田中 圭介の不動産投資コラム

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

No.78 ASEAN不動産投資の失敗事例 〜郊外格安コンドミニアム投資の失敗 その1〜

エイリックの田中です。

先月はプレビルド投資の失敗について書いてきました。現在、コロナ禍ということもあり、新築物件の販売自体がそこまで多くないし、現地視察ができないので日本人投資家がASEANにおいてプレビルドを買いまくっている、という状況ではなくなりました。

とはいえ、改めてコロナが落ち着き海外に行けるようになれば、物件はたくさん供給されると思います。ぜひそこまでの間、当コラムで勉強していただけたらと思います。

さて、今回の失敗例ですが、「郊外格安コンドミニアム投資の失敗」というテーマでお送りしたいと思います。いわゆる、都心部ではないエリアで、さらに安い物件を買って将来的なキャピタルゲインを得る、もしくはインカムを得るという考え方です。

まずこの考え方自体は、当然ながら当たり前の投資方法であり、日本で言えば、東京都心の物件は高いので郊外の物件を購入して運用する、もしくは価格が上昇したところで売却するという手法で非常に理解がしやすいです。ただ、日本の場合、都心の物件価格より安い、というのは同じですが、郊外の物件を買っても値上がりを見込みにくい、というのがASEAN諸国とは違うところでしょう。

事実、ASEAN諸国では中心部の価格が非常に高くなってきているので、現地ローカルの人たちが中心部の物件を買えず、郊外に物件を求めるようになりました。急速な都市化による地価の上昇がASEAN各国では2005年頃から起きています。そして、中心部の価格が上昇すればするほど、郊外の物件価格も上昇をしています。具体的に言うと、タイのバンコクでは2005年頃のCBD(中心地)の平米単価は大体50万円〜70万円前後でしたが、2021年現在では100万円〜150万円近くまで上昇しています。そして郊外においても平米単価20万円〜30万円だったものが50万円〜80万円ほどに成長しています。これは他のASEAN主要国でも似たような動きになっています。

そのため、郊外で1,000万円以下の物件を購入し、10年ほど保有したのちにインカムゲインとキャピタルゲインを狙うという手法になります。買い値が安いため手を出しやすく、さらに成長期待度も高いので非常に良い投資手法と言えます。事実、現地ローカルの投資家は郊外物件を買い漁っている人も大勢います。

しかし、ここにも落とし穴があります。それは投資手法自体がダメというわけではなく、以下3つの点をクリアできない日本人投資家が多く、失敗事例になってしまうというケースです。

言葉の問題
物件管理の問題
売却の問題

最初に出てくるのが「言葉の問題」です。おそらく購入時は日本人の販売会社から購入されたと思います。その時に魅力を感じて購入を決断されたと思いますが、彼らは「仲介会社」であって「管理会社」ではありません。つまり、良い物件を売るということが仕事であり、その物件を購入者(投資家)に引き渡すまでが仕事になります。所有権が購入者に移転されてからは、その物件は購入者がどのように使っても良いわけです。ご自身で住んでも人に貸しても倉庫にしても何をしても良いわけです。

ただ、ほとんどは「投資」目的であるため当然ながら賃貸に出せるように部屋を「購入者」がしなければいけません。購入者の持ち物ですから。その時に仲介してくれた販売会社が「賃貸仲介・管理もやりますよ」と言って、「賃貸管理契約」などの契約を締結していれば問題ありませんが、郊外物件で割安な物件の多くは「管理に関しては現地ローカルでしっかりした企業を紹介します。英語が通じるので大丈夫です。」というケースが多いです(もしくはデベロッパー子会社の管理会社)。

「英語が通じるなら、なんとかなるだろう」
と多くの人は思いがちなのですが、そんなことはありません。全然通じないケースもたくさんあります。フィリピンやマレーシアであれば確かに英語は通じるケースが多いですが、タイやベトナムの郊外ローカル企業では英語が通じにくいと思った方が良いです。そのため、購入時に言葉の問題は必ず確認をしてください。誰が対応してくれるのか?英語が通じると言っているが、本当に英語が話せるのか、よくよく確認をしてください。

次に物件管理の問題です。ASEAN諸国は成長していると言っても、まだまだインフラやサービス面では日本とは違います。徐々に改善されて良くなってきていると言ってもそれは都心部だけの話、ということも往々にしてあります。ここが外国人にとって非常に難しい点になります。

日本だと多くの管理会社があり、物件管理、建物管理もノウハウも溜まっており遠隔の物件でも「どうにかなる」ケースが多いのですが、ASEAN諸国の郊外物件の場合、管理組合もしっかりしていない、誰も何も対応しないということが多いです。都心部の物件であれば資産価値も高いので、物件オーナー達も意識が高いのですが、郊外になればなるほど「余計なお金は使わない」というスタンスが強く、ほったらかしにするとボロボロになる可能性が非常に高いです。

そして、最後の売却においても郊外の物件で1,000万円以下の案件であれば日本語が話せる仲介企業は積極的に活動をしないケースが多いです。理由は2つ。

手間の割に手数料が低いため積極的に動かない。
売却先はローカルになる事が多いが、その売却先のルートを持っていない。

ほぼこれです。1は「対応してくれよ」という話ですが、郊外ということは交通費もかかり、時間も取られるので不動産会社からすると「割に合わない」という話です。手数料を上げて売ってもらうという話も聞きますが、その時の手数料は2にも関係してくるのですが、8%とか9%とか取られるケースもあります。売却先のルートを持っていないので、現地ローカルの企業に手数料を上乗せして依頼するという流れです。

このように郊外物件の落とし穴にはぜひ気をつけていただきたいです。次回はこの失敗の具体例をお伝えしたいと思います。

【このコラムの著者】

田中 圭介

1979年兵庫県生まれ、関西学院大学経済学部卒。 新卒で外資系製薬メーカー入社後、出版社を立ち上げる。 2005年より大手不動産ポータルサイトにて営業責任者を5年以上歴任した後、2011年タイにて現地法人の立ち上げ、現地不動産ポータルサイトを立ち上げた経験を持つ。 在タイ時代から数多くの人脈を持ち、ASEAN各国を駆けずり回る。 現場主義を信条とし、自身の経験や知識を元に投資家や企業のサポートを行う。 主な著書に「ASEAN不動産投資の教科書」など3冊。

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