コラムをお読みの皆さま、新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
・・・と言いながらですが、1年ちょっと続けてきました「失敗シリーズ」は今回で最終となります。今後のテーマはまだ決まっていませんが、機会があればまだお目に掛かれるかと思います。
不動産投資の失敗にはパターンがある。
これまで、第1回の総論を除くと、失敗の事例について14回に渡ってご紹介してきました。「これは気づかなかった」というものもあれば、既にご理解されているものもあったと思います。実際に経験した・・というものもあったかもしれませんね(笑)
ただ、事例としては多くあったものの、これらの失敗は「タイプ分け」ができます。過去のコラムをご参照されながらお読み頂きたいのですが、だいたい以下のような感じです。
タイプ① 売主(または売主業者)に比べて知識が劣っていたことによるもの。
知識が不足していたり偏っていたりすることで、物件の価値について正しい判断ができなかったり、収支に大きな影響を及ぼす要素に気づかなかったりしたことでの失敗です。
コラムでは以下の3つがこれに該当します。
第2回 レントロールの罠
第4回 経費率15%という“超”適当な予測
第5回 一棟もの物件では「負の修繕積立金」に気をつけろ
タイプ② 自分の固定観念で間違った判断をしてしまうもの。
長年培ったご自身の常識や、どこかで耳にした断片的な知識をもとに「思い込み」をしてしまうパターン。コラムでは以下の4つがこのタイプです。
第3回 森を見て木を見ず
第6回 与信の誤解いろいろ
第7回 あなたの土地勘など、役に立たない
第13回 シミュレーションソフトで、石橋をたたき壊す
タイプ③ 自分の知識やスキル、投資家としてのレベルについて過度な期待をしたもの。
ちまたに溢れる不動産投資本や武勇伝ブログ・コラムを「文字通り」受け取ってしまったことによって、自分でも簡単に同じことができると勘違いしてしまうパターン。また、ご自身が所属している「会社員」としての立ち位置が、「投資家」の中でも同じではないかと考えてしまうことによる失敗もこの分類です。コラムでも一番多く採り上げたタイプでした。
第8回 不動産投資本のポジティブリーディング(前編)
第9回 不動産投資本のポジティブリーディング(後編)
第10回 ハイクラスサラリーマンの「選民思想」
第11回 築古ドリーマーのジレンマ
第12回 それって営業活動のつもり?
タイプ④ 自分の不動産投資への覚悟のなさや認識不足によるもの。
自己資金が少なくても借りられる金融機関は確かにあります。しかし借入比率も金利も高いのですから、当然返済比率も高まります。それでも返済できるくらいの利回りが求められますので、それだけ運営も大変になってくる訳です。
そういう自覚がないまま安易に物件を買ってしまうと・・・というパターン。直近2回のコラムがこのタイプに該当します。
第14回 オーバーローンという「超神水」を飲めるか?
第15回 急激な規模拡大の弊害
以上4つに分類しましたが、固定観念(タイプ②)は大きな意味で知識の偏り(タイプ①)とも言えますから、失敗というのはほぼこの3タイプに集約されると言ってもいいでしょう。「不十分な知識とスキル」「自分への過信」「覚悟のなさ」です。
1.新規の事業をしようというのに、必要な知識やスキルがない。
2.そのため偏った情報を信じ込んで、事業を実際よりもはるかに安易なものだと考え、自分にできることを過大に見積もっている。
3.さらに、やろうとしていることは不動産投資の中でも極めて特殊であるにも関わらず、そのリスクや代償(労力やストレスなど)を理解していない。
以上が、これまで書いてきた失敗コラムの要約だと言えます。
結果に対して、捧るべき代償を考える。
先日、チャレンジ面談(物件をこれから買いたいという人のための無料面談)にいらっしゃった方は、自己資金は100万円程度しかなく、年収も500万円弱と不動産投資をする方の中では高くありませんでした。
ぼくは、こういう方でも物件を買って利益を出す方法を教えられますが、「自己資金やご年収が高い人に比べて、使える金融機関や買える物件が限られます。そのため、ある程度の運営努力が要りますが、数年でいわゆるハイクラスのサラリーマンにも追いつけます」というような話もします。
大変だけど、頑張れば給与以上の収入を得ることなんて簡単ですよという、とても夢のある話をしたつもりでした。
しかし、面談に来られた方は「そうなんですかー、思ったより大変そうですね」なんて言ってあからさまにテンションダウンしているのです。どれだけ楽なものだと想像していたのでしょうか。
時々迷惑メールフォルダに入っている「1日15分のコピペ作業だけで月収50万円稼ぐ事ができます」という情報商材を信じる人がここにいるのか・・と面談しながら思ったものです。
不動産投資って、やってみて本当に「オイシイ」ビジネスだと思います。
レバレッジを活用できるので非常に大きなリターンが得られますし、仕組みを作って稼ぐビジネスですから業務のほとんどを管理会社などにアウトソース(外注)できます。
同じくらいオイシイ事業を見つけることが難しいくらい、恵まれたビジネスモデルだと思うのです。
とはいえ、「こんなオイシイ話があるのか。そうは言っても、いろいろ大変なんだろうな」というくらいのことは頭をよぎってもいいのではないでしょうか。
コラムを読んでいる多くの方が、「毎月100万円のキャッシュフロー」とか「家賃年収●千万円」という水準を目指しているかと思います。
いま会社で得ているお給料やそのために費やしている時間と、不動産投資で得たい結果を比較して、どのくらいのものであれば「これはオイシイ」と思いますか?
「会社では、週40~50時間仕事をしている。年間では2千時間以上だ。では500時間を不動産投資の勉強に費やして同じ成果が得られるなら、とてつもなく効率が良いのではないだろうか」と考えるのが普通ではないかと思います。
しかし、実際に500時間を不動産の勉強に費やしている人が、果たしてどのくらいいるのか・・ということですね。
勉強のためのお金もいくら掛けましたでしょうか。「毎月」100万円ものキャッシュフローを得ようとして、まさか本を数冊1万円程度で終わり・・という訳はないでしょう。
不動産投資に失敗したくないのなら、武勇伝だけじゃなくてちょっと難しめの専門書も読みましょう。お金を払ってちゃんとしたセミナーに参加しましょう。大家さんのコミュニティに入って、経験者からしっかり話を聴きましょう。
ご自身と同じくらいの年で、10倍以上の金融資産を持っている人も割とたくさんいるのだということに気付きましょう。
そうやってお金と時間をかけて学び、ご自身の立場とこれからやろうとしていることを正しく理解できれば、まだまだオイシイ不動産投資。そう簡単に失敗するものではありません。
これまでお読みいただき、ありがとうございました!