寺尾 恵介の不動産投資コラム

シリーズ連載: 不動産投資の「失敗」を分析する。

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

1.「失敗」とは何か。どんなパターンがあるのか。

こんにちは。投資家けーちゃんこと、寺尾恵介です。1年ちょっと前から、このHOME’Sさんのコラムを連載しています。
今月からの新シリーズでは、不動産投資の「失敗」に焦点を当ててみようと思います。失敗の原因やその予防、万一失敗してしまった時の対策など、お話できるテーマはたくさんありそうです。
ぼくは満室経営新聞(http://manshitsu.info/)の編集長という立場上、いろんな失敗の事例を見ていますし、何よりぼく自身がたくさん失敗をしています。机上の空論ではないリアルなコラムを書いていきたいなと思っていますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

さて、不動産投資を行っていく上で「成功だった」「失敗だった」という言葉を使う機会は少なくありませんが、成功と失敗はどのような基準で決められるべきでしょうか。
このコラムを読んでいる方の中には、「利回り10%以上の物件を購入できさえすれば不動産投資は成功だ!」なんて考えているような方はいないでしょうし、返済比率が低くてキャッシュフローが出ていれば成功だというのも違う気がします。

ある物件を購入してそれを運営して、一定期間保有した後で売却した・・という事例があります。購入する物件や得られた収益が同じであっても、ある投資家さんは「この投資は大成功だった」と考えて、別の投資家さんは「この投資家失敗だった」と考えるようなことがあります。投資に求めるリターンは人それぞれ違いますし、投資のあるべき姿も違います。
中には、キャッシュフローがマイナスであっても成功だと言える投資もあるでしょうし、積算評価の半分しかない物件を買って与信がボロボロになっても、成功だと言える投資もあります。前者は転売益を狙って短期返済の融資を受けたような場合、後者は相続税の評価を下げるためにわざと都市部のペンシルビルを買うような場合が想定されますね。

ですから、人によって投資に求める基準や目的が違う以上、失敗なのか成功なのかは人それぞれ違うと言えるでしょう。不動産投資の失敗とは「あらかじめ想定していたより悪い結果しか得られなかった」と定義して良いと思います。

しかし、中には例外もあります。
ぼくは「結果良ければ全て良し」という考え方に近いので、成功か失敗かの判断基準は「想定していた結果より良かったか悪かったか」だけで良いのですが、投資家さんの中には結果だけでなくプロセスも大事にしたいという方もいらっしゃるかと思います。
そういうプロセス(手段)重視である場合、失敗の基準は「得たい結果を実現するためのプロセスが、思っている以上に悪かった」ということになるでしょう。とにかく手を掛けずに収益を得たかったのに、毎週現地に通わないと運営が成り立たなかった・・というようなケースはプロセスの失敗に該当します。

そして、成功か失敗かの基準は自分の中で投資を始める前に決まっていないといけません。物件の購入を検討している段階で「どういう状態なら成功。それ以下なら失敗。失敗が確定した場合はこのように対処する」というような方針を大まかに決めておく必要があるということです。
でないと、本当は十分に失敗しているような投資であっても「いい経験になった」とか「損失を出しているけど、この側面では成功だった」など、自己啓発セミナーのように強引なポジティブ思考をしてしまい、自分が成長しないどころか、さらに傷口を広げるようなことにもなりかねません。

ぼくの場合、ひとつの物件を購入する際の基準はいつも同じで以下のようなものです。

1.保有期間中、常時安定したキャッシュフローが得られている。
2.購入時よりも物件の価値を上げることができる。
3.何年後であっても、残債を上回る金額で売却できる。

保有中でも出口でも収益を得る・・という意味では基準が高いと言えますが、キャッシュフローの額や割合、返済比率や調達金利、さらには入居率やCCRなどの数値にはほとんどこだわりがありません。
ぼくは株式など他の投資をほとんど行っていないので、「この程度のリターンなら、株やREITでも買っておけばよかった」というような後悔をすることがありません。だから他の投資と比較しての数値ではなく「とにかく儲かっている。いつの時期でも儲かっている」ということを重視しいているという訳です。
ちなみに、5年くらい前までは「投下した自己資金を3年以内に回収する(=CCR 33%)」という成功の基準がありました。当時は今よりも自己資金が乏しく、早く自己資金を回収しないと次の物件が買えなかったからです。今は自己資金を3割くらい入れて購入することもありますし、返済年数が短くなってきているので、CCRはもっと低い数字であることが多いです。

