寺尾 恵介の不動産投資コラム

シリーズ連載: 悩める投資家への「目からウロコが落ちる」アドバイス 誌上チャレンジ面談

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

16.日本政策金融公庫で不動産融資を受ける方法

かぼちゃの馬車の一件以来、不動産購入のための融資は厳しさを増す一方といった状況です。スルガ銀行はもちろん、これまでサラリーマンの方への融資を積極的に行っていた金融機関も、次第に融資基準が厳しくなっているのを感じます。

かつては当然だった「フルローン」「オーバーローン」という言葉も死語になりつつあり、購入価格の2割+諸費用の拠出で残額の融資が受けられるなら十分だ・・というような状況にもなってきました。
1億円の物件を買うためには、3千万円近い現金を実際に拠出するということですから、物件購入のハードルは相当上がったと言えます。

そんな中、注目を集めつつあるのが「日本政策金融公庫」です。
実は金融公庫は、ぼくが14年前に不動産投資をスタートさせる際に初めての融資を受けた金融機関ですし、今でも継続的な取引があります。

今日は、知っているようで知られていない、公庫のお話をしていきましょう。

■公庫と他の金融機関の違い

どこからか「普通の金融機関は難しいけど、金融公庫なら借りられるかもしれない」という情報を得てきたような方に話を聞いてみると、公庫についての知識や事前の情報がほとんどないことに驚かされます。
確かに、公庫は他の金融機関と違って独自の基準と審査で融資をしていますが、だからこそ「どこが普通の金融機関と違うのか」を知っておく必要がありますよね。

「日本政策金融公庫」は、2008年に「国民生活金融公庫」「中小企業金融公庫」「農林漁業金融公庫」の3つの金融機関が合併してできました。合併以前から、旧:国民生活金融公庫は収益不動産購入に活用できる金融機関として、一部の投資家さんは積極的に利用していました。

ぼくが最初に融資を受けたのも、旧:国民生活金融公庫です。当時は「コッキン」という略称で呼ばれていました。

政策金融公庫では、「コッキン」の事業を引き継いだ「国民生活事業」として、今でも収益不動産購入の融資を割と積極的に行っています。
公庫ホームページの国民生活事業についての説明を見てみると・・

「小規模事業者や創業企業の皆様への事業資金融資」を扱っているという記載があります。
これから不動産投資を始めるサラリーマンの方は、小規模事業者で創業企業ということでバッチリ当てはまるという訳です。

逆にいうと、「サラリーマンの副業」「投資」「資産運用」「リタイア狙いのキャッシュフロー獲得」という目的ではお金を借りられないということも予想できます。あくまでも事業社の資金調達として融資の申込をして下さい。
「不動産投資」ではなく「不動産賃貸業」です。

■公庫融資、最大の秘訣とは?

金融公庫から融資を受ける秘訣については、ずっと前に教材としてノウハウをまとめてマニュアルにしました。もちろん今でも活用できるので、教材をご購入されてもいいと思います。

https://www.fudousantoushi-ec.com/products/detail.php?product_id=440

事業計画書の添削サービスや無料Skype相談も付いてきます。

マニュアルを読んでその通りにすれば、ほとんど確実に融資を受けることができますが、秘訣を簡単にお伝えすると

「公庫で融資を受けるには、公庫向きの物件を探してくる」

ということに尽きます。
自分の買いたい物件を公庫に持ち込んで玉砕するのではなく、公庫が好むような物件を見つけてくるのです。

具体的には、公庫では多くの金融機関が査定をする際に重視している「積算評価」というものに頼った融資をしていません。
というより、公庫の積算評価は他の金融機関に比べて厳しすぎるため(収益物件というだけで評価を大幅に下げているそうです)、普通の銀行では買値以上の評価が出るような物件であっても、ロクな査定にならないのです。

