田中 圭介の不動産投資コラム

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

No.95 日系企業のASEAN進出事情 その3

エイリックの田中です。

今月は日系企業のASEAN進出事情を書いてきました。中国からASEANにシフトしている姿が浮かび上がって、今後のASEANに対して期待感が非常に大きいと感じています。

今回は実際に進出した企業を挙げていき、特に不動産関連に関して少し触れていきたいと思います。

図1 2021年にASEANに進出した主な企業一覧


*各社報道があったものをピックアップしエイリック作成(*全てではない)

ざっと見ていただくとタイ・ベトナムへの進出が目立った1年だと言えます。相変わらずタイへの進出案件が多いという感覚がします。いかに日系企業にとってタイへの進出が身近であるという証左にもなると思います。特に工場新設・拡張などにおいてはタイ・ベトナムに一日の長があると多くの企業は考えていると読み取れます。

またグリーン関連案件が増加しているのも最近の特徴だと思います。再エネ事業や風力発電など今後起こる気候変動に対しての取り組みなどがASEAN全体で行われています。気候変動に対する取り組みは世界的な標準になりつつあります。この動きは今後も要注目です。世界中で電力需要は高まっているので、今後も増えていくと思います。

最後に私の専門でもある住宅・不動産に関する進出ですが、タイとインドネシアで東急不動産、相鉄不動産、住友林業が進出の発表を行いました。タイに関してはコンドミニアムへの開発投資になります。タイに関しては投資対象であった高級コンドミニアムもひと段落し、このコロナ禍において中国人投資家の動きが鈍くなりましたが、足元の不動産価格は安定しています。

以前であれば投資用で購入されていた不動産も2020年からは実需目的で購入されることが多くなってきました。この辺りの変化はコロナによって景色が変わってきたと感じます。高級コンドミニアムだけの投資というステージは落ち着いて、実需向け、ローカル向けのコンドミニアム、戸建て開発など、日系不動産会社のスタンスも変わりつつあると思います。より幅広い不動産の選択肢を得られるようになってきているので、日系企業としても進出しやすくなってきていると思いますし、成功例も失敗例もある程度出てきており、マーケットもそれなりにデータベースとして取ることができてきたかなと感じます。

海外に行けるようになれば、この分野もますます注目を集めると思いますので、ぜひ期待してみていきましょう。

またインドネシアへ投資をした住友林業ですが、ローカル向け住宅開発がメインで住友林業が持つデザイン力や施工管理などにも入っています。質の良い住宅を現地の人が住めるようになれば、日本ブランド向上にもつながりますから、ぜひ素晴らしい案件を作っていって欲しいものです。

さて、日系企業のASEAN進出という観点で見てきましたがいかがでしたでしょうか?中国からのシフト、そしてASEANへの期待感というのは理解できたと思います。今後コロナが落ち着いてきて、往来が増えてくるともっとお互いの国・地域で発展していくと思います。私は大きな期待をしております。

【このコラムの著者】

田中 圭介

1979年兵庫県生まれ、関西学院大学経済学部卒。 新卒で外資系製薬メーカー入社後、出版社を立ち上げる。 2005年より大手不動産ポータルサイトにて営業責任者を5年以上歴任した後、2011年タイにて現地法人の立ち上げ、現地不動産ポータルサイトを立ち上げた経験を持つ。 在タイ時代から数多くの人脈を持ち、ASEAN各国を駆けずり回る。 現場主義を信条とし、自身の経験や知識を元に投資家や企業のサポートを行う。 主な著書に「ASEAN不動産投資の教科書」など3冊。

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