田中 圭介の不動産投資コラム

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

No.66 ミャンマーの軍事クーデターが引き起こす影響 その1

エイリックの田中です。

2021年2月1日、コロナ禍で世界が厳しい状況にあるにも関わらず、ミャンマーで大きな事件が起こりました。皆様もご存知だと思いますが、軍事クーデターです。この内容について今回は掘り下げたいと思います。

まず事実として、クーデターの内容としては、ミャンマー国軍がウィン・ミン大統領、アウンサンスーチー国家顧問、NLD幹部、NLD出身の地方政府トップら45人以上の身柄を拘束し、ウィン・ミン大統領とアウンサンスーチー国家顧問は首都ネピドーにあるそれぞれの自宅に軟禁されてしまいました。

そして、軍出身のミンスエ第一副大統領が大統領代行(暫定大統領)に就任し、憲法の規定に基づいて期限を1年間とする非常事態宣言の発出を命じる大統領令に署名し、国軍が政権を掌握しました。また、ミン・アウン・フライン国軍総司令官に立法、行政、司法の三権が委譲されミン・アウン・フラインは直ちに国家行政評議会を設立し、その長である国家行政評議会議長に就任し、旧政権の閣僚24人は全員が解任され、新たに11人の閣僚が任命されました。

改めて、ミャンマーという国についてきちんと理解をしていきたいと思います。この国は「ラストフロンティア」と言われていて、最近では今後の成長を見込まれており、また実際成長していた国でもあります。私も3回ほど当地を訪れてその勢いを実感しました。まさかこのような事態になるとは、というのが本音です。

では、ミャンマーの軍と民主化についての歴史について振り返ってみましょう。

ミャンマーの軍と民主化の歴史
1948年イギリスから独立、民主制を採用
1962年軍がクーデターを起こし政権掌握
1988年学生を中心に民主化運動が激化
アウンサン・スーチー氏を中心に国民民主連盟(NLD)結成
1990年総選挙実施、NLDが圧勝したが軍は政権移譲せず
2010年軍は憲法制定をした上で総選挙実施、国軍系政党が勝利
2011年テイン・セイン政権発足、民政移管される
2015年2015年 総選挙実施、NLDが圧勝
2016年NLD政権発足。スーチー氏が国家顧問就任
2020年2020年 総選挙実施、NLDが圧勝
2021年2月1日2021年2月1日 軍事クーデターにより軍が政権掌握

上記の年表を見ても分かる通り、ミャンマーという国はまさに軍事政権と民主化が交互に繰り返されてきたという歴史があります。

私は2001年に1度、2016年と2018年にミャンマーを訪問しましたが、2001年当時のミャンマーはほぼ鎖国状態であり、外国人が入国するのも非常に厳しかった思い出があります。また強制的にアメリカドルに両替させられ、街の雰囲気もどことなく暗かった印象がありました。

しかしNLD政権が発足してからというもの、2016年、2018年に訪問した時は街に活気が溢れ、海外からの投資も盛んに行われたのか、新しい建物がどんどん建設されていました。新興国の成長というのを間近で見たような、そんな感情を持ちました。

とは言え、今までは軍政が決めたことを民主的に決めていくわけですから、決まるものが決まらなかったり、再度やり直したり、みたいな遅さは正直あったと思います。また海外から投資が舞い込んできているので、富裕層が出てきたり、逆に詐欺まがいの人間が出てきたりしたのもこの時期でした。

ただ、民主化に懸ける想いは非常に強く、力強さが出てきたというのが私の本音です。その成長をしてきたミャンマーが一夜にして軍事クーデターにより、不安な日々を国民は過ごしています。

次回はミャンマーの現状についてさらに深掘りしていきたいと思います。

【このコラムの著者】

田中 圭介

1979年兵庫県生まれ、関西学院大学経済学部卒。 新卒で外資系製薬メーカー入社後、出版社を立ち上げる。 2005年より大手不動産ポータルサイトにて営業責任者を5年以上歴任した後、2011年タイにて現地法人の立ち上げ、現地不動産ポータルサイトを立ち上げた経験を持つ。 在タイ時代から数多くの人脈を持ち、ASEAN各国を駆けずり回る。 現場主義を信条とし、自身の経験や知識を元に投資家や企業のサポートを行う。 主な著書に「ASEAN不動産投資の教科書」など3冊。

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