ですから、多少古いものであっても利回り=収益性の高い物件を狙っていくのがお勧めです。
そもそも、公庫の融資期間は10~15年がメインで長期の融資はほとんど扱っていませんので、キャッシュフローを適切に確保するという観点からも、一定水準以上の利回りが必要です。

また、詳しく説明すると長くなるので省略しますが、比較的少額の融資であるほうが公庫の融資では有利です。
国民生活事業での借入限度額は4,800万円なので、その範囲内であれば融資自体は可能なのですが、概ね2千万円以内くらいの物件を持ち込んだ方が、よりフルローンに近い融資が受けられる可能性が高まります。

■事業計画をしっかり作り、事業者の自覚を持つ

それから、公庫では融資を受ける際に「創業計画書」という名称の書類を提出させられます。区分マンションや戸建を購入する際には省略しても構わないこともありますが、一棟ものの場合は必須です。
これまで不動産会社に融資付けを頼っていた人にとっては、こういった書類の作成はかなり手こずるかもしれません。
しかし、自分で事業に必要な資金計画を立て、売上と経費の予測と推移を計算していくことで、その物件を本当に買って良いのかどうかも見えてきます。

キャッシュフローが赤字のまま販売される物件や、経費などの変動要素が異様に大きな物件は、こういった計画書を作っていると自分で「これはおかしい」と気づくはずです。

ちなみに、公庫がひな形として提供している事業計画書は、賃貸業には少し使いづらい書式になっているので、ご自身で作成された方が良いでしょう。
収支の予測だけでなく、以下のような要素を盛り込むと説得力が増します。

・自治体の人口増減
・相続税路線価の推移
・最寄り駅の乗降客数推移
・ライバル物件のスペックと募集賃料、空室率
・物件の周辺環境や生活施設
・内外装のバリューアップ計画と必要予算

積算評価と現況の収入をもとに機械的な査定をされる融資に慣れてしまっていると、このような書類は面倒なように思えますが、その感覚こそが危険です。
何千万円もの資金を投じて事業を行うのですから、計画書くらい作って当たり前という価値観を持ちましょう。

融資が厳しい時期になると注目されるようになる金融公庫は、不動産投資家に事業者としての自覚を持たせて失敗者を減らすような役割を担ってきたのではないかと思います。

【このコラムの著者】

寺尾 恵介

不動産投資・アパート経営の人気ブログを運営する「投資家けーちゃん」
大家さん向けの情報誌「満室経営新聞」の編集長。

1973年愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒業。1996年に住友海上火災保険株式会社(現:三井住友海上火災保険株式会社)に入社し12年間勤務。富山支店在任時代に不動産投資に目覚め、現在までに約110室、家賃年収は6千万円に達する。

一般的には空室リスクも高く、アパート経営に不向きと言われる北陸地方(石川県、富山県)で物件を購入しているにも関わらず、入居率は常に90%以上で推移。管理会社を中心とした「チーム」での運営を得意とするスタイル。

運営ブログ 投資家けーちゃん「ハッピー&リッチBLOG」 http://toushika-keichan.com
メルマガ 投資家けーちゃんの不動産投資メールマガジン(23,000部) http://www.mag2.com/m/0000254056.html
著作 満室チームで大成功! 全国どこでもアパート経営(筑摩書房) http://www.amazon.co.jp/dp/4480863885/
みんなが知らない 満室大家さんのヒミツ(ぱる出版) http://www.amazon.co.jp/dp/4827205612

講演/セミナー実績
 全国賃貸住宅新聞社(賃貸住宅フェア)
 東京都宅地建物取引業協会
 株式会社ビジネスブレークスルー
 日本ファイナンシャルアカデミー株式会社
 北陸電力株式会社
 中部電力株式会社
 株式会社ギブコム
 SBIホールディングス株式会社
 株式会社ネクスト(HOME'S不動産投資フェア)
 健美家株式会社
 株式会社ファーストロジック(お宝不動産セミナー)
 三和エステート株式会社

その他、全国の不動産管理会社様での講演多数

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