田中 圭介の不動産投資コラム

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

No.79 ASEAN不動産投資の失敗事例 〜郊外格安コンドミニアム投資の失敗 その2〜

エイリックの田中です。

前回、郊外格安物件の落とし穴について書きましたが、今回はその具体例をお伝えしたいと思います。

■CASE 1
・バンコク郊外(バンコク中心部から車で1時間)
・購入時価格:約500万円(2017年購入)
・想定利回り:8% →実質:0%(購入から1度も賃貸がつかず)
・売却価格:約300万円(2019年売却)

この事例は日本人投資家が購入した物件ですが、販売当初は「500万円くらいで家具家電もついて利回り8%もあり、売却益も取れるのであれば良い!」と物件を見ずに購入された案件です。

この物件を販売した日系不動産会社は「引き渡しまで」という契約を結んでおり、デベロッパーもタイで上場している企業であり、賃貸仲介及び物件管理はそのデベロッパーの子会社が対応するという契約でした。

私も2018年に実際の物件を投資家の方と一緒に見てきましたが、物件自体は郊外ではあるものの、その地域では悪いイメージはなく、なぜ賃貸がつかないのかわからないくらいでした。ただ、その投資家の方も購入してから1度も見にきておらず、登記に関しても購入した日系不動産会社に任せっきりだったそうです。

そして、部屋の中に入ると賃貸がつかない理由が一発でわかりました。それは家具家電は確かについているのですが、引き渡しから1年、掃除も何もされておらず、埃だらけで家具の一部にはカビが生えていたような状況でした。これでは家を借りたいという人がいる訳がありません。

投資家の方と話をしていきましたが、もう完全に諦めてしまい、「もう売れる値段で売って欲しい」ということで、管理会社の担当者と代理で話をして、売りに出したのですが、内装が良くないので思いっきり値引きをされて300万円という価格でタイ人が購入されました。

ちなみにこの物件は500万円という価格で売り出されていましたが、相場的には550万円くらいになっていました。完全に管理が悪く、そして人任せにしてしまった投資家側の責任だと私は思っています。おそらく300万円で購入したタイ人は大喜びだと思います。なんとも後味の悪い結末になってしまいましたが、郊外の物件の場合、よくある話なのでぜひ気をつけてください。

■CASE 2
・マニラ(中心部より車で40分)
・購入時価格:約400万円(2016年購入)
・想定利回り:12% →実質:5%(竣工時に1年だけ賃貸がついたが現在は空室)
・売却価格:保有中

本事例もCASE1と似たような形です。私自身は見たことがない物件ですが、直接投資家の方から教えてもらった事例になります。非常に安い価格で物件を購入したのですが、この投資家の方も英語が話せず、今も保有されている状況です。

私の現地パートナーにも話を聞いたのですが、この物件は中国人入居者が多く、物件管理という意味では非常に悪い状態でエントランスも暗く、賃貸もつきにくく、売却もしにくいという状態だそうです。

現地に行くにしても治安が良くない場所らしく、キャピタルゲインが出ると思って投資したのに何も対応できていない、そして現地にいる日系不動産会社も対応してくれないという案件だそうで、完全に「負」動産になってしまっています。

こうなってくると、もう自分で動くしかありません。もしくは通訳を雇ってでも不動産を処理した方が良いと思います。同じコンドミニアムのオーナー宛に買い取ってもらうような依頼を出すか、引き取ってもらうかなどして早く損切りをした方が良いです。

今後ASEAN不動産においては、都心部の価格が高く買いにくい状況になると想定されます。そうなってくると郊外物件に手を出すという流れが出てくるかもしれませんが、上記のような事例があるので、よくよく考えて投資判断をされた方が良いと思います。私自身で言うと、ASEANの郊外格安物件を購入するのであれば、REITや株を買った方が流動性も高いです。それでもこのエリアにトライするのであれば、現地側のパートナーをしっかりと握っておくこと、そして最悪のケースとして自分自身で対応できることなど、都心部と違い手間をかける必要があると強く認識しておいてください。

次回はASEAN不動産投資でよく出てきている「賃料保証案件」の失敗事例をお伝えします。

【このコラムの著者】

田中 圭介

1979年兵庫県生まれ、関西学院大学経済学部卒。 新卒で外資系製薬メーカー入社後、出版社を立ち上げる。 2005年より大手不動産ポータルサイトにて営業責任者を5年以上歴任した後、2011年タイにて現地法人の立ち上げ、現地不動産ポータルサイトを立ち上げた経験を持つ。 在タイ時代から数多くの人脈を持ち、ASEAN各国を駆けずり回る。 現場主義を信条とし、自身の経験や知識を元に投資家や企業のサポートを行う。 主な著書に「ASEAN不動産投資の教科書」など3冊。

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