寺尾 恵介の不動産投資コラム

シリーズ連載: 悩める投資家への「目からウロコが落ちる」アドバイス 誌上チャレンジ面談

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

9.買える物件がない・・・不足しているのは本当に「利回り」か?

コラムのテーマとは直接関係がありませんが、シェアハウスの「かぼちゃの馬車」が、不動産投資業界だけでなく一般のニュースとしても話題になっています。現実感のないサブリースに頼って、投資として成立しない割高なアパートを購入された方々が何百人単位で破産の危機に陥っている状況です。

こういったコラムで質問を募ると、「失敗談を教えてほしい」というご要望が少なくありませんので、今回のケースはそういうニーズを満たす格好の題材になるかもしれません。
しかし、日頃からきちんと勉強をされている方は、こんなお粗末な投資に関心を示すようなことはありません。万一「自分も同じような失敗をしたかもしれない」と思えてしまうようであれば、不動産投資の知識が圧倒的に不足しています。
しばらく購入を待って基本的なことから勉強をしなおした方が良いでしょう。

結局、失敗談に必要以上の関心を持つのは、ほとんどの場合は単なる興味本位であったり「自分はこの人よりはマシだな」と思いたいだけだったりします。
こちらのコラムでも「不動産投資の失敗を分析する」という連載をしたことがありますが、ほとんどの人はこのような「あなたが失敗するかもしれない話」ではなく、「他人が実際に失敗した話」に興味を持ってしまうので、そういう事例から学べず同レベルの失敗をしてしまうのです。失敗談から学べることは、非常に少ないのです。

■日本では不動産「投資」ができない。

昨年11月に出した書籍を読まれた方から、チャレンジ面談のご依頼を受けることが増えましたが、「いまは買える物件がない」という悩みを非常に多く聞きます。
確かに、ひと昔前に比べると物件の価格が上がって利回りは下がりましたが、それでも適正な返済比率が維持できて安定したキャッシュフローが出る物件は存在しますので、買える物件がまったくないという訳ではないと思います。

そこで詳しく話を聞いてみると、「今は良いけど、将来的に価値が下がる」みたいなことを皆さん言うわけですね。「価値が下がる」って、そりゃ建物は古くなりますし日本の人口も減っていますから、何もしなければ価値は下がっていきます。
そういった方は、持っているだけで値上がりする新興国のような不動産を求めているのでしょうか。またはREITのようなものと実物不動産を混同しているのかもしれません。

ぼくは「収益不動産を購入して、家賃収入を得る行為」を便宜上「不動産投資」と呼んでいますが、やっていることは不動産「投資」だとは思っていません。

「投資」という言葉を辞書で調べてみると、「将来の利益のために資金を供すること」とあります。価格が上がりそうなものを購入してキャピタル益を得たり、株式の配当を得たりという行為が例として挙げられていますが、どちらにしても

・資金と拠出する対象を決めるのが最重要
・拠出した後は、基本的に利益を受け取るのみ
・拠出先の選定を間違えると損をする

というような意味合いで、投資という言葉は使われていると思います。
そういった定義で考えると、日本の不動産では「お金を出すだけで儲かる」という意味の投資は一部を除いて成立せず、物件購入後に何らかの働き掛けをしないと利益を得ることができなくなっている点が、自分のしていることを不動産「投資」とは呼べないと思う理由です。

■情けない経営者になるな。

そして、「買える物件がない」ということで購入を躊躇している方の多くが、純粋な意味での「投資」をしたい人。要するに、購入するだけで家賃や売却益といった利益を得たいと思っている人たちだということも分かってきました。

このような人たちが物件を分析すると、こんな感じのコメントをします。

「今の入居率が80%なので、5年くらいで70%くらいに落ちる」
「同じ建物で、家賃が4.5万円~5.8万円とバラツキがある。全てを4.5万円で計算しなおすと利回りが●%に下がる」
「近くに、同じくらいの面積で5千円安い物件がある。この物件の家賃を全てその金額で計算しなおすと利回りが・・・(以下同文)」