失敗の基準がはっきりしたところで、次にどういうタイプの失敗があるのかについて考えてみましょう。「想定していたより悪い結果しか得られない」状態が失敗であるなら、単純に損をしたというだけでなく、いろんなパターンがあるはずですよね。それらを分析・パターン化していくことで、皆さんの今後の失敗確率が減っていけばいいなと思っています。

まず、圧倒的に多いのが「収支についての失敗」です。
空室が減らないとか家賃が下がるという収入面だけでなく、予想外の支出が続いてしまったり、多額の税負担に苦しむことになってしまたったり。失敗であることが非常に分かりやすいのも特徴です。
失敗の原因も多岐に渡ります。一口に空室が多いという事象をとっても、購入したエリアが良くなかったのかもしれませんし、家賃設定が適切でないのかもしれません。賃貸業者さんとのコミュニケーションが悪いのが原因なのかもしれません。

そして「運営についての失敗」も事例が多そうです。
所有物件からそれなりの利益を得ているにも関わらず、適切ではない時期に出口を取って不動産投資から撤退してしまうような方は少なくありません。満室経営新聞の購読を解約される方の中でも多くを占める理由です・・(笑)
膨大な時間が掛かる、本業の仕事が阻害される、管理会社やリフォーム業者がしっかり仕事をしてくれなくてストレスを感じるなど、「こんなに大変なら、収益なんか要らない」と投げてしまう気持ちも分かります。

そのほかにも、規模の拡大が早期に止まってしまったり、適切な出口が取れないなどの「戦略上の失敗」や、借金のストレスや家族の理解不足を原因とする「人生上の失敗」なども挙げられるでしょう。不動産投資の失敗は、意外と奥が深いようです。
次回以降のコラムでは、それらの原因をひとつずつ採り上げて分析し、失敗を未然に防いだり早期にリカバリーする方法について考えていきたいと思います。

【このコラムの著者】

寺尾 恵介

不動産投資・アパート経営の人気ブログを運営する「投資家けーちゃん」
大家さん向けの情報誌「満室経営新聞」の編集長。

1973年愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒業。1996年に住友海上火災保険株式会社(現:三井住友海上火災保険株式会社)に入社し12年間勤務。富山支店在任時代に不動産投資に目覚め、現在までに約110室、家賃年収は6千万円に達する。

一般的には空室リスクも高く、アパート経営に不向きと言われる北陸地方(石川県、富山県)で物件を購入しているにも関わらず、入居率は常に90%以上で推移。管理会社を中心とした「チーム」での運営を得意とするスタイル。

運営ブログ 投資家けーちゃん「ハッピー&リッチBLOG」 http://toushika-keichan.com
メルマガ 投資家けーちゃんの不動産投資メールマガジン(23,000部) http://www.mag2.com/m/0000254056.html
著作 満室チームで大成功! 全国どこでもアパート経営(筑摩書房) http://www.amazon.co.jp/dp/4480863885/
みんなが知らない 満室大家さんのヒミツ(ぱる出版) http://www.amazon.co.jp/dp/4827205612

講演/セミナー実績
 全国賃貸住宅新聞社(賃貸住宅フェア)
 東京都宅地建物取引業協会
 株式会社ビジネスブレークスルー
 日本ファイナンシャルアカデミー株式会社
 北陸電力株式会社
 中部電力株式会社
 株式会社ギブコム
 SBIホールディングス株式会社
 株式会社ネクスト(HOME'S不動産投資フェア)
 健美家株式会社
 株式会社ファーストロジック(お宝不動産セミナー)
 三和エステート株式会社

その他、全国の不動産管理会社様での講演多数

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