田中 圭介の不動産投資コラム

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

No.65 Withコロナ時代のASEAN各国経済と不動産マーケット 〜タイ その3〜

エイリックの田中です。
前回までタイの経済について書いてきました。今回はタイの不動産マーケットについてより深掘りして書いていきたいと思います。

前回も書きましたが、2020年は都心部よりも郊外が増えました。図1をご覧ください。2020年第二四半期のエリア別の販売された立地となります。75%がバンコク郊外であり、残り25%もバンコク都心部というよりバンコク都心部のはずれ、という認識で良いと思います。

図1:

今回のコロナ禍において、タイでも都心部の高級物件ではなく、実需層に向けて開発が進んでいる状況です。ただ、これはコロナだけの問題ではなく、おそらくある程度想定通りと言っても良いと思います。

なぜかというと、やはりバンコク都心部の販売価格が高騰していたからです。正直、タイ人富裕層がこぞって購入する、という10年前とは違い、やはり売れ行きが昔ほどではなく、外国人投資家、特に中華系の人たちに依存している状況です。いち早く気付いていたデベロッパーはコロナ関係なく2019年秋頃から郊外・戸建て・実需向けにシフトしつつあります。これは英断だと思います。

結果的に2020年のコロナにより、都心部の売れ残り物件は変わらず苦戦しています。ここで原価割れするくらいの価格で売り出し案件が出てくれば嬉しい話なのですが、さすがにそこまでは下がっていないので、ギリギリの戦いを強いられているのだろうと予測がつきます。

図2をご覧ください。2016年からの新規コンドミニアムの需要と供給、ならびに販売率を四半期ごとに表したグラフとなります。

図2

このグラフを見てもらってもわかる通り、2020年においては販売率が14%と低下しており、供給過多になってしまっています。この需要が回復するには外国人投資家の力と価格の押し下げがどうしても必要になってくると思われます。そう考えると、やはり現段階ではまだまだ不動産マーケットは厳しいと言わざるを得ません。

しかし、価格に関してはまだ表立っては下がっていません。図3をご覧ください。2016年から2020年までのコンドミニアムの価格推移を出しています。

図3

図3を見てもわかる通り、2020年第二四半期においても価格は下がっていません。特に都心部(CBDと表記)に関しては下がっている傾向すらまだ見えていません。この数字がある限り、新規のコンドミニアムがこのエリアで出てくるか?となるとちょっと難しい気がします。

一方で都心部のはずれ(City Fringeと表記)の物件に関しては下がる傾向が見えます。この辺りの中途半端な場所が一番難しいエリアで、投資には不向きなエリアでしょう。そして、バンコク郊外(Bangkok Suburbsと表記)の価格は2016年から一定です。ここは完全に実需向きエリアですし、上昇するにはかなり長い時間がかかると想定されます。

以上のように見てきましたが、投資家としてバンコクの不動産マーケットを見るとすると、現段階では「我慢」の一言だと思います。投資が成立するのであれば、都心部の物件が図3の価格、平米単価267,000バーツより明らかに安く市場に出てきているのであればお得感があると思いますが、現在売られている案件はほとんどが平米単価30万バーツを超えてくるものがほとんどですので、このタイミングで投資するのはリスクを孕んでいると考えています。

ただコロナはいつか収束すると思いますので、5年〜10年という長期で見るのであれば、都心部であれば一度しゃがむ可能性は高いですが、さらに突き抜ける可能性は十分あります。

2020年1月現在、残念ながら諸手を挙げてバンコクがお勧めですよ、とはデータやグラフからは読み取れませんし、実際に現地ともコミュニケーションをしている身としては「余程美味しい案件じゃないと手を出さない方が良い」というのが本音です。まだこのコロナの状況がどう転ぶかわかりませんし、安値で投げ売りしてくれるようなオーナーがいれば非常に面白いのですが、まだ皆さん握力が強く価格にもまだ反映されていません。

もう少し様子を見ながら私もタイと付き合っていこうと思っています。

それでは今回はこの辺りで。

【このコラムの著者】

田中 圭介

1979年兵庫県生まれ、関西学院大学経済学部卒。 新卒で外資系製薬メーカー入社後、出版社を立ち上げる。 2005年より大手不動産ポータルサイトにて営業責任者を5年以上歴任した後、2011年タイにて現地法人の立ち上げ、現地不動産ポータルサイトを立ち上げた経験を持つ。 在タイ時代から数多くの人脈を持ち、ASEAN各国を駆けずり回る。 現場主義を信条とし、自身の経験や知識を元に投資家や企業のサポートを行う。 主な著書に「ASEAN不動産投資の教科書」など3冊。

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