エイリックの田中です。
前回、増え続けるコロナ感染について書いてきましたが、今回は具体的にデータを用いてASEAN各国の中間層の状況を見ていきましょう。
図1をご覧ください。
図1:ASEAN全体の中間層の推移(2019年と2030年比較)
出典:WEFよりASEAN Post資料
* Developed = シンガポール・マレーシア・タイ
Emerging = フィリピン・ベトナム・インドネシア
こちらの表から読み取れるのは、ASEANの中でも中進国以上の国においては、年間所得1万USD以上(約110万円)の人が1,100万人増えて、全体で2,900万人以上になるというデータになります。
年間所得が1万USDと言っても、日本で比較すると正直そこまで高くない数字に見えるかもしれませんが、物価水準や経済状況を考えると十分中間層になってきます。
またそれ以外の国においても年間所得1万USD以上が2,700万人以上増えて、全体で5,700万人になると予測されています。
これだけでもASEANだけで2030年には約1億人が年間所得1万USD以上になると想定されています。日本もまだASEANには勝っている部分かもしれませんが、2050年くらいにはひっくり返される可能性が非常に高いです。それくらい日本は成長していません。
やはり、そう考えるとASEANの中間層の伸びというのは驚異的なものがあります。ここに注目しない手はありません。私の専門は不動産ですが、これらの背景を踏まえて、そしてこのコロナ禍という状況もあり、各国のデベロッパーは一気に国内市場の開拓、つまり実需物件で郊外の案件を開発せざるを得なくなったという転換期を迎えているのだと思います。
ちなみにもう少し国別に見ていくと、2030年には各国とも富裕層や中間層が増えるというデータが出てきます。
図2 :各国ごとの各階層の成長について
出典:BCGレポートより
これは各国の人口あたりでどういった層がどのように変化しているか?を表す図になっています。
1番濃いグリーンが富裕層で、1番下の黄緑が貧困層になります。どこの国も貧困層の割合は減って、中間層が増えていく、そしてベトナム、フィリピン、インドネシアにおいては人口も増加するというデータです。
そう考えると少なくともこの4カ国(特にタイ以外)においては中間層が増えて、今まで生産拠点という印象だった国が消費国になるという話です。つまり、これからサービス業や小売などがまだまだ盛り上がる余地がある話になります。それに合わせて住む家というのは必要になるわけですから、不動産においても当然ながら期待が持てます。
今、コロナ禍に喘いでいるASEANですが、将来的な人口予測と中間層の成長を考えると、やはり中長期で見た場合ASEANというのは有望なエリアであり、期待感が残っているエリアなのは確かだと思うわけです。
次回、はそのASEAN全体の不動産の状況を話していきたいと思います。お楽しみに。