今、コラムをご覧になっているHOME’Sをはじめ、最近はこのような無料で読めるコラムなどを通じて不動産投資の知識を増やすことができるようになりましたが、やはり今でも知識吸収のメインルートは「書籍」です。
自分のペースで好きな時に読めますし、何度でも繰り返すことができます。セミナーやDVD教材に比べて価格も安いですし、書籍をたくさん読まずして不動産投資の成功はありません。唯一のデメリットは、書籍は講師に質問ができたり、自分の理解が正しいかどうかのフィードバックがされないということでしょうか。
しかし、その唯一のデメリットによって、書籍がマイナスに作用してしまうという怖い現象があります。それがこれは今回のタイトルでもある「ポジティブリーディング」。実際の内容よりも前向きで良い方向に解釈してしまうことでの失敗です。
■それでも書籍はたくさん読もう!
はじめに断っておきますが、このコラムは書籍を読むことを否定するものでは決してありません。
チャレンジ面談にいらっしゃる方やメルマガの読者さんと話をしていて思うのですが、最近の方は本を読んでいる量が少ないな・・と感じることが多いです。ネット上のコラムやメールマガジンなどで断片的な知識は得られるので、書籍の重要性が軽んじられているのかもしれませんね。
ぼくが不動産投資を始めた頃は、出版された関連本はすべて購入して読んでいたくらいですし(大げさじゃないですよ、本当です)、周りの大家さん仲間も同じでした。
このコラムの読者さんは、とりあえずできるだけ早めに不動産投資本を30冊くらいは読みましょう。Amazonで検索して、売れているものから順に読んでいけば良いと思います。その後も、月に2冊くらいのペースで読み続けてください。
不動産投資の本は直接収入や資産の増加につながりますので、どう控えめに考えても、価格の100倍くらいのリターンがあるものです。
■出版年月をチェックしよう。
さて、たくさん本を読むことの大切さを理解していただいた上で、「ポジティブリーディング」での失敗について説明していきましょう。
ポジティブリーディングの失敗は、大きく分けると4つのパターンがありまして、ひとつめは「書籍の書かれた時代背景を無視して、自分に都合良く解釈してしまう」というものです。
不動産投資の本が毎週のように出版されているご時世であっても、伝説の名著のような本は今でも売れ続けています。Amazonの「アパート・ビル経営」のジャンルで売れ行きベスト20をチェックしてみると、半分は5年以上前に出版された本でした。
これらの本は、もちろん学ぶべきことがたくさんあるので売れ続けている訳で、これから不動産投資を始める人であっても読んでおくべきなのですが、やはり出版してから月日が流れているので、一部の内容は今の時代に合わなかったり、経済動向の変化によって再現が極めて難しかったりします。
ですが、それに気づかないのか気づこうとしないのか、書籍の内容を盲信したまま不可能な挑戦を続けているような方もいらっしゃいます。
その挑戦は高すぎる利回りであったり、低すぎるコストであったり、今ではアパートローンから撤退している金融機関であったり様々ですが、書籍のウケウリで不動産会社の方に自分の購入基準を伝えても、相手にされません。
■出版社も悪い。
ポジティブリーディング、2つめのパターンは、「著者の背景を無視して、自分に都合良く解釈してしまう」というものです。事例としては、前述した時代背景よりも多く見られます。
主に「体験談」をメインにしたような書籍を読むと、自己資金を全く使わず爆発的に規模を増やしていったり、極めて高い利回りの投資を実現するような事例がたくさん載っています。これらの武勇伝を読んで「よーし!私もやってみよう!」とモチベーションを上げるのは良いことですが、こういった話には往々にして書籍に書かれていない「タネ」があるものです。
例えば最近多いのが「○○でもできた!」系の本。
○○のところには、主婦とか学生とか、一般的に低い属性で不動産投資を成功させるのが難しそうなイメージの言葉が入ります。
しかしながら、著者本人は実際にそういった低属性の人であっても、実は多額の財産を相続していたり、配偶者の年収が1千万円を軽く超えていたり、実家が建築会社で超低コストの建築ができたり・・ということは珍しくありません。
こういったタネは書籍上では伏せられていることが多いので、本に感動した人が同じことをチャレンジしても成功する確率は極めて低いものになります。
このような事例が頻発するのは、本を売るためにタイトルを過激にしたり、読者をがっかりさせるようなネガティブな内容(=タネ)を敢えて載せなかったりする出版社の意向が強いのだと思います。
無知な人を煽って本を売るのはどうかと思いますが、読み手としても著者の置かれた背景事情は把握するように努めるべきでしょう。
また、武勇伝的な書籍ばかりを読むというのも考え物です。
体験談をメインにした書籍の方が確かに読みやすいですしやる気も出ますが、内容が偏ってしまうために必要な知識が網羅されていなかったり、他のやり方との比較については触れられていなかったりすることが多いです。
「不動産投資の学校(ファイナンシャルアカデミー)」のように不動産投資の全体像が分かるような本や、「賃貸経営マイスター(藤澤雅義さん)」に代表される「プロも読む本」についても、併せて読んでいくことをお薦めします。
次回のコラムでは、残り2つのパターンについて解説させていただきます。