田中 圭介の不動産投資コラム

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

No.56 ASEAN各国の2020年の経済と不動産マーケット状況 〜インドネシア その1〜

前回はシンガポールについて言及してきました。今回はインドネシアを見ていきたいと思います。現在、インドネシアはASEAN最大数の感染者を出し、経済的にも厳しい局面を迎えています。

図1:ASEANのコロナ感染者数(2020年11月15日現在)

出典:wikipedia,各国保健省等からエイリック作成

インドネシアは2020年3月31日に新型コロナウイルス対策と金融システムの安定化に関する代表政令に署名し、400兆ルピア(約3兆円)以上の経済政策を発表しました。これらの対応は他国とも遜色ないレベルで動き出したのですが、日を追うごとに感染者数が増加、今では40万人以上が感染し、死者数も14,000人を超えASEAN最大の感染国となってしまいました。

これに伴い、やはり経済状況も一気に減速し、5%前後の経済成長率を誇ったインドネシア経済も2020年はマイナス成長を余儀なくされそうです。以下、図2は四半期ごとに取ったデータですが、2020年4月から落ち込みが大きくなってきています。

図2 インドネシア実質GDP推移

出典:インドネシア中央統計局統計より抜粋

これらの経済に対する細かい施策は当然ながら実施していますが、やはり海外との行き来ができなくなったこと、また国内においても完全に動きが止まってしまったというのが大きな要因でしょう。事実、観光客も2020年4月以降一気に減り、観光業は壊滅的な状況と言っても過言ではありません。

現在、徐々に経済再開が行われていますが、まだ感染者数が増加している現状ではなかなか具体的な改善策が見出せないというのが本音だと思います。

現在、政府としては「国家経済復興(PEN)プログラム」(総額約700兆ルピア)を打ち出しており、なんとか国内需要を下支えしているような状況です。国内消費がこれらの施策によって多少なりと改善してくると想定されますが、それでも2020年の経済成長率は▲1.1%〜0.2%とアジア通貨危機以来のマイナス成長が予測されています。

しかし、これは他国でもそうですが、アジア通貨危機と違うのは「金融面」においてはある程度良好な状況であり、当時と違いファンダメンタルズがそれなりに強化されているため、当面の支出は仕方ないとしても、中長期で見たときは回復しやすい土壌にはあると思っています。

かなり難しい舵取りを要求されるインドネシア政府ですが、コロナが落ち着けば緩やかに上昇していくと見ています。

次回はインドネシアの不動産マーケットについて書いていきたいと思います。

【このコラムの著者】

田中 圭介

1979年兵庫県生まれ、関西学院大学経済学部卒。 新卒で外資系製薬メーカー入社後、出版社を立ち上げる。 2005年より大手不動産ポータルサイトにて営業責任者を5年以上歴任した後、2011年タイにて現地法人の立ち上げ、現地不動産ポータルサイトを立ち上げた経験を持つ。 在タイ時代から数多くの人脈を持ち、ASEAN各国を駆けずり回る。 現場主義を信条とし、自身の経験や知識を元に投資家や企業のサポートを行う。 主な著書に「ASEAN不動産投資の教科書」など3冊。

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※ No.1表記について:不動産投資ポータルサイトが掲載をする物件数統計 2020年6月時点(フジサンケイビジネスアイ調べ)

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