まだまだ挙げられますが、「物件を買ってから、家賃や入居率を上げるための努力をしない」という前提で話をしていることが共通しています。不動産賃貸業を「経営」として取り組んでいる方であれば、

「このくらいのリフォーム費用を掛ければ、家賃が全体で●%上がる」
「ほぼ同じスペックで、家賃が5千円高い物件がある。設備を増強すれば、ここまでは家賃が上げられそうだ」
「こんなに汚いままで2割の空きで済んでいるなら、満室にするのは余裕だ」

というように考えるものです。

物件の価値を上げるための努力を何らすることもなく、近隣にいる低レベルの大家さんと同じような経営しかできないのであれば、確かに国内の不動産で買えるものなど見つかりませんし、この業界に参入するのはキケンかもしれませんね。どれだけ売り物件を検討しても、以前のコラムでも採り上げた「石橋をたたき壊す系」の自虐シミュレーションを続けて時間をムダにするだけです。
(以前のコラムはこちら)

もちろん、買ってはいけない物件はたくさん(というか、ほとんどの売り物件はそう)ありますが、一定水準を満たしたものでも購入に踏み切れない理由は、管理運営に関する知識とスキルの不足である可能性が高いと言えるでしょう。

■免許を取ってからクルマを買う。

人口が減り、空き家が増える一方の日本において、国内不動産で収益を得るには相応の知識やスキルが必要です。(すごい資産がある人は例外ですが)
同じような属性の方でも、管理運営についての知識とスキルには大きな差があることも多いので、同じような物件を買っても利益と損失に差が出ます。同じ運転免許を持っていても、人によって運転の技術に大きな差があるのと同じようなものですね。
レースに出ているようなテクニックを持つ人もいれば、免許があるだけでほとんど経験がないペーパードライバーもいる訳です。

「今の不動産相場は利回りが低すぎるし、たまに基準以上のものを見つけても運営ができない」というお悩みを抱えている時、不足しているのは利回りではなくてご自身の知識やスキルなのかもしれません。
普通は運転免許を取得してからクルマの購入を検討するものですが、不動産投資の世界では順序が逆になっている人も多いようです。

【このコラムの著者】

寺尾 恵介

不動産投資・アパート経営の人気ブログを運営する「投資家けーちゃん」
大家さん向けの情報誌「満室経営新聞」の編集長。

1973年愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒業。1996年に住友海上火災保険株式会社(現:三井住友海上火災保険株式会社)に入社し12年間勤務。富山支店在任時代に不動産投資に目覚め、現在までに約110室、家賃年収は6千万円に達する。

一般的には空室リスクも高く、アパート経営に不向きと言われる北陸地方(石川県、富山県)で物件を購入しているにも関わらず、入居率は常に90%以上で推移。管理会社を中心とした「チーム」での運営を得意とするスタイル。

運営ブログ 投資家けーちゃん「ハッピー&リッチBLOG」 http://toushika-keichan.com
メルマガ 投資家けーちゃんの不動産投資メールマガジン(23,000部) http://www.mag2.com/m/0000254056.html
著作 満室チームで大成功! 全国どこでもアパート経営(筑摩書房) http://www.amazon.co.jp/dp/4480863885/
みんなが知らない 満室大家さんのヒミツ(ぱる出版) http://www.amazon.co.jp/dp/4827205612

講演/セミナー実績
 全国賃貸住宅新聞社(賃貸住宅フェア)
 東京都宅地建物取引業協会
 株式会社ビジネスブレークスルー
 日本ファイナンシャルアカデミー株式会社
 北陸電力株式会社
 中部電力株式会社
 株式会社ギブコム
 SBIホールディングス株式会社
 株式会社ネクスト(HOME'S不動産投資フェア)
 健美家株式会社
 株式会社ファーストロジック(お宝不動産セミナー)
 三和エステート株式会社

その他、全国の不動産管理会社様での講演多数

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