れ込みになっています。ですので、タイに不動産をお持ちの方は必ず管理会社等に確認をしておいてください。

さすがに日本のようにまだきちんと徴収業務ができていないので、果たして支払いされていなかったらどうなるのか?はまだ未定ではありますが、他のASEAN諸国の例で言うとフィリピンやマレーシアでは税金未納物件というのがあります。税金未納物件の一番のリスクは「(役所による)差し押さえ」です。
実際、マレーシアでそういう物件を見てきました。ですので、納税はきちんとされた方が良いです(日本でも同様です)。

おそらくタイでも今後このようなことが起きる可能性があります。未納でいきなり1年以内に差し押さえ、ということにはならないと思いますが、とはいえそのリスクがあるというのはきちんと考えておかないといけません。また未納であるが故に「不動産が売れない」ということがあります。少なくとも買主は嫌がるので日本でいう「任意売却」的なことが起こり得ます。フィリピン、マレーシアでもそのような物件は正直あります。

タイにおける土地建物税という税金は2020年から始まった話です。またコロナという未曾有の国難の中で施行された税金ですから、タイ政府としては是が非でも続けていくはずだと思います。

ですので、タイに不動産をお持ちの方、これから購入されようという方はぜひご確認をしておいてください。今回は注意喚起という意味も込めて書いてみました。

まだまだ暑い日が続きますが、みなさま、どうぞお体をご自愛ください。

【このコラムの著者】

田中 圭介

1979年兵庫県生まれ、関西学院大学経済学部卒。 新卒で外資系製薬メーカー入社後、出版社を立ち上げる。 2005年より大手不動産ポータルサイトにて営業責任者を5年以上歴任した後、2011年タイにて現地法人の立ち上げ、現地不動産ポータルサイトを立ち上げた経験を持つ。 在タイ時代から数多くの人脈を持ち、ASEAN各国を駆けずり回る。 現場主義を信条とし、自身の経験や知識を元に投資家や企業のサポートを行う。 主な著書に「ASEAN不動産投資の教科書」など3冊。

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