エイリックの田中です。
もう12月ですね。本当に2020年は大変な年になりました。私自身2020年は東京オリンピックもあって、国内がさらに盛り上がり、そしてASEANにおいてももっともっと発展していくきっかけの年になるかなと思っていただけにショックな1年でした。
実際、2020年3月からASEANに行けておらず、国内でも仕事が激減し、改めてコロナの脅威を今も感じております。
と、嘆き節を言っても意味がないので、前を向いていきましょう。海外に行けなくてもやれることはたくさんあるはずです。
さて、今回はカンボジアについて書いていきたいと思います。実は私、一般社団法人日本カンボジア協会の理事もさせていただいており、本業とは別にカンボジア大使館と連携を取り、日本⇄カンボジアの橋渡しができればと思い、2年ほど前から参加させていただいております。
日本カンボジア協会では、文化・ビジネスなど多岐に渡り現地との交流及び在京カンボジア大使館の皆様とも連携を取って活動していますので、ぜひご興味のある方はホームページを覗いてみてください。
さて、本題に行きましょう。
カンボジアも当然ながらコロナによる被害が出ていますが、図1にある通り、死者はまだ出ていません(2020年12月5日現在)。水際対策が非常に功を奏していると言っても過言ではありませんが、12月に入り市中感染の可能性が出てきたと現地の報道では言われつつあります。この辺りは慎重に慎重を重ねて確認していかなければいけません。
図1:ASEAN各都市のコロナ感染状況(2020年12月5日時点)
そして、カンボジアといえば「米ドル経済圏」であり「若い国」であり「経済成長率が平均7%以上」という、まさに「これからの成長国」として位置付けられる国でありましたが、このコロナにより2020年は苦戦を強いられています。
図2をご覧ください。2020年11月時点でIMFが試算した数字をもとにグラフ化してみましたが、2020年はマイナス2%成長という予測が出ています(正式な数字は2021年2月〜3月頃に発表予定)。そして、2021年はワクチンが完成し、このまま感染を抑え込めたら5.8%まで成長するという予測が出ています。
もちろん、この通りに行くかどうかはまだ現段階では不透明ですので、何とも言えませんが、これだけ成長していたカンボジアにおいてもコロナの影響は非常に大きかったと言えます。
図2 カンボジア経済成長率推移
カンボジアという国は確かに2009年のリーマンショック、2020年のコロナショックで大きく経済が凹んでしまいましたが、通常運転に戻ると一気に成長曲線を描けるだけのポテンシャルがある、とも言えます。
その理由が「若い人が多い」ということでしょう。
図3と4をご覧ください。人口ピラミッドが綺麗な三角形であり、人工増加が2070年に人口のピークを迎えます。まだ後50年は人口が増えていくという計算です。これは先進国ではなかなか出来ない数字であり、ASEAN諸国においてもトップクラスに長い人口ボーナス期になります。
それだけのポテンシャルがあるということですので、まだまだ成長する余地は大きいと思われます。ただ、人口全体が少ないというのもネックでありますので、カンボジアの場合は、日本でいうところの「都市圏」という発想で見た方がベターかもしれません。首都プノンペンは230万人ほどの人口です。日本でいうと名古屋や札幌の間くらいになります。それくらいの人口規模と考えると、中小企業にとってはまさに進出のしやすい国の一つだと思えます。
図3 カンボジアの人口ピラミッド(2019年度)
図4 カンボジアの人口増加推移図
出典:カンボジア各種統計資料よりエイリック作成
*2020年時点でのカンボジア人口「16,486,542人」が2070年には「22,889,021人」になると予測されている。
現在、カンボジアでは水際対策を非常に厳格に行っています。海外直接投資も減ってきてしまっていますが、元々のポテンシャルの高さから将来性は非常に高く、コロナが落ち着いてくれば再度大きく成長するであろうと言われています。
次回はカンボジアの経済及び不動産についてもう少し深掘りしていきたいと思います。