田中 圭介の不動産投資コラム

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

No.83 フィリピン不動産の現状と未来〜その3〜

エイリックの田中です。

フィリピンのコンドミニアムマーケットを中心に書いています。前回までは不動産マーケットの全体感を書いてきましたが、もっと深掘りしてエリアごとに見ていきたいと思います。

2021年現在、外国人が多く購入しているエリアは以下の5つほどになります。

・マカティ
・BGC(ボニファシオ・グローバル・シティ)
・オルティガス
・ロックウェルセンター
・マニラ沿岸部

この中でもマカティやロックウェルは新規物件がほとんど供給されていません。また直近であれば国際空港近くのアルカサウスというエリアが新規開発をされていますが、まだデータとしては精査しきれていないので、上記5つのエリアで見ていきたいと思います。

図1をご覧ください。

図1:メトロマニラ、ストック住宅数予測

出典:Colliers Manila 2021 Report よりエイリック作成

今後3年間かけて新規供給される物件数になります。ここではマニラ沿岸部が突出して多くなっています。まだまだ土地が残っているからなのか、それとも学生向けなのか、外国人向けなのか、詳細まで調べ切る事ができませんでしたが、いずれにせよ図にある通りかなりの物件数が供給されそうです。

ついでオルティガスにおいても新規供給数が増えそうです。フィリピン第三の都市であり、インフラ政策においても重要な起点になります。

ただ問題もあります。新規供給数が多いということは「価格上昇が緩やかになる」という事です。「供給>需要」であれば、必然的に価格は下落するはずです。逆に「供給<需要」であれば価格は上昇します。

この辺りの需要の強さが今後のフィリピンを見る一つの指標になりそうです。図1を見る限り、10%程度の物件供給数であれば需要をうまく取り入れる事が可能と考えています。その中でもロックウェルセンターの供給数であれば、値段が上がりやすいだろうというのは予測がつきます。一方でマニラ沿岸部の物件だとなかなか値段は上がりにくいだろうという判断です。

実際問題、それは価格に反映しています。図2をご覧ください。まさにこの5年で起きた価格推移になります。

図2 メトロマニラ:エリアごとのコンドミニアム成約価格比較(5年比較)

出典:Colliers Manila 2021 Report よりエイリック作成

全体的に価格が上昇しているのはフィリピンの強さでもありますが、その中でもエリアごとによって伸び率が変わってきています。オルティガスにおいては上昇しているものの、まだ需要が追いついてきていない、そういう部分が見え隠れします。

またマニラ沿岸部が上昇しているじゃないか!というお叱りを受けそうですが、この価格を引っ張っているのは「中国人投資家」です。マニラ沿岸部において、オンラインカジノというビジネスで大きな産業になったのを背景に中国人の進出が進みました。ですので、2021年現在、コロナ禍のフィリピンにおいてマニラ沿岸はかなりリスクが高い選択になるかもしれません。

ただ逆に言えば、コロナ禍が終わればまた中国人が戻ってきて価格高騰に一役買う、そういう見方があっても良いと思います。この辺り私は予想家ではないのでなんとも言えませんが、どう転ぶか正直見えていません。

とはいえ、これまで見てきたようにフィリピンはコロナで非常に経済が厳しいと言われていますが、不動産においてはエリア・物件種別などを見る限り、そこまで急落しているわけでもなく、ファンダメンタルズがきちんとしてきてインフラも整ってきているのは事実です。
この国はコロナが終われば、また成長すると私は思っています。なかなか現地に行けないので私もわかりかねる部分がありますが、それでも冷静にデータと政策を見ている限り、まだまだチャンスがあるのではないかと思う次第です。

コロナが明けたら行ってみたい国の一つです。

【このコラムの著者】

田中 圭介

1979年兵庫県生まれ、関西学院大学経済学部卒。 新卒で外資系製薬メーカー入社後、出版社を立ち上げる。 2005年より大手不動産ポータルサイトにて営業責任者を5年以上歴任した後、2011年タイにて現地法人の立ち上げ、現地不動産ポータルサイトを立ち上げた経験を持つ。 在タイ時代から数多くの人脈を持ち、ASEAN各国を駆けずり回る。 現場主義を信条とし、自身の経験や知識を元に投資家や企業のサポートを行う。 主な著書に「ASEAN不動産投資の教科書」など3冊。

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