田中 圭介の不動産投資コラム

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

No.81 フィリピン不動産の現状と未来〜その1〜

エイリックの田中です。

激動の2020年が終わり既に半年が経ちます。未だコロナの影響は各国に爪痕を残している状況で、中々現地にも行けず厳しい状況なのは確かです。
その中で、ようやく2020年の数字が開示されてきました。軒並み厳しい数字が出ているのが正直な所ではありますが、2021年に向けて急回復を示している国もあります。

まずASEAN全体の経済成長率は以下の通りです(JETRO資料より抜粋)。

各国の成長率を高い順にみると、感染拡大の抑制に比較的短期間で成功したベトナムが2.9%と唯一のプラス成長になっています。続いて、インドネシアがマイナス2.1%、シンガポールがマイナス5.4%、マレーシアがマイナス5.6%、タイがマイナス6.1%、フィリピンがマイナス9.5%とかなり厳しい結果になっているのがわかります。
観光業のGDPに占める割合の高いタイや、感染拡大が続き経済・移動制限措置が長期化したフィリピンやマレーシアでの減速幅が大きくなってしまったと言って良いと思います。

フィリピンに至っては統計を開始した1946年以降、シンガポールは1965年の建国以降で最悪の成長率となり、いかに厳しい状況であるかを理解していただけると思います。

そんな中で今回は1946年以降で最悪の成長率となったフィリピンを取り上げてみたいと思います。不動産においては決して悲観すべき内容ではなく、逆に縮こまった分、今後の期待が大きいとも言えるかもしれません。その辺りを紐解いていきたいと思います。

まず、図1をご覧ください。マニラ中心部の種別ごとの住宅価格指数となっています。

出典:フィリピン中央銀行よりエイリック作成

図を見てもらえればわかりますが、2020年第2Q(4月〜6月)〜第3Q(7月〜9月)にコンドミニアムの価格が大きく下がりました。要因としてはやはりコロナ禍が続いたことでしょう。

しかし、一方で二世帯住宅(大型の戸建て)の需要と価格が伸びました。これもコロナの影響であり、中心地かつ密になりやすいコンドミニアムよりも戸建てが選ばれた理由なのでしょう。

この辺りにマニラの不動産の強さがあります。やはり人口1億人以上を抱え、経済成長を遂げてきた国ですから、そう簡単に需要が霧散するようなことはありません。このグラフが物語っていると思います。

また低所得者から中所得者までが主たる購買層のタウンハウスに至っては、需要の低下ではなく、コロナ関係なく右肩上がりになっています。

そう、結局のところコンドミニアムの単価が落ちたかもしれませんが、単純に需要が減ったというよりも「種別」が変わっていった、という話です。ここを見誤ると「単純にフィリピンはダメだ」というレッテルを貼りかねません。

とはいえ、外国人は土地や戸建てを購入することはできませんので、次回からはコンドミニアムに絞って話を展開していきたいと思います。

【このコラムの著者】

田中 圭介

1979年兵庫県生まれ、関西学院大学経済学部卒。 新卒で外資系製薬メーカー入社後、出版社を立ち上げる。 2005年より大手不動産ポータルサイトにて営業責任者を5年以上歴任した後、2011年タイにて現地法人の立ち上げ、現地不動産ポータルサイトを立ち上げた経験を持つ。 在タイ時代から数多くの人脈を持ち、ASEAN各国を駆けずり回る。 現場主義を信条とし、自身の経験や知識を元に投資家や企業のサポートを行う。 主な著書に「ASEAN不動産投資の教科書」など3冊。

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