エイリックの田中です。
「5年間8%利回り保証!」「10年間7%利回り保証!」という謳い文句があります。非常に魅力的な内容です。しかし、過去失敗事例として出てきているのでここも改めてご紹介したいと思います。ただし、全ての利回り保証案件が失敗しているわけではないので、その点はご理解ください。あくまで非常にリスキーな内容のものだけをピックアップして注意喚起をしたいと思います。
まず、そもそも「利回り保証」をするということですが、日本の物件で「利回り保証」を謳っている物件があると思いますでしょうか?かぼちゃの馬車など、かなり無理した案件でしか見ないと思います。それはASEAN諸国でも同じです。まずは「なぜ利回り保証をしてでも売るのか?」という疑問を持って欲しいです。
デベロッパーが利回り保証をする理由としては、下記のようなものがあります。
・そのままだと売れないから
・成長すると仮定した事業計画を書いている
・ある意味で取り込み詐欺のような内容
詐欺のような案件は後述しますが、基本的に「利回り保証」は「売りやすい」んです。この辺りはリスクを取りたくない投資家心理をついた形だなぁといつも思います。ただ実際問題、物件だけを見てみるとリゾート地であったり、かなり辺鄙な場所にあったりと、いわゆる「資産価値」だけで見ると物件価格とかなり乖離があるなと言うのが本音です。そのまま現地相場で売るくらいであれば、「利回り保証する原資」を物件価格に上乗せして、「貯金」のような感覚で販売した方が良いという判断です。
具体的に言えば、現地評価額で500万円の物件が1,000万円で売られていると仮定します。この差分である500万円を利回り保証の原資に当てるということです。販売時には1,000万円の物件で、5年10%の利回り保証が付いています!ということです。
ただ、ここで気をつけないといけないのが、「本当に5年10%で返してくれるのか?」という話です。
非常に多いのが、
・最初の1年〜2年は支払いがあったが、ある時から支払いが止まった。
・支払い確認をしていたら、いつの間にか管理会社が倒産していた。
・結果的に賃料が支払われない物件が管理会社なしで戻される
・現地で賃貸をつけようとすると10%の利回りどころではなく2%前後の利回りじゃないと賃貸がつかない
このようなケースが多く見られます。
そして、管理会社が倒産しました、仲介会社が倒産しました、というのは計画倒産かどうか?最初から詐欺じゃないか!というのは非常に難しいので、正直なんとも言えません。
利回り保証案件の場合、必ず確認していただきたいのが契約書の内容になります。そして、その契約書において「誰と契約をして、誰が賃料を支払うのか?そして賃料が支払われない場合はどのような対応をするのか?」を必ず確認をしてください。
よくある話で、販売側は「一気にお金が入ってくる」わけです。それこそ上述した通り、評価額より高い値段で売っているケースがほとんどですので、販売側はそのお金を使って(本来ならば投資家に返還するお金)、次のプロジェクトにお金を入れたりしてお金を回していきます。もしくは最悪のケースで使い込んでしまうという例もありました。
ですので、利回り保証案件はどのような会社がやっていて、どういう対応をするのかを必ず確認してください。日本人が売っているから、というのは正直関係ないです。
ただ冒頭にも書いた通り、全ての利回り保証案件が悪いというわけではありません。例えば、ベトナムでもタイでもありましたが、一気に大量の戸数が賃貸市場に放出される場合、すぐに賃貸がつかない・つきにくいというのが予測される時に2年5%の利回り保証ということは実際によくあります。デベロッパーによっては、保証をつける場合の金額と保証をつけない場合の金額が分かれているケースもあります。これであれば購入する側としても非常にフェアだと思います。
この利回り保証案件は特にASEAN不動産でよく出てくるワードであり、失敗例も多いです。ですので最新の注意を払って確認することをお勧めします。
次回はまたASEAN経済、不動産についてお伝えしていきたいと思います。