寺尾 恵介の不動産投資コラム

シリーズ連載: 不動産投資の事業化計画

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

4.賃貸事業者として認められるには?

さて、不動産投資の事業化シリーズも4回目になりました。
これからだんだん具体的な話になってきます。
今回のコラムでは「事業化とはどういう状態か」について、しっかりと説明させていただく訳ですが、
第1回からこのシリーズをお読みいただいて、
「事業化もメリットばかりではないし、別にムリしなくてもサラリーマン大家さんのレベルで十分だな」と思われた読者さんも少なくないのではないかと思います。

いわゆる「メガ大家」という状態を目指すばかりが不動産投資ではありません。
サラリーマンとしてのメリットを享受しながら、一定の規模の中で有利な投資をしていくのも立派な判断だと思います。そういう方でも、サラリーマン大家さんの特殊性・優位性を理解するという意味で、このコラムは役に立つと思いますので引き続きご覧下さいね。

◆融資を前提とした事業化について説明しています。

このコラムでは事業者とか事業化という言葉を頻繁に使っていますが、特に難しいものでも高尚なものでもなく、「特殊なスキームで融資審査をされている“サラリーマン投資家”ではない」というような意味です。貸家業を営んでいるというだけの普通の会社で、そういう意味では飲食店とか小売店と変わりません。ご夫婦だけで運営している小規模なお店も、法人化されていることがあるのと同じで、事業者=大規模な経営をしているということでもありません。

ただ、不動産投資における事業者は、金融機関から実績を認められて継続的に融資が受けられることが必須ですから、今回のコラムではそのための要件という趣旨で説明させていただきます。

◆資産管理法人は個人と同じ。

まず、最初に理解しておかなければいけないのは、不動産投資に特有の「資産管理法人」と事業化された法人(事業法人)の区別です。
資産管理法人は文字通り、個人の資産を管理する目的のために設立するもので、金融機関は個人の属性や信用に基づいて融資の審査をしています。
だから、設立初日でも融資が受けられたりする訳ですね。
(通常は、金融公庫などの「創業支援制度融資」で少額の融資を受けられる程度です)

逆に言うと、個人として「これ以上借りられない」という状態であれば、資産管理法人であっても融資は受けられません。
個人で借りられるだけ借りて枠を使い切ったら法人を立ち上げてしまえば、停滞することなく規模の拡大を続けられる・・という考えは間違いです。
コラムで説明している事業化は、個人の属性とはまったく別の存在として、通常の個人(サラリーマン)に付与される融資枠とは無関係に規模を増やしていける基盤を作り上げることを言います。

◆「会社っぽい」ようにする。

事業法人として融資を受けられるようになるためには、形式的な要件とそれ以外があります。
形式的な要件というのは、要するに「普通の会社の体裁をなしているか」ということです。

例えば、今日は朝から自分の事務所に銀行の社員さんが来社されました。
用事を済ませて帰られた後でまた電話があり、ぼくはその時外出していたのですが、
社員さんの話によると、「次回は支店長を連れて訪問したい」というような連絡だったそうです。
このように「事務所がある」「会社用の電話があり、平日の日中に掛ければ誰かが応対できる」というのが形式的要件です。資産管理法人としてとりあえず登記だけしたような会社だと、上記のような会社っぽい対応をすることができません。
「これだけできていればOK」という基準がある訳ではありませんが、少なくとも

1.事務所 専用事務所でなくても、来客対応ができる独立した部屋が必要。
2.電話 社名を名乗る固定電話がある。自宅と兼用はダメ。
3.来社・電話対応 一般的な会社の営業時間内に、誰かが対応できる。

上記3つの要件は満たしておきたいところです。

ただし、自宅とは別に事務所を借りて社員を雇って・・ということが必ず求められるという訳ではありません。
そして、上記のことはご自身が別の会社に勤務をしながらでも実現することができます。
事業化=独立(脱サラ)という訳でもないのです。
書斎などの一室に打合せができる程度のスペースを確保し、法人を自宅と同じ所在に登記します。
自宅とは別の固定電話を契約したあと、転送サービスなどを利用して奥さんの携帯で受け答えができるような仕組みを構築すれば、最低限の形式的要件はクリアできるでしょう。

◆一人前まで、最低2年。

資産管理法人の要件を満たした事業法人というのも、もちろん存在します。
資産管理法人として設立された会社であっても、それから形式的要件を満たして実績を積めば、事業法人として融資を受けられるようになるでしょう。
そして、その実績というのが「黒字の決算」です。ほとんどの金融機関で、2期連続の黒字決算が求められますから、事業法人として認められるようになるには最低2年の時間が必要だということになります。
もちろん、2期連続の黒字決算は融資を受けるための最低ラインのようなものです。融資を受け続けることが宿命づけられた賃貸経営者としては、常により良い決算書が作れるような努力を惜しんではいけません。

このようなプロセスを経て金融機関から事業化を認められるようになると、大きな銀行であれば「法人部門」の扱いになります。
同じ銀行で、自分の担当者が個人部門と法人部門にそれぞれいるというようなことも珍しくありません。
そのほか、資産管理法人を設立しても「○○さん」と呼ばれていた代表者が「社長」と呼ばれるようになったり、
決済以外では銀行の窓口を訪問するようなことがなくなったり、特段の用事がないのに行員さんが会社に来たりします。

あくなき規模拡大を追求していくというのであれば、まずは法人を作って形式的な要件を満たし、2年の歳月を掛けて黒字の決算書を作ることから始めていきましょう。

【このコラムの著者】

寺尾 恵介

不動産投資・アパート経営の人気ブログを運営する「投資家けーちゃん」
大家さん向けの情報誌「満室経営新聞」の編集長。

1973年愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒業。1996年に住友海上火災保険株式会社(現:三井住友海上火災保険株式会社)に入社し12年間勤務。富山支店在任時代に不動産投資に目覚め、現在までに約110室、家賃年収は6千万円に達する。

一般的には空室リスクも高く、アパート経営に不向きと言われる北陸地方(石川県、富山県)で物件を購入しているにも関わらず、入居率は常に90%以上で推移。管理会社を中心とした「チーム」での運営を得意とするスタイル。

運営ブログ 投資家けーちゃん「ハッピー&リッチBLOG」 http://toushika-keichan.com
メルマガ 投資家けーちゃんの不動産投資メールマガジン(23,000部) http://www.mag2.com/m/0000254056.html
著作 満室チームで大成功! 全国どこでもアパート経営(筑摩書房) http://www.amazon.co.jp/dp/4480863885/
みんなが知らない 満室大家さんのヒミツ(ぱる出版) http://www.amazon.co.jp/dp/4827205612

講演/セミナー実績
 全国賃貸住宅新聞社(賃貸住宅フェア)
 東京都宅地建物取引業協会
 株式会社ビジネスブレークスルー
 日本ファイナンシャルアカデミー株式会社
 北陸電力株式会社
 中部電力株式会社
 株式会社ギブコム
 SBIホールディングス株式会社
 株式会社ネクスト(HOME'S不動産投資フェア)
 健美家株式会社
 株式会社ファーストロジック(お宝不動産セミナー)
 三和エステート株式会社

その他、全国の不動産管理会社様での講演多数

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