寺尾 恵介の不動産投資コラム

シリーズ連載: 悩める投資家への「目からウロコが落ちる」アドバイス 誌上チャレンジ面談

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

11.これから不動産市況はどうなる?

世間はゴールデンウィークまっただ中で、中には4月の終わりから9連休なんて会社もあるようです。
サラリーマン時代は祝日や連休は単なる「嬉しいイベント」でしたし、今は平日・休日の差があまりない仕事をしているので、連休中は社員さんや不動産会社の方との連絡が取りづらくなる「あまり嬉しくないイベント」になりました。立場が変わると考え方も変わるものですね。

社員さんを雇っていると、「2月は28日までしかないのに他の月と同じ給料を払わなければならないのは納得がいかない」なんて考えたりするものの、「28日までしかないのに、他の月と同じ家賃を受け取っている」ことを思い出して喜んだりする訳です(笑)

■一番の変化は「金融資産」

さて今月は読者さんから、こんな質問をいただきました。

かぼちゃの馬車のことが騒がれるようになってから、銀行の融資が厳しくなってくるのではないかと思います。これから不動産価格は下がっていくでしょうか。今から始める人はもう買えなくなるのでしょうか。

先月のコラムでテーマにしたかぼちゃの馬車。
メインに融資をしていたスルガ銀行に、金融庁の立ち入り検査が入るなどの異常事態が発生しており、当然のことながら融資姿勢にも変化が起きています。
顕著な変化としては「そういう前提の融資」ができなくなったということでしょう。

報道等でもご存じ方と思いますが、普通のサラリーマンに1億円を超えるような融資をするために、買主の金融資産を実態よりも多く見せるような細工(改ざん?)について問題視されています。

このテクニックは、業界全体として、「まあ、誰が損する訳でもないし」ということで黙認されていた感がありますが、今後は「細工後」くらいの自己資金を本当に保有していることが求められるようになるでしょう。

記事に掲載されていた実際の改ざん例によると、1億円程度のシェアハウスを買うにあたって以下のような残高の通帳が「作られて」いたようです。


※画像はプレジデント・オンラインよりhttp://president.jp/articles/-/24805

ということは、今後1億円の融資を受けようとする場合は、使うかどうかは別にして3千万円前後の金融資産が求められる可能性が高いということです。

■価格が下がる物件タイプ

そこまでの金融資産を持っている人というのは少ないでしょうから、今後は普通のサラリーマンが億単位の不動産を購入するのは難しくなっていくと思われます。
不動産投資を諦めるような人が増えるでしょうし、そうでなかった人も小ぶりで手が出せる規模の物件を買うようになるはずです。

また、スルガ銀行はエリアや物件の法定耐用年数について比較的寛容な金融機関だったので、地方にある築20年超の鉄骨やRC物件の流通を牽引するという役割も果たしていました。
そのスルガ銀行が今回の件で不動産投資関連の融資自体を縮小するとなると、当然こういったタイプの物件価格に大きな影響が出てきます。以上をまとめると、

地方にある大型(1億円~)築古の鉄骨・RC造物件

に最も価格的な影響が出そうですね。ぼくもたくさん持っていますが(笑)、1年前のような高値で売却するようなことは相当難しくなると思われます。
逆にいうと、一定の自己資金を用意できるような人であれば、上記のような物件を高い利回りで取得するチャンスが増えるということになります。

また、スルガ銀行が主にターゲットにしていた物件タイプに当てはまらない不動産については、大きな価格変動はないのではないかと思います。都心の築浅物件、土地値の古アパート、実需向けにも売却できる戸建やファミリータイプの区分マンションなどの価格が下がったという感じもありません。

■自己資金で世界を広げる

参入障壁が高まることが予想されるサラリーマンの不動産投資ですが、ぼくが不動産を買い始めた頃は、厳しくなっている今よりも更に融資のハードルが高い時代でした。
一部上場企業勤務で1千万円以上の年収を得ていても、メガバンク・地銀では融資を受けられないことが「普通」の状態でした。

