エイリックの田中です。
新年明けましておめでとうございます。
本年もASEAN不動産マーケットについて書いていきたいと思います。
2020年は誰も予測できなかった新型コロナウイルスによるロックダウンが世界中で起きてしまい、東京オリンピックも延期、そして世界が沈黙してしまった1年となりました。不動産に関しては新規の開発がストップしたものの価格は高値を維持している状況になりました。
しかし、足元の経済状況は非常に厳しいものがあります。まだ2020年のGDP成長率等は発表されていませんが、速報値で見ても各国軒並み昨年対比で5%以上のマイナスになっています。これが経済に与える影響は大きく、非常に由々しき問題です。以下、執筆時点でのASEAN各国の感染状況を記載しますが、ASEANの中ではインドネシア、フィリピンで感染者数が多く、感染が止まっていないのはマレーシアやミャンマーなどです。
一方でシンガポール、ベトナム、カンボジア、ラオスでは感染者数は増えておらず、死者も少ないです。タイは落ち着いていたもののクラスターが発生し、また非常事態宣言が出されたという状況です。
ワクチンも開発されつつありますが、まだまだ予断を許さぬ状況なのは確かであり、2021年も不安を抱えていると言っても過言ではないでしょう。
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■ASEAN各国の感染状況等(2021年1月6日現在)
*データ元:ジョンズ・ホプキンス大学データ抜粋
* シンガポール :感染者58,721人、死亡者数29人
* マレーシア :感染者数120,818人、死亡者数1,741人
* タイ :感染者数8,966人、死亡者数65人
* フィリピン :感染者数478,761人、死亡者数9,263人
* ベトナム :感染者数1,497人、死亡者数35人
* インドネシア :感染者数772,103人、死亡者数22,911人
* カンボジア :感染者数382人、死亡者数0人
* ラオス :感染者数41人、死亡者数0人
* ミャンマー :感染者数126,935人、死亡者数2,744人
■日本 :感染者数248,651人、死亡者数3,472人
■世界全体 :感染者数8,678万人以上、死亡者数186万人以上
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そんな状況ではありますが、新年最初のコラムはタイを取り上げたいと思います。タイは観光立国として有名で、このコラムでも何度も取り上げている国ですが、2020年は試練の年になりました。それまでも経済成長率が2-4%あり、不動産においても着実に上昇していた国です。
しかし2020年3月末に非常事態宣言が出てから、2021年1月時点までで合計8回の非常事態宣言延長が発令されています(2021年1月15日まで)。
これに伴い、バンコクではデモが頻繁に行われ、国民生活も非常に厳しい状況に陥っています。また経済状況も厳しくなっています。図1のグラフを見てください。このグラフは2020年第一四半期までのGDP成長率となっています。
図1:タイの四半期ごとのGDP推移

出典:Office of National Economic and Social Development Board (NESDB)
上記のグラフを見て分かる通り、2020年第二四半期が底になっており、2021年第一四半期ではプラスに転じるとなっています。しかし、このデータ自体が2020年10月時点のものであり、正式に数字が出てくる頃にはもっと悪くなっている可能性があります。特に2021年にはプラスに転じるとありますが、2021年1月15日まで非常事態宣言を出しているタイにおいては、2021年もまだまだ苦しい状況が続くと想定されます。
また度重なる非常事態宣言の延長により、タイでは自殺者が増加傾向にあります。「経済死」と新聞などでも訳される言葉がタイの現地新聞等で見られます。日本でも自殺者が増加してしまっていますが、なんとも悲しい話です。それくらい微笑みの国であるタイでも厳しい状況が続いているわけです。
新春早々暗い話になってしまいましたが、それだけ厳しい状況であると認識をしていただければ幸いです。次回はもう少し経済と不動産の状況について書いていきたいと思います。
2021年は明るい話題やテーマで書いていけるようになればと心から思います。今が「底」だと思いますので、2021年は素晴らしい年になるようにしていきましょう。
本年も何卒よろしくお願い申し上げます。