田中 圭介の不動産投資コラム

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

No.84 正念場を迎えるタイ・バンコク不動産〜その1〜

エイリックの田中です。

先月はフィリピンについて書いてきましたが、今月はタイについて書いていきたいと思います。

コロナの影響はそこまでひどくない、と思っていた矢先、2021年に入って急速に感染者数が増えました。その結果、度重なるロックダウンが首都バンコクでは行われています。

コロナの影響は当然、観光立国であるタイにおいて大きな打撃になりました。そして不動産においてもその余波が出てきている状況です。2020年のタイの経済成長率はマイナス6.1%。2021年はなんとかプラス2%-3%ほどの予測はしていますが、決して楽観できる数字ではありません。

今回はタイの不動産について詳しく見ていきたいと思います。

図1をご覧ください。
青線はタイ中央銀行が発表しているコンドミニアム価格指数(2009年4月=100)となります。オレンジの線は昨年同月比の成長率となります。

図1 タイのコンドミニアム価格指数と成長率

出典:タイ中央銀行データよりエイリック作成

これを見ると、実はコンドミニアム価格だけでいうと、そこまで下がっていません。10年単位で見ても実は緩やかに伸びているというのが見てとれます。

ただ、成長率で見てみると2020年に大きく下がっているので、安心はできませんがコンドミニアム価格が大幅に下がっているというわけではないです。

一方、図2と図3もご覧ください。

図2 シングルハウス価格推移と成長率

出典:タイ中央銀行データよりエイリック作成

図3 タウンハウス価格指数と成長率

出典:タイ中央銀行データよりエイリック作成

これも同じようにタイ中央銀行からのデータなのですが、シングルハウスというのはいわゆる「土地付き一戸建て」、タウンハウスは「土地付きの長屋」と思ってもらって結構です。

つまり戸建てに関してのデータなのですが、戸建ては残念ながら外国人が購入できません。しかし、このコンドミニアムと戸建てを比較するとよくわかるのですが、コンドミニアムの方が価格指数のバラツキが大きいです(細かいと言われるかもしれませんが・・・)。

これはコンドミニアムが「外国人相手」の部分もあるため、高級物件が価格を引っ張り、また世界的な金融危機や今回のようなパンデミックがあると価格の変動が非常に大きいということになります。
かたや戸建てに関してはローカル相手であり、さらにタウンハウスはまさにローカルの住宅ローンを使った実需案件になります。

図3を見てもらってわかる通り、タウンハウスに関しては成長率のばらつきがありますが、実はマイナス成長はほぼありません。価格も安定して成長しているという「かなり堅い」案件になっています。

このコロナ禍において、コンドミニアムはかなり痛手を負いましたが、戸建てに関してはそこまでの影響は軽微であると言えます。これは現地のデベロッパーにヒアリングしても似たような回答が返ってきており、2020年〜2021年の戦略上で、多くのデベロッパーは郊外・戸建てという戦略を明確に打ち出してきています。この辺は日本でも似たような動きになっているなと思います。

次回はもう少し深掘りをしていきたいと思います。

【このコラムの著者】

田中 圭介

1979年兵庫県生まれ、関西学院大学経済学部卒。 新卒で外資系製薬メーカー入社後、出版社を立ち上げる。 2005年より大手不動産ポータルサイトにて営業責任者を5年以上歴任した後、2011年タイにて現地法人の立ち上げ、現地不動産ポータルサイトを立ち上げた経験を持つ。 在タイ時代から数多くの人脈を持ち、ASEAN各国を駆けずり回る。 現場主義を信条とし、自身の経験や知識を元に投資家や企業のサポートを行う。 主な著書に「ASEAN不動産投資の教科書」など3冊。

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