ぼくが最初に購入した不動産投資ビデオ教材(当時はまだVHSテープで販売されていました 笑)では、「主な借入先候補」としてジャックスのようなノンバンクの名前が記載されていたくらいです。
実際、ぼくが最初に買った物件は金融公庫で融資を受けた1,980万円の木造アパートでしたし、当時は1億円の物件を買うサラリーマン投資家など皆無に近い状態でした。

ただ、これからの時代はその頃のようなスタンスが見直されるようになるのではないかと思います。

下記の画像は、3月末に開催された投資EXPOで使った資料です。


当日のスライド資料より抜粋

「自己資金を出さなくて済む物件」「手持ちの自己資金で買える最大規模の物件」という条件で探すと、どうしても似たような物件にたどり着きます。
地方都市にある古めのRC、フルローンが付けばその価格で売れてしまいますので、そこまで高い利回りは望めません。しかも、今後はこういう買い方自体が極めて難しくなる見通しです。

であれば、発想を転換して「しっかり自己資金を投入して物件を買う」ことに目を向けてみましょうというお話をしました。

スライド資料に記載された事例は、自己資金を2割+諸費用(=750万円くらい)が必要な販売価格3千万円の中古アパートです。
まだ、一般の投資家さんは、「不動産は全額借り入れで購入するもの」という意識が抜け切れてないので、750万円もの自己資金投入が必要な物件はかなり高い利回りで出ています。
その結果、金融公庫などで比較的返済期間の短い借り入れをしたとしても、しっかりキャッシュフローを出しつつ、残債をどんどん減らしていくことができるのです。

750万円の資金からスタートしても、上記のような物件を購入→残債を減らして売却という作業を繰り返すことで、10年程度で数千万円の資金を作ることも可能です。
そこまで来たら、「2017年は買えたけど2018年には買えなかった」1億円の物件を、また買えるようになるでしょう。しかも自己資金を出すことで使える金融機関も増えますから、より低い金利と返済比率を実現できます。ということはもっと良い場所で新しいものを買えるようにもなります。

以前、自己資金を出さずに不動産を買うことが、いかに覚悟が要ることであるかを解説したコラムを書きました。(「オーバーローンという“超神水”を飲めるか」
自己資金を出すのはちょっとしんどいですが、こういう覚悟は要らなくなるのです。

【このコラムの著者】

寺尾 恵介

不動産投資・アパート経営の人気ブログを運営する「投資家けーちゃん」
大家さん向けの情報誌「満室経営新聞」の編集長。

1973年愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒業。1996年に住友海上火災保険株式会社(現:三井住友海上火災保険株式会社)に入社し12年間勤務。富山支店在任時代に不動産投資に目覚め、現在までに約110室、家賃年収は6千万円に達する。

一般的には空室リスクも高く、アパート経営に不向きと言われる北陸地方(石川県、富山県)で物件を購入しているにも関わらず、入居率は常に90%以上で推移。管理会社を中心とした「チーム」での運営を得意とするスタイル。

運営ブログ 投資家けーちゃん「ハッピー&リッチBLOG」 http://toushika-keichan.com
メルマガ 投資家けーちゃんの不動産投資メールマガジン(23,000部) http://www.mag2.com/m/0000254056.html
著作 満室チームで大成功! 全国どこでもアパート経営(筑摩書房) http://www.amazon.co.jp/dp/4480863885/
みんなが知らない 満室大家さんのヒミツ(ぱる出版) http://www.amazon.co.jp/dp/4827205612

講演/セミナー実績
 全国賃貸住宅新聞社(賃貸住宅フェア)
 東京都宅地建物取引業協会
 株式会社ビジネスブレークスルー
 日本ファイナンシャルアカデミー株式会社
 北陸電力株式会社
 中部電力株式会社
 株式会社ギブコム
 SBIホールディングス株式会社
 株式会社ネクスト(HOME'S不動産投資フェア)
 健美家株式会社
 株式会社ファーストロジック(お宝不動産セミナー)
 三和エステート株式会社

その他、全国の不動産管理会社様での講演多数

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