田中 圭介の不動産投資コラム

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

No.56 ASEAN各国の2020年の経済と不動産マーケット状況 〜カンボジア その3〜

エイリックの田中です。
カンボジアに関する記事はこれで最後になります。カンボジアの魅力が少しでも伝わるように書いていければと思います。
今回は不動産マーケットについてもっと具体的に書いていくのと、今後の考察について述べていきたいと思います。図1をご覧ください。

図1 カンボジアのコンドミニアム供給数推移

カンボジアは2階以上の物件、かつ全体の70%までが外国人が購入できます。この法令ができたのは2010年。つまり10年前の話です。そこから一気に外国人投資家がカンボジアに投資をしてきました。その勢いが非常に強いと言っても過言ではありません。

そして図1にある通り、2019年には2010年の時に比べて約20倍以上の供給数がされています。現在、カンボジアでは約2万戸が毎年供給されている状態になっています(2020年はコロナの影響もあり、図1ほどの供給はされていないと推察)。

さて、毎年2万戸供給されている、そして累計では約7万戸のコンドミニアムが供給されている状況ですが、再度書いておきます。プノンペンの人口は約230万人です。1人当たりGDPは残念ながらプノンペンと言えど約3,000~4,000USD/月と言われています。かなり貧富の差が激しい状況なのは確かですが、全体の5%弱、約10万人が富裕層と言われていますが、それでもすでに7万戸が供給されているというのはちょっと異常事態です。明らかな供給過多局面に入ってしまっていると思われます。

前回の価格推移について「大きな変化はない」と書きましたが、確かにそれはその通りです。ですが、期待値が大きすぎてかなり高値で放置されているというのもまた事実だと私は思っています。それがコロナによって高級〜中級物件において少し値下がりしている要因だと思っています。コロナによって真の力が炙り出されている可能性も決して否定できません。

では、今後はどのような動きになっていくか?
おそらくカンボジアも他のASEAN諸国同様、マーケット的には平米単価4,000USD(坪約150万円前後)を境に少し足踏みすると思います。理由は簡単で現地ローカルの給与がまだ追いついていないからです。平米単価4,000USDを超えてくるのは人口の多さや経済成長、個人収入の増加などが必須になってくるので、いくら外国人が購入すると言っても最後はローカルの人間が購入してくれないことにはあまり意味がありません。

ですので、経済成長が先か不動産バブルが弾けるのが先か、という話になってきます。ただ、現在のカンボジアを見ていると不動産バブルが弾けるというのはまだ見えません。理由は中国資本が大量に入ってきているからです。ここが価格を押し上げている大きな要因なのは間違いないです。

カンボジア政府も外交においては非常に上手く、経済成長をさせながら物価の上昇、生活の質の向上を目指しています(ただやり方があまりに激しく、急速なので貧富の差が非常に広がっているのも事実)。ですので多くの若者が首都プノンペンに押し寄せており、エネルギーが充満しているように見えます。

その証拠に不動産だけが開発されているわけではなく、商業地もどんどん開発されている状況です。図2をご覧ください。

図2 商業施設の供給数推移

2014年あたりから一気に増えてきました。特にこれは日系のイオンの効果ではありますが、それでも商業エリアができていく、ということは国内消費が増えていくということでもあります。つまり海外からの投資だけでなく、国内マーケットでも消費が増えていくと予測されているからこそ、商業施設ができるのであって、今後の発展が期待されているとも言えます。

現在、カンボジアは経済成長をしながら不動産の供給を増やし、そして商業施設を増やしていくことで成長をさらに加速させようとしています。もちろん、それはアクセルを全開で踏みっぱなしという意味でもあり、少しでも舵取りを間違えると大事故につながる可能性があるものです。

ですが、米ドル経済圏であり若い人が多いこの国は、なんとか今までしがみついてきたという印象があります。そして、貧富の差は広がったけども豊かな生活を垣間見ることができ、国民のモチベーションも上がりつつあります。

そんな中でのコロナ禍。まさに今、カンボジアは正念場を迎えていると言っても過言ではありません。しかし、この国はまだまだ若い国です。ほんの30年前は何もなかった国です。今回のコロナも一時的なものであり、私はコロナが落ち着けばさらに成長していくと信じています。

ただし、不動産に関しては成長速度が早すぎたため少し心配している部分があります。他のASEAN諸国に比べるとまだまだインフラが弱いし、管理に関しても危うさがあります。その点はぜひ気をつけて欲しいと思います。

カンボジアには若い人が多いので希望がたくさんあります。そういった芽をぜひとも伸ばして欲しいと思いますし、たくさんのチャンスが溢れていると感じます。コロナが落ち着けば早く当地に訪れて、そのパワーを再度確認したいと思います。

2020年のコラムはこれで終わりになります。
本当に来年は良い年になればと心の底から願っております。

皆様もお体には気をつけて、そして2021年は海外に行けるように祈りましょう。

本年も誠にありがとうございました。
それでは皆様、良いお年を。

【このコラムの著者】

田中 圭介

1979年兵庫県生まれ、関西学院大学経済学部卒。 新卒で外資系製薬メーカー入社後、出版社を立ち上げる。 2005年より大手不動産ポータルサイトにて営業責任者を5年以上歴任した後、2011年タイにて現地法人の立ち上げ、現地不動産ポータルサイトを立ち上げた経験を持つ。 在タイ時代から数多くの人脈を持ち、ASEAN各国を駆けずり回る。 現場主義を信条とし、自身の経験や知識を元に投資家や企業のサポートを行う。 主な著書に「ASEAN不動産投資の教科書」など3冊。

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※ No.1表記について:不動産投資ポータルサイトが掲載をする物件数統計 2020年6月時点(フジサンケイビジネスアイ調べ)

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