エイリックの田中です。
前回の記事ではミャンマーの軍事政権と民主化の歴史について書いていきました。今回は現状のミャンマーについて書いていきたいと思います。図1をご覧ください。
図1

*出典:IMF「ミャンマーGDP成長率」より抜粋
実は軍事政権時代の方が経済成長率は高かったというデータがあります。ただし、TOTALのGDPの数字がそもそも低いので(他国から経済制裁を課せられていたため海外からの投資が極端に低かった)、これは参考外で良いと思います。
2010年に民政移管されてから一気にGDPが上昇しており、期待感の表れだったと気がつくはずです。データが2018年までしかなく申し訳ないのですが、2020年のコロナ禍においても経済成長率は1.5%とプラス成長の見込みが出ています(2019年の経済成長率は6.7%)。これに伴い、一人当たりGDPも着実に成長をしていました(2019年時点で約1,300USD)
つまり経済的にはコロナがあったとしても、着実に成長路線を歩んでいる状況であり今回の軍事クーデター前までは何とか耐えてきた国ということが言えるでしょう。その要因としては人口構造と人口増加にあります。図2と図3をご覧ください。
図2 ミャンマーの人口ピラミッド(2019年時点)
出典: https://www.populationpyramid.net/myanmar/2019/より
図3 ミャンマーの人口推移

*出典:UNFPAデータよりエイリック作成
図2、図3をご覧になっていただいて分かる通り、この国は若い人が多く、さらに人口が2050年になってもまだ伸びている国になります。
経済の根幹は人であり、数の多さです。やはり人口が増える国は経済も成長しやすいというのは歴史的に明らかになっているので、ミャンマーに期待している国は多いと思います。
そういうこともあって、この国は「ラストフロンティア」と呼ばれていたのです。そして2010年に民政移管されて、さらに2016年から国民民主連盟(NLD)が政権を取ったことで、世界中から投資が集まったという話です。
そんな成長を期待されている国で軍事クーデターが起きたわけです。やはり心配にならざるを得ません。次回はこの軍事クーデターにおける影響を書いていきたいと思います。