田中 圭介の不動産投資コラム

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

No.56 ASEAN各国の2020年の経済と不動産マーケット状況 〜カンボジア その2〜

エイリックの田中です。
前回はカンボジアの基礎的な話とコロナの状況について書いていきました。今回はもう少し深掘りした内容を書いていきたいと思います。

図1をご覧ください。
これは海外直接投資(FDI)の推移を表したものになります。2020年の4月から2020年7月に向けて大幅に減少しています。これはやはりコロナの影響がもろに出ている状態でして、8月以降、多少回復したと言われていますが、長引いてしまっているせいか、決して良くはありません。

もちろん政府も手を拱いているわけではありませんが、まずは感染拡大を抑え込むということに注力している状況ですので、経済が開かれるのはおそらく2021年以降と想定されます。

図1 カンボジアに対する海外直接投資(FDI)推移

経済の状況は残念ながら芳しくありませんが、不動産はどうでしょうか。新規開発案件という意味では遅延が目立っていますが、特別マイナスな状況ではありません。ただ、高級系の物件はコロナにより少し値段が下がってきたかなという程度です。図2をご覧ください。

図2 プノンペンのコンドミニアム価格推移(平米単価)

日本人の方が多く買われている高級コンドミニアムにおいては2020年に入ってから少し値段が下がっている傾向です。また中堅コンドミニアムでも下げている状況です。

しかし、これはコロナのこともあるので、特に意識しなくても良いと思います、それよりもAffordable(庶民的な)物件においては価格がコロナによっても変動がなかったというのが特徴的です。そして、これはカンボジアだけでなく、他のASEAN諸国でも見られる傾向です。

これはどういうことか?
「家を買える層が増えてきたこと(個人収入が増えてきていること)」を表しています。つい30年前までカンボジアは悲劇の国の象徴でした。日本からもPKOが派遣されニュースになったのを多くの方がご存知でしょう。そんなカンボジアが奇跡の復活を遂げ、今ではコンドミニアムを買えるくらいまでになってきているのです(もちろん貧富の差は日本以上にあるので、全員が全員不動産を変えるわけではないので要注意)。

カンボジアの不動産というのは高級コンドミニアムを外国人が買い、少ない人口規模であるものの駐在員などに貸し付けることで10%以上の利回り、そして30%以上の値上がりを期待していたという時代がありました。しかし、物件が多く作られて、そして経済成長に合わせて生活が豊かになっていく人も増え、確実に人々が成長しています。その結果がコロナにおいても安めの物件が値下がりせずにマーケットが形成されているという事実です。

20年前は考えられませんでした。いや、10年前でも想像は難しかったかもしれません。私自身、カンボジアは2000年に最初に訪れましたが、その頃はコンドミニアムなどなく、多くの家屋がせいぜい3階〜4階建であり、のどかな田舎町だったという認識です。それが今、大きく様変わりしたのがカンボジア、プノンペンなのです。

さて次回はいよいよカンボジアの不動産マーケットの最後になります。急速に成長したカンボジア不動産マーケット。今後どのように動いていくのか、私なりの考察を述べていきたいと思います。

【このコラムの著者】

田中 圭介

1979年兵庫県生まれ、関西学院大学経済学部卒。 新卒で外資系製薬メーカー入社後、出版社を立ち上げる。 2005年より大手不動産ポータルサイトにて営業責任者を5年以上歴任した後、2011年タイにて現地法人の立ち上げ、現地不動産ポータルサイトを立ち上げた経験を持つ。 在タイ時代から数多くの人脈を持ち、ASEAN各国を駆けずり回る。 現場主義を信条とし、自身の経験や知識を元に投資家や企業のサポートを行う。 主な著書に「ASEAN不動産投資の教科書」など3冊。

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※ No.1表記について:不動産投資ポータルサイトが掲載をする物件数統計 2020年6月時点(フジサンケイビジネスアイ調べ)

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