田中 圭介の不動産投資コラム

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

No.76 ASEAN不動産投資の失敗事例 〜プレビルド投資の失敗 その2〜

エイリックの田中です。

前回の続きです。プレビルド投資をしてみようという人は、以下の3点のリスクに気をつけてやるべきです。この認識をきちんと理解していない人が多いと感じます。不動産会社は当然ながら「売りたい」ので、この辺りはきちんと説明しないケースも散見されます。あくまで投資なので、投資する側はきちんと理解しておくべきです。

それぞれ解説していきます。
プレビルド投資において、非常に重要な点ですので気をつけてください。

■プレビルド投資で気をつけるべき点

物件価格が短期間で上昇しないリスク

購入しようとしていた時は、デベロッパーや不動産会社から「この物件は販売後、すぐに価格が上昇します。デベロッパーも強気で3ヶ月に1回程度値上げして販売していくので、今が1番お買い得です。」という言葉を信じて購入した方もいらっしゃると思います。
この言葉自体は嘘でもありませんし、実際にそうやって値上げをしていく物件もあります。ただ、これくらい強気なことができる物件は都心部で強い需要がある、大手デベロッパーが手がけて将来性、資産性が非常に高い物件が多いです。特に郊外の正直聞いたことがないようなデベロッパーが建てる物件において、そうそう簡単には値上がりしません。これは日本でも同じだと思います。

日本で東京都心、しかも都心3区(千代田区、中央区、港区)の物件で、かつ日本を代表するような大手デベロッパーの物件であれば、そもそもこのエリアに新築マンションが建築されることが少ないので、価値は非常に高く、日本でも値上がりが期待できるエリアです。

基本スタンスとしてはこの感覚で合っています。タイでもフィリピンでもベトナムでも同じです。やはり都心部で価値の高いエリアで、大手デベロッパーが建設する価値の高い物件であれば値上がりは十分期待できると思います。
大手デベロッパーと書いていますが、これは「(大手デベロッパーが持つ)信用」のことを言っています。

しかし、私が見ていて「この物件は値上がりするはずなのに!」と言われている物件は、エリアもしくはデベロッパー選択で間違っているケースが多いと思います。基本的には海外不動産投資というリスクを既に取っているので、物件選定においては慎重すぎるくらい慎重で問題ないと思います。

ましてや「出口が決まっている(竣工前に売る)」案件に関して言えば、余計にそう考えるべきです。

物件価格が短期間で下落するリスク

意外と知られていませんが、物件価格が短期間で下落するリスクがあります。長い目で見ればマーケット的にも成長しているASEAN不動産ですが、プレビルド投資の場合、実はこういうことが起こり得ます。前回書いた失敗例がまさにその通りでして、それでもこの方はまだマシな方でした(売れたこと、および少しでもお金が戻ってきたこと)。

これを分かりやすく図にしましたので、ご覧ください。
プレビルド投資で罠にハマる図になっています。注意点は「プレビルド投資をしているのはあなただけではない」という事実です。

図1 :プレビルド投資の価格推移イメージ図

実際、評判の良い物件は本当に購入後すぐに値上がりすることがあります。物件によっては1日、2日で完売して、それでも購入したいという人がいる場合に転売をする、チケット転売みたいなことがあります(私も過去にやったことがあります)。

それは極端としても、利幅は少ないですがこのような転売はありますが、ある程度の時間が経つと他の物件も販売が開始されることが多いので、この物件には興味がなくなる、という傾向が投資家の中に出てきます。

そして、デベロッパー予測価格数字で「そろそろ売れば儲かるかな」と判断して売りに出しても価格がつかないことがあります。それが竣工前の時期です。また他の購入者も同じことを考えています。

つまり、「とりあえず買っておいて、2年後くらいに売ればいいや。」と軽く考えて投資をしている層が思っている以上に多いということです。そうすると「本当に買うつもりがなくて、登記できるお金がない人たち(特にローカル)」が一気に売り出します。なんなら値下げ合戦が始まります。

これが1番最悪なパターンで、前回書いた投資家が巻き込まれた例になります。こうなると個人的には登記した方が良いと思っています。立地が良かったり、物件が良かったりすれば、きちんとインフレと共に価値は上昇するはずです。投機的な投資は大怪我の元です。

物件が短期間で売れないリスク

このリスクは上の2を見てもらえれば必然的にわかると思います。仮に3,000万円で購入した物件ではあるものの(頭金として900万円支払済)、この投資家は「値上がりしている」と思って物件が竣工する半年前から売りに出しています。しかし、実際にはローカル投資家の間で「値下げしてでも売りぬける」戦いが繰り広げられていたわけです。

この投資家は日本にいて「とりあえず、3,500万円で売りに出してください」と指示を出していたそうですが、実際には3,000万円前後で売りに出ている物件がほとんどだったそうです(つまりほとんど利益なし)。竣工が迫っている中で残金を支払えない人たちは「損をしてでも売りに来る」ということを理解されていませんでした。結果として当然ながら買い手は見つかりません。この辺りの情報をきちんと理解して、すぐに動けるかどうか?プレビルド投資をする人は肝に銘じるべきだと思います。

それくらいプレビルド投資というのはハイリスク・ハイリターンな投資と心がけてください。
紙面の関係上、今回はここまでとしますが、次回、今回の投資家とこの物件のその後について書いていきたいと思います。

それぞれ解説していきます。
プレビルド投資において、非常に重要な点ですので気をつけてください。

【このコラムの著者】

田中 圭介

1979年兵庫県生まれ、関西学院大学経済学部卒。 新卒で外資系製薬メーカー入社後、出版社を立ち上げる。 2005年より大手不動産ポータルサイトにて営業責任者を5年以上歴任した後、2011年タイにて現地法人の立ち上げ、現地不動産ポータルサイトを立ち上げた経験を持つ。 在タイ時代から数多くの人脈を持ち、ASEAN各国を駆けずり回る。 現場主義を信条とし、自身の経験や知識を元に投資家や企業のサポートを行う。 主な著書に「ASEAN不動産投資の教科書」など3冊。

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